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2章 脇役と不死の王龍
脇役と占い…?
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ちょこんと促されるまま座った丸い椅子。
俺の正面にはサッカーボールくらいありそうなデカくて丸い水晶と、どこかアラビアンなスタイルの衣装を着た綺麗なお姉さん。俺のそばには過保護なゼアロンさんがいてくれている。
「さぁ、手をここに」
「あ、はい」
これは、どうぞ水晶に手を翳してってことかな?ジェスチャーに感謝だ。
このいかにも!って感じは最高なんだけど、大丈夫かなコレ?俺には魔力を注ぐなんて器用なことが出来ない。
(いいや、問題ない!)
俺の勘が言っている、このお姉さんはプロの中のプロだ。なんてったってゼアロンさんが顔色を変えたんだ!
それに客商売である以上、お姉さんは占い師として上手にやってくれるだろうし、占いなんていい結果を信じて分からないことは適当に流せばいいものだ。
よしっ!気楽でいよう!
「宜しくお願いします!!」
そしてシオウが水晶に両手を翳した瞬間、カッと水晶が激しく光り、その眩しさに思わず目を覆ってしまった。
「――――――――――は???」
再び目を開いたシオウは驚いた。
暗闇を照らすのは、満天に輝く星々。
これも異世界ファンタジー独特の演出なのか。
俺だけが突然、全面プラネタリウムの世界に放り込まれたみたいだった…
◇ ◇ ◇
ゼアロルドも占い師もいない。市場ですらない
視界すべてに煌めく惑星と星々、幻想的な風景がどこまでも広がっていた。
これは幻覚系の魔法か、それとも他の技術なんだろうか?
「あっ、探せば地球もあったりする!?」
こんなに星があるんだ、きっとあるに違いない。
……どこだろ?どこにあるんだろ??とキョロキョロして、
「残念だけど、地球は遠すぎて見つけられないかな」
「!?」
ふふっと笑う声にシオウが振り向けば、そこにはピンッと特徴のある尖った耳、腰までありそうな銀髪と碧い瞳。白衣に身を包んだ美しい人が立っていた。
まさかエルフ!?
いいや、違う―――。だって、さっきこの人は―――!
「ようこそ、左都志央くん。私は星の―――」
「ま、まってください!貴方は、俺の言葉がっ、日本語が通じるのか!?」
聞き捨てならない!
はじめてだ。人の声が、意味がはっきりと聞こえたのは。
―――――――――もしかして日本人なのかも!?
「こんにちは、はじめまして!俺は志央!君の名前は!?」
「えぇーと… 近いかなぁ」
「ん??」
気が付けば目と鼻の先。
俺としたことが興奮のあまりパーソナルスペースをガン無視して詰め寄り過ぎてしまったようで…
「ふふ、せっかくだ。挨拶のキスでもしようか」
「!?……うああ!?すみません!」
ずさささざっと、慌てて距離を置く俺。
遠慮しなくていいのに♡と、揶揄う冗談でも美人に言われてしまうと余計に顔が熱くなる。ちゃんと反省しようと自ら地面に正座した。
「私は、この星の管理者だ」
「か、管理人さん?」
「そう!――――この星のすべてを知る、「神」だって言えば分かりやすいだろうか」
「!?」
(かみ、… 神様?)
そういや、俺は初対面のこの人にフルネームを呼ばれた。
これを占いの演出だと理解している一方、"神様"と名乗られては正しい反応が出来なかった。
ハッ!これも異世界とのギャップなのかな!?
「私は、ついつい喋り過ぎてしまうせいで発言には制約がかかっている。だけど君には特別だ、シオウ。私は君の質問に、なんでも三つだけ答えよう」
「なんでも?本当に?」
「あぁ、もちろん。私はこの星を維持すべき存在、すべてを見る者。君が必要とすることならなんでも与えよう!」
さぁ何を聞きたい!とノリノリの神様。
一方、精霊の王により”星座の間”に招待されたシオウの反応は……。
(へぇ~。なんでも三つなんてランプの魔人みたいなことを言う神様だけど、質疑応答とは斬新だなぁ)
剣と魔法、妖精さんのいる世界だ。
きっと神様が人間と接することも珍しくないんだろうと演出だと信じ、拍手をしていた。
「ねぇ、ちょっと待って………もしかして君、まだ占いだと思ってる?」
「え、違うの?」
「違うねぇ」
やんわりとした否定だった。
え、違う?占いじゃないって…?
「っていうか神様に会えるなんて、なんてほとんどの人間に資格がないよ」
「??… えっ?貴方はホンモノの神様なんですか!?俺に何の用事があって!?」
「最初っから言ってるのにぃ…。で、それは三つのうちの質問として回答していいのかい?もっと他に聞くことはないのかな?」
「……!」
――――――知りたい情報なんて山ほどある。
だけど三回までだ。なにより、こうして言葉の通じる人と会えたのは初めてなんだ。質問内容は慎重に、自分で思う以上に考えなければならない気がした。
「えっと……」
「そうだ、なんならさっきのゼアロルドの結果を教えてあげようか?彼がやったのは恋占いだったよ」
「こッ、恋占い!?ゼアロンさんが!?」
つい声がひっくり返ってしまった。
あ。ひょっとしてゼアロンさんが渋い表情をしてたのって、好きな子との相性がイマイチだったとか…??あぁー…それは凹んじゃうよね…。
(俺に出来るアドバイスがあればいいけど、勝手に人のプライバシーを知るなんて良くない)
それに、一番最初に知りたいことは決まっていた。
深呼吸をして神様を真っ直ぐ見て、お願いをする
「俺の妹、真里亜は、本当に聖女なのか?」
教えてください。
俺の正面にはサッカーボールくらいありそうなデカくて丸い水晶と、どこかアラビアンなスタイルの衣装を着た綺麗なお姉さん。俺のそばには過保護なゼアロンさんがいてくれている。
「さぁ、手をここに」
「あ、はい」
これは、どうぞ水晶に手を翳してってことかな?ジェスチャーに感謝だ。
このいかにも!って感じは最高なんだけど、大丈夫かなコレ?俺には魔力を注ぐなんて器用なことが出来ない。
(いいや、問題ない!)
