24 / 27
番外編:欲求(前半)
しおりを挟む
お気に入り200突破記念という感謝です
ラブラブだけどまだまだ恋愛初心者の二人.
今回は熊狩がある悪夢に病まされてる内容です。
・・・・・・・・・
【くまがりっ、くまがり…っ、】
ん?どうした、琥太郎?
ぐすりと小さく鼻を啜りながら俺の大事なパートナーが泣いていた。
お願い… と何度も切ない声を漏らして、それも白いシーツの上で素っ裸。
そんな格好だけでもお仕置き対象なのに、熱くて苦しげな甘い吐息を吐いて涙で濡れた瞳をしている姿に息を飲む。
きみは―――――、まるで全世界の雄<Dom>を誘うように…
【お願い、縛って…】
「こた、っ!!??」
ガバッと布団をめくって飛び起きた、夢。
…………は?
ちらっと隣を見れば、すーすーと涎を垂らしながら眠っている琥太郎の姿がある。
(――――はぁ!?)
物足りないなんてことはない。琥太郎とのプレイにも満足しているし肌もつやっつやなのに… なのにまたあの夢だ… 。
苛立って頭を掻きむしってみたけど駄目だ。なにせこれは初めての夢じゃないんだ。
『だめ…?』
ダメじゃないし、むしろはじめはラッキーだと思ってたさ!だけど、何度も何度も夢の中で琥太郎に誘われる夜が続けば、起きた時の罪悪感が半端ない。
しかも朝勃ちだ…ッ。
(……………まさか俺って欲求不満なわけ??)
つか縛って、どうすんだよ…。緊縛プレイなんて趣向は持っていなかったはずだ。
なのに、気が付けばサブネットで拘束具なんて買ってしまった。
それだけじゃない。まるで粗を探すように、不満どころか文句すらない琥太郎をお仕置きするネタを無意識にも探してしまう。
(まるで思春期の中坊だな俺は……)
だめだ、仕事中でも気を抜くと悶々と悩んでしまう。
……こんな邪な心、琥太郎にバレたくない。
それもプレイ内容がおっさん臭いならまだしも拘束プレイだぞ!?もしも変態だと罵られたら精神的に死ぬ。確実に死ぬ、それは嫌だ。
「熊狩、なんか元気ない?」
「いや。そんなことないよ、ボーッとしてただけ」
のしっと俺の胸に体重をかけてくる琥太郎が可愛い。
だけど俺たちは、いつものようにソファーの上、二人揃ってテレビを見てるだけ。それだけだ…!
心の中で自分に言い聞かせなきゃダメだった。
「嘘だ。絶対に隠し事してる」
「してませんしてません」
「俺の事、どう思ってる?」
「恋人です」
あ。自分で聞いといて顔真っ赤にしてる、カワイイ。
「他には?」
「うん?」
「パートナーとして、なら?」
「それは………」
大ありだ、むしろ心当たりしかない。
もしかして琥太郎ってば―――………
「見ちゃった?」
「………うん。てか、隠せると思ってたのか?」
なんてこった。まぁ狭い我が家だ、買ったブツの隠し場所なんて知れてる。
だけど琥太郎もビビってない様子だ、ワンチャンこれは―― ありなのか?
「琥太郎は、ヤじゃない?」
「ってことは、やっぱり何か隠してたな!?」
「え」
ほら!!と俺を指刺して、うゔ~と唸る琥太郎のじと目も可愛いな~。
これは、ずるくない!?
………だけど、まんまと罠にハマった俺はともかく、琥太郎はしゅんとしている。
「……やっぱり俺じゃダメ?頼りない…?」
「琥太郎じゃなきゃダメだ。悪い、ほんと…、俺個人の問題なんだけど…」
「けど??」
「その・……・、」
言いたくなくて歯切れが悪くなってしまう。
だけど、恋人兼パートナーを不安にさせてまで黙っておく事なんて俺にはないだろ。
「縛りたい」
色んなことを天秤にかけた結果、ようやく俺は自分の性癖を晒すことを選んだ。
「は」
「琥太郎を縛りたい」
「………」
「あ、ビビらせたらごめん!わかんねぇんだ…、欲求不満なのか、琥太郎にお仕置きしたいとかそんな風に考えちまう。自分でも理由が分からないんだ」
軽いコマンドだけで、すぐトロッとなる琥太郎を甘やかすのは気持ちいい。
幸せで、なにも問題ないはずなのに… もっと俺を激しく求めて、身も心も支配されて喜ぶ君が見たい。
俺のコマンドがなきゃ生きられないってくらいに。
「熊狩」
「最低だよな?傷つけたくないのに、琥太郎は大事なパートナーなのに…」
「勝利、顔あげて」
よしよしと頭を撫でるのは俺の役割なのに、優しく琥太郎に撫でられた。
そして下げていた視界をあげた先には、天使の微笑みだ。
「それはさぁ、その…オレを苦しめたいってこと?動けなくして殴ってみたいとかそうゆうの?」
「どっちもねぇし死んでも暴力なんて振るうもんか!」
今ですら何度、他のDomに傷つけられた琥太郎を思い出して心臓が止まりかけたことか。
プレイはしたいが、腫れた傷なんてみたくない!
