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(一章)小ネタ
小ネタ集①②
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本編に入れることの出来なかった些細な日常です。
①とある雨の日(洞窟で)
「今日は一日中降りそうだな」
瀧のように空から降り注ぐ大粒の雨雫。
仕方なく今日の山歩きは諦め、一行は見つけていた洞窟で過ごすことを決めた。
(ふんふん、なるほど…)
こういう時間はシオウにとっては大事な勉強の時間だ。先生役は地面に絵を描き、エルナ語(世界共通語)と護身のため必要な知識を教えてくれた。
「ではシオウ、このサインは?」
「”逃げろ”」
「正解です。これは?」
「”隠れろ”」
真剣に耳を傾け勉強する姿。シオウのおかげで雨で立ち往生を強いられても、目立って苛々する者や鬱々と過ごす者はいない。
教え甲斐があるとアルタイルも張り切っていた。
(しかしシオウの使う言葉は不思議だな)
誰にも理解はできないが、しっかりとした言語と豊富な語彙がある。独特だが発音もいい。いくらエルナ語を禁止する為の教育とはいえ新たな公用語の一つに思えた。
本当に謎の多い少年だ。
シオウにはどこで覚えたのか料理の基礎知識もあれば、匙を投げることもせずエルナ語を必死に覚えようとする勤勉さもある。
過酷な生活と、慣れない山歩きも辛いだろうに文句一つ言わずついてくる。
そんな少年がいてくれる。この健気で懸命な姿勢を見て、弱音を吐ける騎士がいれば全員が白い目を向けただろう。
「シオウ…、彼をどうしますか?」
ふとイーリエに聞かれたが、答えはとっくに決まっていた。
「もちろん王都に連れていくし、帰国後はもてなす。彼が万が一、聖人や神子として認められずとも、シオウの身は私の屋敷で預かろう」
それはずるくないか?と、なんだ聞いていたのか。周りの目は無視だ。
②とある町の宿屋
「宿屋だーーー!!ちゃんとベッドがある!!花瓶にカーペットもある!!」
「はは、嬉しそうだな」
「でもいい部屋だ。イーリエ様もゆっくり休めますね」
割り当てられたこの部屋のメンバーは、俺とロインさんルカルさん、はしゃぐ俺を見てイーリエさんがクスッと笑った。
イーリエさんは最近ずっと調子が良いらしい。回復薬を浸した包帯を巻いているおかげか、噛む力が戻っただけでなく腕も少し動かせるようになっていた。
でも、
「早く良くなって欲しいなぁ…なにか俺にできることはないのかな…?この町にはもっといい塩と砂糖はないのか?病院は?」
「ん?どうした、シオウ?」
「ゲームとかだったら、パァーッてすぐに回復するのに…悔しいなぁ…」
伝わってはいない。
けれどイーリエの肌を見てしゅんと肩を落とす少年に、掛ける言葉がなかった。
シオウは知らなかった。
そもそも回復薬では瀕死の人間がたちまち復活できるような奇跡は起こせない。それが治癒魔法であっても。
さらにイーリエや他の騎士を苦しめていたのは回復薬の効果が薄いのではなく、ドラゴンゾンビが振り撒いた瘴気のせいだ。
その血が触れた傷口は呪われ治癒が遅くなる。
死の森には食糧などない。
健康状態も最悪の中、イーリエ達が回復できたのがどれほどの奇跡だったのかを。
「シオウ、私は大丈夫。せっかくの町…を、楽しんでおいで」
「イーリエさん…!」
治療所よりも王都の神殿で聖水を貰わなければならない。
その説明を正しく理解できないシオウのため、イーリエは優しく微笑む。
「はい!俺、なるだけ栄養のあるもの買ってきます!待っててください!」
「え!?ちょシオウさん!?」
ぐっと拳を握り自信満々に出ていくシオウと
ちょっと待って!!と完全に油断していたロイン。
ドタドタバタバタと部屋を出ていく二人に取り残されたルカルとイーリエは…
「あちゃ~…イーリエ様、あとでフォローしてくださいよ?」
「………」
「寝たふり!?」
(何がいいかな!?最近肉ばっかりだったし、魚かあっさりめの鶏肉か。あとは)
シオウ!とロインさんは慌ててるけど撒く気はない。
ただ善は急げ、とシオウが宿屋を飛び出す寸前
ーーーードスッ、と
どこで見ていたのか。高い窓から飛び降りてきたゼアロルドにシオウは腰を抜かし、シオウの後を追いかけてきたロインは何故か隊長に叱咤された。
「え、えぇ~??」
買い物はゼアロルドと行った。
ゼ「アレほど目を離すなと言っただろ!?好奇心でも動くような子だと忘れたのか!?」
ロ「す、すみませんでした!完全に油断してました!(イーリエさまぁ~!!)」
イ「………」
ル(まだ寝たふり…)
シオウに対する周り目は、小さな子供に向けるソレ。
①とある雨の日(洞窟で)
「今日は一日中降りそうだな」
瀧のように空から降り注ぐ大粒の雨雫。
仕方なく今日の山歩きは諦め、一行は見つけていた洞窟で過ごすことを決めた。
(ふんふん、なるほど…)
こういう時間はシオウにとっては大事な勉強の時間だ。先生役は地面に絵を描き、エルナ語(世界共通語)と護身のため必要な知識を教えてくれた。
「ではシオウ、このサインは?」
「”逃げろ”」
「正解です。これは?」
「”隠れろ”」
真剣に耳を傾け勉強する姿。シオウのおかげで雨で立ち往生を強いられても、目立って苛々する者や鬱々と過ごす者はいない。
教え甲斐があるとアルタイルも張り切っていた。
(しかしシオウの使う言葉は不思議だな)
誰にも理解はできないが、しっかりとした言語と豊富な語彙がある。独特だが発音もいい。いくらエルナ語を禁止する為の教育とはいえ新たな公用語の一つに思えた。
本当に謎の多い少年だ。
シオウにはどこで覚えたのか料理の基礎知識もあれば、匙を投げることもせずエルナ語を必死に覚えようとする勤勉さもある。
過酷な生活と、慣れない山歩きも辛いだろうに文句一つ言わずついてくる。
そんな少年がいてくれる。この健気で懸命な姿勢を見て、弱音を吐ける騎士がいれば全員が白い目を向けただろう。
「シオウ…、彼をどうしますか?」
ふとイーリエに聞かれたが、答えはとっくに決まっていた。
「もちろん王都に連れていくし、帰国後はもてなす。彼が万が一、聖人や神子として認められずとも、シオウの身は私の屋敷で預かろう」
それはずるくないか?と、なんだ聞いていたのか。周りの目は無視だ。
②とある町の宿屋
「宿屋だーーー!!ちゃんとベッドがある!!花瓶にカーペットもある!!」
「はは、嬉しそうだな」
「でもいい部屋だ。イーリエ様もゆっくり休めますね」
割り当てられたこの部屋のメンバーは、俺とロインさんルカルさん、はしゃぐ俺を見てイーリエさんがクスッと笑った。
イーリエさんは最近ずっと調子が良いらしい。回復薬を浸した包帯を巻いているおかげか、噛む力が戻っただけでなく腕も少し動かせるようになっていた。
でも、
「早く良くなって欲しいなぁ…なにか俺にできることはないのかな…?この町にはもっといい塩と砂糖はないのか?病院は?」
「ん?どうした、シオウ?」
「ゲームとかだったら、パァーッてすぐに回復するのに…悔しいなぁ…」
伝わってはいない。
けれどイーリエの肌を見てしゅんと肩を落とす少年に、掛ける言葉がなかった。
シオウは知らなかった。
そもそも回復薬では瀕死の人間がたちまち復活できるような奇跡は起こせない。それが治癒魔法であっても。
さらにイーリエや他の騎士を苦しめていたのは回復薬の効果が薄いのではなく、ドラゴンゾンビが振り撒いた瘴気のせいだ。
その血が触れた傷口は呪われ治癒が遅くなる。
死の森には食糧などない。
健康状態も最悪の中、イーリエ達が回復できたのがどれほどの奇跡だったのかを。
「シオウ、私は大丈夫。せっかくの町…を、楽しんでおいで」
「イーリエさん…!」
治療所よりも王都の神殿で聖水を貰わなければならない。
その説明を正しく理解できないシオウのため、イーリエは優しく微笑む。
「はい!俺、なるだけ栄養のあるもの買ってきます!待っててください!」
「え!?ちょシオウさん!?」
ぐっと拳を握り自信満々に出ていくシオウと
ちょっと待って!!と完全に油断していたロイン。
ドタドタバタバタと部屋を出ていく二人に取り残されたルカルとイーリエは…
「あちゃ~…イーリエ様、あとでフォローしてくださいよ?」
「………」
「寝たふり!?」
(何がいいかな!?最近肉ばっかりだったし、魚かあっさりめの鶏肉か。あとは)
シオウ!とロインさんは慌ててるけど撒く気はない。
ただ善は急げ、とシオウが宿屋を飛び出す寸前
ーーーードスッ、と
どこで見ていたのか。高い窓から飛び降りてきたゼアロルドにシオウは腰を抜かし、シオウの後を追いかけてきたロインは何故か隊長に叱咤された。
「え、えぇ~??」
買い物はゼアロルドと行った。
ゼ「アレほど目を離すなと言っただろ!?好奇心でも動くような子だと忘れたのか!?」
ロ「す、すみませんでした!完全に油断してました!(イーリエさまぁ~!!)」
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