俺の勘が言っている、このお姉さんはプロの中のプロだ。なんてったってゼアロンさんが顔色を変えたんだ!
それに客商売である以上、お姉さんは占い師として上手にやってくれるだろうし、占いなんていい結果を信じて分からないことは適当に流せばいいものだ。
よしっ!気楽でいよう!
「宜しくお願いします!!」
そしてシオウが水晶に両手を翳した瞬間、カッと水晶が激しく光り、その眩しさに思わず目を覆ってしまった。
「――――――――――は???」
再び目を開いたシオウは驚いた。
暗闇を照らすのは、満天に輝く星々。
これも異世界ファンタジー独特の演出なのか。
俺だけが突然、全面プラネタリウムの世界に放り込まれたみたいだった…
◇ ◇ ◇
ゼアロルドも占い師もいない。市場ですらない
視界すべてに煌めく惑星と星々、幻想的な風景がどこまでも広がっていた。
これは幻覚系の魔法か、それとも他の技術なんだろうか?
「あっ、探せば地球もあったりする!?」
こんなに星があるんだ、きっとあるに違いない。
……どこだろ?どこにあるんだろ??とキョロキョロして、
「残念だけど、地球は遠すぎて見つけられないかな」
「!?」
ふふっと笑う声にシオウが振り向けば、そこにはピンッと特徴のある尖った耳、腰までありそうな銀髪と碧い瞳。白衣に身を包んだ美しい人が立っていた。
まさかエルフ!?
いいや、違う―――。だって、さっきこの人は―――!
「ようこそ、左都志央くん。私は星の―――」
「ま、まってください!貴方は、俺の言葉がっ、日本語が通じるのか!?」
聞き捨てならない!
はじめてだ。人の声が、意味がはっきりと聞こえたのは。
―――――――――もしかして日本人なのかも!?
「こんにちは、はじめまして!俺は志央!君の名前は!?」
「えぇーと… 近いかなぁ」
「ん??」
気が付けば目と鼻の先。
俺としたことが興奮のあまりパーソナルスペースをガン無視して詰め寄り過ぎてしまったようで…
「ふふ、せっかくだ。挨拶のキスでもしようか」
「!?……うああ!?すみません!」
ずさささざっと、慌てて距離を置く俺。
遠慮しなくていいのに♡と、揶揄う冗談でも美人に言われてしまうと余計に顔が熱くなる。ちゃんと反省しようと自ら地面に正座した。
「私は、この星の管理者だ」
「か、管理人さん?」
「そう!――――この星のすべてを知る、「神」だって言えば分かりやすいだろうか」
「!?」
(かみ、… 神様?)
そういや、俺は初対面のこの人にフルネームを呼ばれた。
これを占いの演出だと理解している一方、"神様"と名乗られては正しい反応が出来なかった。
ハッ!これも異世界とのギャップなのかな!?
「私は、ついつい喋り過ぎてしまうせいで発言には制約がかかっている。だけど君には特別だ、シオウ。私は君の質問に、なんでも三つだけ答えよう」
「なんでも?本当に?」
「あぁ、もちろん。私はこの星を維持すべき存在、すべてを見る者。君が必要とすることならなんでも与えよう!」
さぁ何を聞きたい!とノリノリの神様。
一方、精霊の王により”星座の間”に招待されたシオウの反応は……。
(へぇ~。なんでも三つなんてランプの魔人みたいなことを言う神様だけど、質疑応答とは斬新だなぁ)
剣と魔法、妖精さんのいる世界だ。
きっと神様が人間と接することも珍しくないんだろうと演出だと信じ、拍手をしていた。
「ねぇ、ちょっと待って………もしかして君、まだ占いだと思ってる?」
「え、違うの?」
「違うねぇ」
やんわりとした否定だった。
え、違う?占いじゃないって…?
「っていうか神様に会えるなんて、なんてほとんどの人間に資格がないよ」
「??… えっ?貴方はホンモノの神様なんですか!?俺に何の用事があって!?」
「最初っから言ってるのにぃ…。で、それは三つのうちの質問として回答していいのかい?もっと他に聞くことはないのかな?」
「……!」
――――――知りたい情報なんて山ほどある。
だけど三回までだ。なにより、こうして言葉の通じる人と会えたのは初めてなんだ。質問内容は慎重に、自分で思う以上に考えなければならない気がした。
「えっと……」
「そうだ、なんならさっきのゼアロルドの結果を教えてあげようか?彼がやったのは恋占いだったよ」
「こッ、恋占い!?ゼアロンさんが!?」
つい声がひっくり返ってしまった。
あ。ひょっとしてゼアロンさんが渋い表情をしてたのって、好きな子との相性がイマイチだったとか…??あぁー…それは凹んじゃうよね…。
(俺に出来るアドバイスがあればいいけど、勝手に人のプライバシーを知るなんて良くない)
それに、一番最初に知りたいことは決まっていた。
深呼吸をして神様を真っ直ぐ見て、お願いをする
「俺の妹、真里亜は、本当に聖女なのか?」
教えてください。
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