巻き込まれた脇役は砂糖と塩と共に

田舎

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1章 脇役は砂糖と塩と共に

ーー活躍後の小ネターー

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刺客を追い払い戻ったはずが…
隊長の男が仲間から向けられているのは、刺すような視線であった。



「………そんな目で見ないでほしい、私だって疲れたんだ」
「私は何も言ってませんよ。シオウは私たちがお守りしていましたので」

いやいや、その目は怒っている。
嫌だなぁアルタイルの小言は本当に長くて面倒くさいんだ。

マクミランの暗殺部隊がやってきたのは三回。
初日は死の森を抜けた日の夜。次が一昨日の昼間で、そして今夜だ。


「森を抜けてまだ一週間も経っていませんが…、随分早いですね」
「奴等はそんなに戦争がしたいのか?」
「いいや、マクミラン側にも反戦派はいる。そうでなければ長年休戦にはならなかった。暴走しているのは恐らく、聖女様が降臨されたことで調子に乗っている一部だ」

―――― 一部の連中が勝手な行いをして、随分と調子に乗っている。
しかし王命は襲ってきた連中の命を取らない事であり、我々は状況の確認のためにマクミランに来た。争うためではない。
その結果、失態を重ねてしまったが……。


「隊長、ちゃんと回復薬は置いてきたのですか?」
「あぁ勿論。しかし、あの彼も愚かだ。かわいそうに… 」

戦うことに誇りを持つこともなく、過去の栄光と自尊心だけで他国を軽んじていた。
それを気の毒だと心の底から憂いた、それ以外の本心で彼らに向き合えなかった……。


「連中も国境を越えてまでは追ってこないだろう。一刻も早く向かうぞ」


――――必ず生きて戻ろう。
なにより無事にシュヴァルへ連れて行かねばならぬ、重要な存在が共にいるのだ。




「あっ、XXX!!XXX!」


拠点に戻ってきた騎士の姿に気付くなり、ぱあっと彼は笑顔を振りまく。

シオウは隊長に近寄り、”どこに行ってんだ?お腹すいてないか?”、と心配してくれているらしい。


「……あぁ、ただいま」


その表情に、先程まで化け物と呼ばれた人間の冷笑はない。
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