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(一章)小ネタ

小ネタ⑥

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⑥ある日の小休憩(まだサバイバル中)

昼食後。一時間ほどの休憩で、ゼアロルドはシオウに言葉を教えてくれていた。
最初は必死に頷いていたのだが、食後のあとの木漏れ日と風だ。
いくら聞かなきゃという気持ちがあっても、つい授業中に舟を漕いでしまうように、まるで学校の集会で校長先生の話が子守唄に聞こえるように… 大変心地よかった。


「で、これが……、と、シオウ?」

シオウは、あろうことか眠りの誘惑に負け、すーすー…とゼアロルドの肩で居眠りを始めていた。


(……参ったなぁ)

シオウとは他の団員達と同様、夜は冷えないよう身を寄せ合って眠っている。だから自然とシオウも距離感を学んだのだろうが、それは生きる術であり、こんなに無防備でいていいわけがない。

「シオウ、起きなさい」
「ん、んー……」
「隊長。たまにはいいでしょう、シオウだって疲れてるんですよ」
「……アルタイル」

苦労の多い旅路だ。
野営に必要な設備も寝床もなく、毎夜毎夜、冷たくて硬い地べたの上で眠るのだ。
訓練など受けたことなどないシオウの体が、疲れ休みたがるのは当たり前だ。

「彼を、どこぞの脳筋達と一緒にしては気の毒です。それに…、貴方も昨日は遅くまで起きていたでしょう?」
「やっぱり聞いていたのか」

星々の前で、シオウは自分の無力さを嘆いて泣いた。
そこに思うところは全員があったのだ。

「悪いが、あと少しだけ… 構わないか?」
「他の仲間も疲れています。長めの休憩も悪くないでしょう」

イーリエが動けない今、副隊長はアルタイルだ。
その存在が全員の疲労状態を気にかける以上、強くは言えない。

 
 


(んー…、なんか…、もぞもぞする…)

分からない言葉の羅列。
まるで海外ドラマを観ているようだった。

どちらの声も穏やかで、シオウを起こさない控えめな声量。

"あたたかい、心地いい、もっと寝たい…"

いいんだ。きっと…BGMの一つなんだ。
体は楽な姿勢を求め、シオウは崩れるようにゼアロルドの膝に頭を乗せて、ぷぅぷぅと呑気に眠る。


「「…………」」


「まぁ森は抜けたんだ、また俺かミンデが運んでやるよ」


そして…… 静かに、 "誰の膝の上でシオウが一番寝られるのか選手権"が開催されそうになったのを、
ゼアロルド以上に怒ったイーリエが黙らせた。という事件を、シオウだけが知らないのだった。



(騎士という職業病故に、庇護欲を煽られると"俺が守る!"てなってしまう人達)
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