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(一章)小ネタ
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小ネタ :シオウと酒場
最初の村から移動した一行もついに宿屋と飯屋が充実している町に到着した。
シオウは知らなかったが、この頃には王都にいる騎士団長達とも連絡が取れるようになっていた。さらにここまで来ればマクミラン国からの刺客を警戒する必要もない。
"油断は出来ないがここまでよくやった。しかし王都まではまだまだ遠い。"
軍資金と共にゼアロルドには皆を労うよう許可が降りた。
そして、その夜。
羽目を外しすぎないように念押しをした飯屋兼酒場で酒を解禁した。のだが、
「なんでだよ!?!?」
ただひとり、不満を漏らす者がいた。
シオウは怒っていた、遺憾の意を表していた。
確かにシオウには言葉が分からない。この世界のルールも知らない。
自分は騎士達よりは年下だと思っていたし、自分が仲間だと認められていたところで新参者。故に下っ端だと理解もしている。
けれどこれだけは分かった。
絶対に、彼等はシオウを子供(未成年者)だと思っている。
町を歩くときは誰かが隣にいる、シオウが人混みに紛れると判断したときは手を繋ぐ。
さらに今回!なんでも好きなのを頼んでいいと言われたのに、皆んなが飲んでいるビールを指差せばノーときた。
今日までは冗談だと思っていたが、いい加減察した。
この世界には日本…というか地球と似た文化、価値観や道具と多くのものが存在している。もしかすると一種のパラレルワールドなのかもしれない。
この酒場のメニュー表もいい例だ。おそらく上が酒で下がジュース類(ノンアルコール)だ。
だってアルコール欄を指差せば首を振られてしまうのに、下と他メニューはなんでもオッケーが出るんだ。一桁多そうな金額のメニューでも。
(これは妥協しちゃダメだ!絶対に)
そこまでして酒が飲みたいわけではない。
―――鯖を読むなんて、恥ずかしすぎて無理。
さらに未成年者と同じ扱いを受けるなんて、大人としていかがなものか!?俺はいつの時代のアイドルか!?
「俺のこと、子供扱いしてますよね!?」
俺は20歳を超えた大人だ。(彼等がはるかに長命な人種でない限り)。
一方的でゼアロルドや一部の騎士は困っていた。
一部の寛容な騎士が、「そんなに飲みたいなら一口飲むか?」なんてニュアンスでジョッキをシオウに見せればゼアロルドとルカルが睨む。
しかし、それがシオウは不服で嫌なのだろう。不貞腐れてしまう。
「シオウ。これも美味しいですよ」
「俺は、あっちがいいです」
「シオウ」
「同じもの。俺は、飲む、飲むです」
言葉は拙いが、癇癪を起こさず意志を崩さない。
すると場を見兼ねたのか、店員がゼアロルドに話しかけた。
「!」
そして――――
ドンっとシオウの前に出された全員と同じ琥珀色のビール。
「ありがとうございます!」
考慮されたのか置かれたジョッキは一回り小さいが、シオウにはそれで十分。なにせここまで乗り越えてこれたんだ、やはり日本人特有の「空気読んで察してくれよ」の訴えは共通であった。
やっと伝わった――――!!
改めて乾杯をして、みんなで酒場と料理を堪能する。
誤解が解けてよかったと安心するシオウと
【実は、最近飲めない冒険者用に酒に似せたジュースを仕入れているのですがどうですか?】。
この異世界にもノンアルビール類が存在することを知らないシオウ。
彼らの誤解はまだまだ続く。
最初の村から移動した一行もついに宿屋と飯屋が充実している町に到着した。
シオウは知らなかったが、この頃には王都にいる騎士団長達とも連絡が取れるようになっていた。さらにここまで来ればマクミラン国からの刺客を警戒する必要もない。
"油断は出来ないがここまでよくやった。しかし王都まではまだまだ遠い。"
軍資金と共にゼアロルドには皆を労うよう許可が降りた。
そして、その夜。
羽目を外しすぎないように念押しをした飯屋兼酒場で酒を解禁した。のだが、
「なんでだよ!?!?」
ただひとり、不満を漏らす者がいた。
シオウは怒っていた、遺憾の意を表していた。
確かにシオウには言葉が分からない。この世界のルールも知らない。
自分は騎士達よりは年下だと思っていたし、自分が仲間だと認められていたところで新参者。故に下っ端だと理解もしている。
けれどこれだけは分かった。
絶対に、彼等はシオウを子供(未成年者)だと思っている。
町を歩くときは誰かが隣にいる、シオウが人混みに紛れると判断したときは手を繋ぐ。
さらに今回!なんでも好きなのを頼んでいいと言われたのに、皆んなが飲んでいるビールを指差せばノーときた。
今日までは冗談だと思っていたが、いい加減察した。
この世界には日本…というか地球と似た文化、価値観や道具と多くのものが存在している。もしかすると一種のパラレルワールドなのかもしれない。
この酒場のメニュー表もいい例だ。おそらく上が酒で下がジュース類(ノンアルコール)だ。
だってアルコール欄を指差せば首を振られてしまうのに、下と他メニューはなんでもオッケーが出るんだ。一桁多そうな金額のメニューでも。
(これは妥協しちゃダメだ!絶対に)
そこまでして酒が飲みたいわけではない。
―――鯖を読むなんて、恥ずかしすぎて無理。
さらに未成年者と同じ扱いを受けるなんて、大人としていかがなものか!?俺はいつの時代のアイドルか!?
「俺のこと、子供扱いしてますよね!?」
俺は20歳を超えた大人だ。(彼等がはるかに長命な人種でない限り)。
一方的でゼアロルドや一部の騎士は困っていた。
一部の寛容な騎士が、「そんなに飲みたいなら一口飲むか?」なんてニュアンスでジョッキをシオウに見せればゼアロルドとルカルが睨む。
しかし、それがシオウは不服で嫌なのだろう。不貞腐れてしまう。
「シオウ。これも美味しいですよ」
「俺は、あっちがいいです」
「シオウ」
「同じもの。俺は、飲む、飲むです」
言葉は拙いが、癇癪を起こさず意志を崩さない。
すると場を見兼ねたのか、店員がゼアロルドに話しかけた。
「!」
そして――――
ドンっとシオウの前に出された全員と同じ琥珀色のビール。
「ありがとうございます!」
考慮されたのか置かれたジョッキは一回り小さいが、シオウにはそれで十分。なにせここまで乗り越えてこれたんだ、やはり日本人特有の「空気読んで察してくれよ」の訴えは共通であった。
やっと伝わった――――!!
改めて乾杯をして、みんなで酒場と料理を堪能する。
誤解が解けてよかったと安心するシオウと
【実は、最近飲めない冒険者用に酒に似せたジュースを仕入れているのですがどうですか?】。
この異世界にもノンアルビール類が存在することを知らないシオウ。
彼らの誤解はまだまだ続く。
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