「ならいいよ」
「琥太郎…?」
「オレを縛ってよ、勝利」
「まってくれ、そのワードはさすがに効く…っ、本当に?」
「うん」
きみは笑って、俺の欲求を受け入れてくれた
まさかの琥太郎の返事に、後ろからゴーンゴーンと教会の鐘の音が鳴り響く。涙が出そうだった。
(後半 琥太郎目線に続く)
ラブラブだけどまだまだ恋愛初心者の二人.
今回は熊狩がある悪夢に病まされてる内容です。
・・・・・・・・・
【くまがりっ、くまがり…っ、】
ん?どうした、琥太郎?
ぐすりと小さく鼻を啜りながら俺の大事なパートナーが泣いていた。
お願い… と何度も切ない声を漏らして、それも白いシーツの上で素っ裸。
そんな格好だけでもお仕置き対象なのに、熱くて苦しげな甘い吐息を吐いて涙で濡れた瞳をしている姿に息を飲む。
きみは―――――、まるで全世界の雄<Dom>を誘うように…
【お願い、縛って…】
「こた、っ!!??」
ガバッと布団をめくって飛び起きた、夢。
…………は?
ちらっと隣を見れば、すーすーと涎を垂らしながら眠っている琥太郎の姿がある。
(――――はぁ!?)
物足りないなんてことはない。琥太郎とのプレイにも満足しているし肌もつやっつやなのに… なのにまたあの夢だ… 。
苛立って頭を掻きむしってみたけど駄目だ。なにせこれは初めての夢じゃないんだ。
『だめ…?』
ダメじゃないし、むしろはじめはラッキーだと思ってたさ!だけど、何度も何度も夢の中で琥太郎に誘われる夜が続けば、起きた時の罪悪感が半端ない。
しかも朝勃ちだ…ッ。
(……………まさか俺って欲求不満なわけ??)
つか縛って、どうすんだよ…。緊縛プレイなんて趣向は持っていなかったはずだ。
なのに、気が付けばサブネットで拘束具なんて買ってしまった。
それだけじゃない。まるで粗を探すように、不満どころか文句すらない琥太郎をお仕置きするネタを無意識にも探してしまう。
(まるで思春期の中坊だな俺は……)
だめだ、仕事中でも気を抜くと悶々と悩んでしまう。
……こんな邪な心、琥太郎にバレたくない。
それもプレイ内容がおっさん臭いならまだしも拘束プレイだぞ!?もしも変態だと罵られたら精神的に死ぬ。確実に死ぬ、それは嫌だ。
「熊狩、なんか元気ない?」
「いや。そんなことないよ、ボーッとしてただけ」
のしっと俺の胸に体重をかけてくる琥太郎が可愛い。
だけど俺たちは、いつものようにソファーの上、二人揃ってテレビを見てるだけ。それだけだ…!
心の中で自分に言い聞かせなきゃダメだった。
「嘘だ。絶対に隠し事してる」
「してませんしてません」
「俺の事、どう思ってる?」
「恋人です」
あ。自分で聞いといて顔真っ赤にしてる、カワイイ。
「他には?」
「うん?」
「パートナーとして、なら?」
「それは………」
大ありだ、むしろ心当たりしかない。
もしかして琥太郎ってば―――………
「見ちゃった?」
「………うん。てか、隠せると思ってたのか?」
なんてこった。まぁ狭い我が家だ、買ったブツの隠し場所なんて知れてる。
だけど琥太郎もビビってない様子だ、ワンチャンこれは―― ありなのか?
「琥太郎は、ヤじゃない?」
「ってことは、やっぱり何か隠してたな!?」
「え」
ほら!!と俺を指刺して、うゔ~と唸る琥太郎のじと目も可愛いな~。
これは、ずるくない!?
………だけど、まんまと罠にハマった俺はともかく、琥太郎はしゅんとしている。
「……やっぱり俺じゃダメ?頼りない…?」
「琥太郎じゃなきゃダメだ。悪い、ほんと…、俺個人の問題なんだけど…」
「けど??」
「その・……・、」
言いたくなくて歯切れが悪くなってしまう。
だけど、恋人兼パートナーを不安にさせてまで黙っておく事なんて俺にはないだろ。
「縛りたい」
色んなことを天秤にかけた結果、ようやく俺は自分の性癖を晒すことを選んだ。
「は」
「琥太郎を縛りたい」
「………」
「あ、ビビらせたらごめん!わかんねぇんだ…、欲求不満なのか、琥太郎にお仕置きしたいとかそんな風に考えちまう。自分でも理由が分からないんだ」
軽いコマンドだけで、すぐトロッとなる琥太郎を甘やかすのは気持ちいい。
幸せで、なにも問題ないはずなのに… もっと俺を激しく求めて、身も心も支配されて喜ぶ君が見たい。
俺のコマンドがなきゃ生きられないってくらいに。
「熊狩」
「最低だよな?傷つけたくないのに、琥太郎は大事なパートナーなのに…」
「勝利、顔あげて」
よしよしと頭を撫でるのは俺の役割なのに、優しく琥太郎に撫でられた。
そして下げていた視界をあげた先には、天使の微笑みだ。
「それはさぁ、その…オレを苦しめたいってこと?動けなくして殴ってみたいとかそうゆうの?」
「どっちもねぇし死んでも暴力なんて振るうもんか!」
今ですら何度、他のDomに傷つけられた琥太郎を思い出して心臓が止まりかけたことか。
プレイはしたいが、腫れた傷なんてみたくない!
「ならいいよ」
「琥太郎…?」
「オレを縛ってよ、勝利」
「まってくれ、そのワードはさすがに効く…っ、本当に?」
「うん」
きみは笑って、俺の欲求を受け入れてくれた
まさかの琥太郎の返事に、後ろからゴーンゴーンと教会の鐘の音が鳴り響く。涙が出そうだった。
(後半 琥太郎目線に続く)
77
あなたにおすすめの小説
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
二日に一度を目安に更新しております
隠れSubは大好きなDomに跪きたい
みー
BL
ある日ハイランクDomの榊千鶴に告白してきたのは、Subを怖がらせているという噂のあの子でー。
更新がずいぶん遅れてしまいました。全話加筆修正いたしましたので、また読んでいただけると嬉しいです。
ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる
cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。
「付き合おうって言ったのは凪だよね」
あの流れで本気だとは思わないだろおおお。
凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?
若頭の溺愛は、今日も平常運転です
なの
BL
『ヤクザの恋は重すぎて甘すぎる』続編!
過保護すぎる若頭・鷹臣との同棲生活にツッコミが追いつかない毎日を送る幼なじみの相良悠真。
ホットミルクに外出禁止、舎弟たちのニヤニヤ見守り付き(?)ラブコメ生活はいつだって騒がしく、でもどこかあったかい。
だけどそんな日常の中で、鷹臣の覚悟に触れ、悠真は気づく。
……俺も、ちゃんと応えたい。
笑って泣けて、めいっぱい甘い!
騒がしくて幸せすぎる、ヤクザとツッコミ男子の結婚一直線ラブストーリー!
※前作『ヤクザの恋は重すぎて甘すぎる』を読んでからの方が、より深く楽しめます。
兄さん、僕貴方にだけSubになるDomなんです!
かぎのえみずる
BL
双子の兄を持つ章吾は、大人顔負けのDomとして生まれてきたはずなのに、兄にだけはSubになってしまう性質で。
幼少期に分かって以来兄を避けていたが、二十歳を超える頃、再会し二人の歯車がまた巡る
Dom/Subユニバースボーイズラブです。
初めてDom/Subユニバース書いてみたので違和感あっても気にしないでください。
Dom/Subユニバースの用語説明なしです。
不器用な僕とご主人様の約束
いち
BL
敬語のクラブオーナー×年下のやんちゃっ子。遊んでばかりいるSubの雪はある日ナイトクラブでDomの華藍を知ります。ちょっと暑くなってくる前に出会った二人の短編です。
🍸カンパリオレンジのカクテル言葉は初恋だそうです。素敵ですね。
※pixivにも同様の作品を掲載しています
ゲームにはそんな設定無かっただろ!
猫宮乾
BL
大学生の俺は、【月の旋律 ~ 魔法の言葉 ~】というBLゲームのテストのバイトをしている。異世界の魔法学園が舞台で、女性がいない代わりにDomやSubといった性別がある設定のゲームだった。特にゲームが得意なわけでもなく、何周もしてスチルを回収した俺は、やっとその内容をまとめる事に決めたのだが、飲み物を取りに行こうとして階段から落下した。そして気づくと、転生していた。なんと、テストをしていたBLゲームの世界に……名もなき脇役というか、出てきたのかすら不明なモブとして。 ※という、異世界ファンタジー×BLゲーム転生×Dom/Subユニバースなお話です。D/Sユニバース設定には、独自要素がかなり含まれています、ご容赦願います。また、D/Sユニバースをご存じなくても、恐らく特に問題なくご覧頂けると思います。
久しぶりの発情期に大好きな番と一緒にいるΩ
いち
BL
Ωの丞(たすく)は、自分の番であるαの かじとのことが大好き。
いつものように晩御飯を作りながら、かじとを待っていたある日、丞にヒートの症状が…周期をかじとに把握されているため、万全の用意をされるが恥ずかしさから否定的にな。しかし丞の症状は止まらなくなってしまう。Ωがよしよしされる短編です。
※pixivにも同様の作品を掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる