Domは訳ありSubを甘やかしたい

田舎

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番外編:欲求(前半)

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お気に入り200突破記念という感謝です
ラブラブだけどまだまだ恋愛初心者の二人.
今回は熊狩がある悪夢に病まされてる内容です。

・・・・・・・・・









【くまがりっ、くまがり…っ、】


ん?どうした、琥太郎?

ぐすりと小さく鼻を啜りながら俺の大事なパートナーが泣いていた。

お願い… と何度も切ない声を漏らして、それも白いシーツの上で素っ裸。
そんな格好だけでもお仕置き対象なのに、熱くて苦しげな甘い吐息を吐いて涙で濡れた瞳をしている姿に息を飲む。

きみは―――――、まるで全世界の雄<Dom>を誘うように…



【お願い、縛って…】




「こた、っ!!??」

ガバッと布団をめくって飛び起きた、夢。

…………は?
ちらっと隣を見れば、すーすーと涎を垂らしながら眠っている琥太郎の姿がある。

(――――はぁ!?)

物足りないなんてことはない。琥太郎とのプレイにも満足しているし肌もつやっつやなのに… なのにまたあの夢だ… 。
苛立って頭を掻きむしってみたけど駄目だ。なにせこれは初めての夢じゃないんだ。

『だめ…?』

ダメじゃないし、むしろはじめはラッキーだと思ってたさ!だけど、何度も何度も夢の中で琥太郎に誘われる夜が続けば、起きた時の罪悪感が半端ない。
しかも朝勃ちだ…ッ。

(……………まさか俺って欲求不満なわけ??)

つか縛って、どうすんだよ…。緊縛プレイなんて趣向は持っていなかったはずだ。



なのに、気が付けばサブネットで拘束具なんて買ってしまった。
それだけじゃない。まるで粗を探すように、不満どころか文句すらない琥太郎をお仕置きするネタを無意識にも探してしまう。


(まるで思春期の中坊だな俺は……)


だめだ、仕事中でも気を抜くと悶々と悩んでしまう。

……こんな邪な心、琥太郎にバレたくない。
それもプレイ内容がおっさん臭いならまだしも拘束プレイだぞ!?もしも変態だと罵られたら精神的に死ぬ。確実に死ぬ、それは嫌だ。







「熊狩、なんか元気ない?」
「いや。そんなことないよ、ボーッとしてただけ」

のしっと俺の胸に体重をかけてくる琥太郎が可愛い。
だけど俺たちは、いつものようにソファーの上、二人揃ってテレビを見てるだけ。それだけだ…!
心の中で自分に言い聞かせなきゃダメだった。

「嘘だ。絶対に隠し事してる」
「してませんしてません」
「俺の事、どう思ってる?」
「恋人です」

あ。自分で聞いといて顔真っ赤にしてる、カワイイ。

「他には?」
「うん?」
「パートナーとして、なら?」
「それは………」

大ありだ、むしろ心当たりしかない。
もしかして琥太郎ってば―――………

「見ちゃった?」
「………うん。てか、隠せると思ってたのか?」

なんてこった。まぁ狭い我が家だ、買ったブツの隠し場所なんて知れてる。
だけど琥太郎もビビってない様子だ、ワンチャンこれは―― ありなのか?

「琥太郎は、ヤじゃない?」
「ってことは、やっぱり何か隠してたな!?」
「え」

ほら!!と俺を指刺して、うゔ~と唸る琥太郎のじと目も可愛いな~。
これは、ずるくないあざとくない!?

………だけど、まんまと罠にハマった俺はともかく、琥太郎はしゅんとしている。


「……やっぱり俺じゃダメ?頼りない…?」
「琥太郎じゃなきゃダメだ。悪い、ほんと…、俺個人の問題なんだけど…」
「けど??」
「その・……・、」

言いたくなくて歯切れが悪くなってしまう。
だけど、恋人兼パートナーを不安にさせてまで黙っておく事なんて俺にはないだろ。

「縛りたい」

色んなことを天秤にかけた結果、ようやく俺は自分の性癖を晒すことを選んだ。

「は」
「琥太郎を縛りたい」
「………」
「あ、ビビらせたらごめん!わかんねぇんだ…、欲求不満なのか、琥太郎にお仕置きしたいとかそんな風に考えちまう。自分でも理由が分からないんだ」

軽いコマンドだけで、すぐトロッとなる琥太郎を甘やかすのは気持ちいい。
幸せで、なにも問題ないはずなのに… もっと俺を激しく求めて、身も心も支配されて喜ぶ君が見たい。

俺のコマンドがなきゃ生きられないってくらいに。


「熊狩」
「最低だよな?傷つけたくないのに、琥太郎は大事なパートナーなのに…」
「勝利、顔あげて」

よしよしと頭を撫でるのは俺の役割なのに、優しく琥太郎に撫でられた。
そして下げていた視界をあげた先には、天使の微笑みだ。

「それはさぁ、その…オレを苦しめたいってこと?動けなくして殴ってみたいとかそうゆうの?」
「どっちもねぇし死んでも暴力なんて振るうもんか!」

今ですら何度、他のDomに傷つけられた琥太郎を思い出して心臓が止まりかけたことか。

プレイはしたいが、腫れた傷なんてみたくない!


「ならいいよ」
「琥太郎…?」
「オレを縛ってよ、勝利」
「まってくれ、そのワードはさすがに効く…っ、本当に?」
「うん」


きみは笑って、俺の欲求を受け入れてくれた


まさかの琥太郎の返事に、後ろからゴーンゴーンと教会の鐘の音が鳴り響く。涙が出そうだった。







(後半 琥太郎目線に続く)
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