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12 (琥太郎目線)※微
しおりを挟む【リンに似合うだろうなって思ったんだ、ほら音も綺麗だろ?】
はじめての給料で買ったって言ってもらえて、嬉しかったよ…
だから、嘘でも何でもいいから彼に尽くしたいって思ってしまった。
こんな素敵なDomはもう一生オレの前に現れてくれないって――――‥‥‥‥
「おい、いつまで寝てんだ!?」
「あ゛、あ、っ!?」
バシッと頬を打つ平手打ちで意識が覚醒した
え、なに… っ、 オレは なにしてたんだっけ… ?
「衝撃で吹っ飛んだか?客の顔を忘れるなんていい度胸してるなぁ??」
あ、あぁ…そうだった。
清掃員のバイトとして派遣された先に、元客だったこの男がいて… 提示された金額にホイホイついてきたんだっけ
色々と思い出すうちにザッと顔色が青ざめていく。
「あっ、ごめんなさ、っ…」
そうだった。 今はあるホテルの一室で、この男とプレイ中だった。
殴られて無理やり首を絞められて―――…‥
「これだからSubは面倒くせぇんだよ。ドMの癖に命令が欲しいんだよな?」
「……っ、ぁ…、やめて…、くださいっ」
「あ?」
ギロリと睨まれて息が詰まりそうだった。
容赦のないGlareに震えが止まらない。深い息ができなくて、はぁはぁと浅くて苦しいを繰り返していた。
「ほら、リン。足を広げてこっちに見せろ――"Present"」
コマンドに鳥肌が立った瞬間、オレは隣にあるはずだった面影を探してしまった。
やめて、気持ちが悪いっ
せーふ、わーど…っ、なんだっけ…、せーふわどが…、
「……っ、て・…」
「あ?」
「せーふわーど…っ、いやだ…‥っ、やめて、… 怖いッ」
「あ゛ぁ!?」
Domの怒号にひっと小さな悲鳴が漏れる
「セーフワードだ??Subごときが歯向かう気か?」
「――――っ」
恐ろしい剣幕と重いプレッシャーに脳内は酷く混乱していた。
そうだ このひとはDomだ オレの欲求を満たして ご褒美をくれる
セーフワードなんて なんでオレは口走ってしまったんだろ…
「ぁ・…見て、ください…」
恐怖で震える足を叱咤して、よく見えるよう大きく足を開いた。
「ハハハハハ、なんだそりゃ?縮こまったちっせぇチンコだなぁ?」
「………」
「嫌だつっても従うんだからSubってのは生粋の変態だよなぁ。お前らほどプライドがない人間もいねぇだろうな」
下品に笑う声を聞いて、ぎゅうっと心臓が小さくなった気がした。褒めて欲しい、優しくしてほしいのに…
「はいはい、"goodboy”」と適当で心無い言葉にズキンッと痛みが走った。
いやだ、くるしい… 嬉しくなんかない
「…、… っ」
心臓の奥がビクビクして涙が止まらなくなる。
「さぁてまだ時間もあるし次は…あぁ、そういやお前、尻も使えるんだったか?」
その言葉にいっそう目の前が真っ暗になった。
殴って散々コマンドを使って高揚したのか、ニヤッといやらしい笑みだ。
「お前はその恰好でStayだ。シャワーから出てきたら別の方向で可愛がってやるよ」
そうオレにコマンドを与えてから男はシャワー室へと鼻歌を歌いながら入っていった。
にげるなら、いまだ…
でも命令はどうする?
逆らったらいけないって何度も躾直されてきた
もっと酷くてつらいプレイを経験してきたろ?
このまま大人しくしてれば、時間がくれば終わる
せっかく耐えた時間を無駄にしていいのか?
『琥太郎、いい子だ』
『ちゃんと意味があるんだ。従いたくないならコマンドにだって逆らっていいんだ』
ふと思い出した声と手のぬくもりにピクリと指先が動いた。
「た…、たすけて、…」
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