40 / 83
(一章)小ネタ
シオウとおでかけ!
しおりを挟む
小ネタ:シオウとおでかけ!
地球になら当たり前にあるインターネット。
配信動画、サブスク、ゲームにスマホ。
しかし異世界にはこれら全てがない。
勿論、この世界にも道楽はあるのだが、エルナ語にエルナ文字を理解できないシオウには難しい。
「神子様―つか、シオウって退屈してないのか?」
ロインの言った一言。
これが、ピッシャーンっと全員の心の中に衝撃を与えた。
確かにシオウが遊んでいるところを、誰も見たことがなかった。
騎士舎にきた今も、彼は当たり前のように出来ることを探し、それが終われば食事の下処理、洗濯。まだ理解できない言葉を学んで、―――しかし、それらは『娯楽』ではない。
さらにシオウは先日の事件があった。
規定に基づき外出に規制が掛けられているが、本来は自由であるべだ。
「分かった。なんとかしよう。ではロイン―――」
こうして言い出しっぺのロインは、………
シオウを連れ。アルタイルとミンデと共に森へピクニックにきていた。
(――――いや、なんで???)
◇ ◇ ◇
「シオウ、これがトリハナです」
「とり、はな…、これ?えぇっと」
「シオ~、これはただの石だが若干の魔結晶を含んでる~水の性質だなぁ多分~」
「みれ、…水、水の?石、の…・?」
気分転換とは何ぞや。
持ってきた図鑑や資料を一生懸命に見比べて、アルタイルとミンデの話をふんふんと懸命に聞き取ろうとするシオウ。
ピクニックというよりも課外授業である。
「~~~~あの、お二人とも!!今日はシオウ様の気分転換ですよ!教えてばっかりでどうするんですか!」
「「あ」」
「???」
その様子に首を傾げるシオウだった。
「あ、ロイン。今日は出かける日だったな、どうだった?」
「………隊長、それ本気で聞きたいっすか…」
戻ってきたロインは、げっそりとしていた。
もしかして何かあったのだろうか…?とゼアロルドも心配した。
「ロイン」
「はぁ~~~~…アルタイルさんは無口になるし、ミンデさんは勝手に鉱物探し。シオ・…神子様は好奇心旺盛」
あれはなんだろ?これはなんだろ?
あれは?あれは?あれは…・・、ある意味景色を楽しんではいるが、同じ目線に立って物事を教えるとは難しい。
さらに、シオウに故郷(マクミラン)を思い出させるような質問はご法度であった。上辺だけの苦しむ会話に、シオウの方がロインに気を遣ってくれていた。
「弁当まで用意してくれて、マジで神子様が神子様でした」
「そ、そうか」
「次はせめて持ち物を、」
「――――あ、ロインさん!」
背後から二人に声をかけてきたのは、笑顔満点のシオウ。
今日外出をさせてくれたお礼に、ドーナツを差し入れようとロインを探していたらしい。
「―――え、いいんですか!?」
「ロインさん、ありがとうございました、今日たのしかったです!」
アルタイルさんはいつも新しい知識をくれて、ミンデさんはおじいちゃんみたいで優しい。ロインさんは同じ目線で、俺でも分かりやすいよう懸命に教えてくれる。
シオウにとっては実りのある事ばかりだったと、拙い言葉でも笑顔で伝えてくれる。
「ロイン。次の外出では、もっと持ち物を増やせるよう私から進言しておく。今回は条件が厳しすぎたと俺も思う」
「え!?」
「次は、私も休みをとろう」
「…………は、、え゛!?」
ゼアロルド隊長が、休みをとる―――――――??
その言葉に耳を疑った。
「ではロイン。明日訓練所で。シオウも夜更かししないように」
「はい!ロインさん、また明日!」
シオウが理解しやすい言葉を選ぶゼアロルド。
そして、ロインにおやすみなさいを告げて隊長を追いかけていくシオウ。
「はい、おやすみなさいっす!」
実力と信頼故に、二人が同室であることは全員が納得しているが……。
「………あれは隊長 寝られないでしょうね」
ざまぁ見ろと思う。
きっと、今日のことを聞いて聞いて!と、ゼアロルドにシオウは報告するのだろう。
それを想像してロインは、にんまりと笑った。
地球になら当たり前にあるインターネット。
配信動画、サブスク、ゲームにスマホ。
しかし異世界にはこれら全てがない。
勿論、この世界にも道楽はあるのだが、エルナ語にエルナ文字を理解できないシオウには難しい。
「神子様―つか、シオウって退屈してないのか?」
ロインの言った一言。
これが、ピッシャーンっと全員の心の中に衝撃を与えた。
確かにシオウが遊んでいるところを、誰も見たことがなかった。
騎士舎にきた今も、彼は当たり前のように出来ることを探し、それが終われば食事の下処理、洗濯。まだ理解できない言葉を学んで、―――しかし、それらは『娯楽』ではない。
さらにシオウは先日の事件があった。
規定に基づき外出に規制が掛けられているが、本来は自由であるべだ。
「分かった。なんとかしよう。ではロイン―――」
こうして言い出しっぺのロインは、………
シオウを連れ。アルタイルとミンデと共に森へピクニックにきていた。
(――――いや、なんで???)
◇ ◇ ◇
「シオウ、これがトリハナです」
「とり、はな…、これ?えぇっと」
「シオ~、これはただの石だが若干の魔結晶を含んでる~水の性質だなぁ多分~」
「みれ、…水、水の?石、の…・?」
気分転換とは何ぞや。
持ってきた図鑑や資料を一生懸命に見比べて、アルタイルとミンデの話をふんふんと懸命に聞き取ろうとするシオウ。
ピクニックというよりも課外授業である。
「~~~~あの、お二人とも!!今日はシオウ様の気分転換ですよ!教えてばっかりでどうするんですか!」
「「あ」」
「???」
その様子に首を傾げるシオウだった。
「あ、ロイン。今日は出かける日だったな、どうだった?」
「………隊長、それ本気で聞きたいっすか…」
戻ってきたロインは、げっそりとしていた。
もしかして何かあったのだろうか…?とゼアロルドも心配した。
「ロイン」
「はぁ~~~~…アルタイルさんは無口になるし、ミンデさんは勝手に鉱物探し。シオ・…神子様は好奇心旺盛」
あれはなんだろ?これはなんだろ?
あれは?あれは?あれは…・・、ある意味景色を楽しんではいるが、同じ目線に立って物事を教えるとは難しい。
さらに、シオウに故郷(マクミラン)を思い出させるような質問はご法度であった。上辺だけの苦しむ会話に、シオウの方がロインに気を遣ってくれていた。
「弁当まで用意してくれて、マジで神子様が神子様でした」
「そ、そうか」
「次はせめて持ち物を、」
「――――あ、ロインさん!」
背後から二人に声をかけてきたのは、笑顔満点のシオウ。
今日外出をさせてくれたお礼に、ドーナツを差し入れようとロインを探していたらしい。
「―――え、いいんですか!?」
「ロインさん、ありがとうございました、今日たのしかったです!」
アルタイルさんはいつも新しい知識をくれて、ミンデさんはおじいちゃんみたいで優しい。ロインさんは同じ目線で、俺でも分かりやすいよう懸命に教えてくれる。
シオウにとっては実りのある事ばかりだったと、拙い言葉でも笑顔で伝えてくれる。
「ロイン。次の外出では、もっと持ち物を増やせるよう私から進言しておく。今回は条件が厳しすぎたと俺も思う」
「え!?」
「次は、私も休みをとろう」
「…………は、、え゛!?」
ゼアロルド隊長が、休みをとる―――――――??
その言葉に耳を疑った。
「ではロイン。明日訓練所で。シオウも夜更かししないように」
「はい!ロインさん、また明日!」
シオウが理解しやすい言葉を選ぶゼアロルド。
そして、ロインにおやすみなさいを告げて隊長を追いかけていくシオウ。
「はい、おやすみなさいっす!」
実力と信頼故に、二人が同室であることは全員が納得しているが……。
「………あれは隊長 寝られないでしょうね」
ざまぁ見ろと思う。
きっと、今日のことを聞いて聞いて!と、ゼアロルドにシオウは報告するのだろう。
それを想像してロインは、にんまりと笑った。
362
お気に入りに追加
569
あなたにおすすめの小説

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。
勇者召喚に巻き込まれて追放されたのに、どうして王子のお前がついてくる。
イコ
BL
魔族と戦争を繰り広げている王国は、人材不足のために勇者召喚を行なった。
力ある勇者たちは優遇され、巻き込まれた主人公は追放される。
だが、そんな主人公に優しく声をかけてくれたのは、召喚した側の第五王子様だった。
イケメンの王子様の領地で一緒に領地経営? えっ、男女どっちでも結婚ができる?
頼りになる俺を手放したくないから結婚してほしい?
俺、男と結婚するのか?

実はαだった俺、逃げることにした。
るるらら
BL
俺はアルディウス。とある貴族の生まれだが今は冒険者として悠々自適に暮らす26歳!
実は俺には秘密があって、前世の記憶があるんだ。日本という島国で暮らす一般人(サラリーマン)だったよな。事故で死んでしまったけど、今は転生して自由気ままに生きている。
一人で生きるようになって数十年。過去の人間達とはすっかり縁も切れてこのまま独身を貫いて生きていくんだろうなと思っていた矢先、事件が起きたんだ!
前世持ち特級Sランク冒険者(α)とヤンデレストーカー化した幼馴染(α→Ω)の追いかけっ子ラブ?ストーリー。
!注意!
初のオメガバース作品。
ゆるゆる設定です。運命の番はおとぎ話のようなもので主人公が暮らす時代には存在しないとされています。
バースが突然変異した設定ですので、無理だと思われたらスッとページを閉じましょう。
!ごめんなさい!
幼馴染だった王子様の嘆き3 の前に
復活した俺に不穏な影1 を更新してしまいました!申し訳ありません。新たに更新しましたので確認してみてください!

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺
福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。
目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。
でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい…
……あれ…?
…やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ…
前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。
1万2000字前後です。
攻めのキャラがブレるし若干変態です。
無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形)
おまけ完結済み

運悪く放課後に屯してる不良たちと一緒に転移に巻き込まれた俺、到底馴染めそうにないのでソロで無双する事に決めました。~なのに何故かついて来る…
こまの ととと
BL
『申し訳ございませんが、皆様には今からこちらへと来て頂きます。強制となってしまった事、改めて非礼申し上げます』
ある日、教室中に響いた声だ。
……この言い方には語弊があった。
正確には、頭の中に響いた声だ。何故なら、耳から聞こえて来た感覚は無く、直接頭を揺らされたという感覚に襲われたからだ。
テレパシーというものが実際にあったなら、確かにこういうものなのかも知れない。
問題はいくつかあるが、最大の問題は……俺はただその教室近くの廊下を歩いていただけという事だ。
*当作品はカクヨム様でも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる