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814.ジェルミラ領進撃6
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先ずはラムデールだと誠一は鑑定眼を展開した。
それは相手の了解なく勝手に鑑定眼で覗いたことが
ばれたとしても異母兄弟のラムデールであれば
申し開きが通用するだろうという誠一の
狡く甘い考えによるものだった。
覗いた瞬間、誠一は息を呑んで、
大きく噴き出した。
少し前を馬に騎乗していたラムデールと
ファブリッツィオが突然のことに何事かと
驚き、振り返った。
「アルフレート、突然、どうした?」
ラムデールの問いかけに対して
誠一はおたおたしてしまった。
「いや特に何でもない。
欠伸をした時に虫が口にはいったんだ。
気にしないでくれ」
胡散臭げな視線を送るラムデールの視線を
何とか躱そうと、誠一は咳を何度かする振りをして
ペッと唾を吐き出した。
「ふう、何とか喉から虫が取れたようだよ。
心配かけてすまない」
「そうか、大丈夫ならそれでいい。
流石に大将が欠伸とは軍に示しがつかない。
誰が見ているかわからないから、気を付けろよ」
ファブリッツィオが誠一を叱責した。
誠一は適当に見繕ったこの話が続くことを
避けるために別の話題を振った。
「そういえば、2人は王国の正規軍に
籍をおいているけど、将来はやはり一軍の将として、
王国に仕えるつもり?」
まずファブリッツィオが軽く頷いた。
ラムデールは少し小首を傾げる仕草をした後に頷いた。
「お前の主宰するクランに所属しながら、
王国へ奉仕することになるだろうな。
どの道、俺は、ストラッツェール家の2男だから、
兄に余程の事がなければ、他家へ婿養子に出されるか
戦功によって爵位を得て、新たな家を興すかだな」
ファブリッツィオが話すと続いて、ラムデールが話始めた。
「俺はそうだな。どこぞの放蕩長子が旅に飽きて
エスターライヒ家テルトリア領に戻って来るまで
領主の代理を任されることになるだろう。
誰かさんのせいでな。そうだろう、アルフレート」
なるほどと誠一は心の中で納得した。
ラムデールの称号の一つ『嫡子代理』は、
彼の心の持ち様を表した称号であった。
何となくファブリッツィオの能力を
覗く気を削がれた誠一は、2人と他愛ない会話を
続けながら、馬を進めた。
「父上、これほどまでに脆弱な抵抗ですと、
張り合いがありませんね」
ジェミロ・ジェルミラが籠る城に向けて、
破竹の勢いで軍を進めるストラッツェール家であった。
誠一たちの軍と違って、活気と緊張に満ちていた。
敵軍と交戦中の最前線は既に小さな関所の正門を
破壊して、関所内に突入していた。
王国軍の損害は軽微であった。
軍に惰気は生じていないが、
一兵卒に至るまで慢心気味であった。
「父上、これほどまでに脆弱な抵抗ですと、
張り合いがありませんね」
馬上で軍を指揮するティモフェイは
余裕の笑みを零した。
それは相手の了解なく勝手に鑑定眼で覗いたことが
ばれたとしても異母兄弟のラムデールであれば
申し開きが通用するだろうという誠一の
狡く甘い考えによるものだった。
覗いた瞬間、誠一は息を呑んで、
大きく噴き出した。
少し前を馬に騎乗していたラムデールと
ファブリッツィオが突然のことに何事かと
驚き、振り返った。
「アルフレート、突然、どうした?」
ラムデールの問いかけに対して
誠一はおたおたしてしまった。
「いや特に何でもない。
欠伸をした時に虫が口にはいったんだ。
気にしないでくれ」
胡散臭げな視線を送るラムデールの視線を
何とか躱そうと、誠一は咳を何度かする振りをして
ペッと唾を吐き出した。
「ふう、何とか喉から虫が取れたようだよ。
心配かけてすまない」
「そうか、大丈夫ならそれでいい。
流石に大将が欠伸とは軍に示しがつかない。
誰が見ているかわからないから、気を付けろよ」
ファブリッツィオが誠一を叱責した。
誠一は適当に見繕ったこの話が続くことを
避けるために別の話題を振った。
「そういえば、2人は王国の正規軍に
籍をおいているけど、将来はやはり一軍の将として、
王国に仕えるつもり?」
まずファブリッツィオが軽く頷いた。
ラムデールは少し小首を傾げる仕草をした後に頷いた。
「お前の主宰するクランに所属しながら、
王国へ奉仕することになるだろうな。
どの道、俺は、ストラッツェール家の2男だから、
兄に余程の事がなければ、他家へ婿養子に出されるか
戦功によって爵位を得て、新たな家を興すかだな」
ファブリッツィオが話すと続いて、ラムデールが話始めた。
「俺はそうだな。どこぞの放蕩長子が旅に飽きて
エスターライヒ家テルトリア領に戻って来るまで
領主の代理を任されることになるだろう。
誰かさんのせいでな。そうだろう、アルフレート」
なるほどと誠一は心の中で納得した。
ラムデールの称号の一つ『嫡子代理』は、
彼の心の持ち様を表した称号であった。
何となくファブリッツィオの能力を
覗く気を削がれた誠一は、2人と他愛ない会話を
続けながら、馬を進めた。
「父上、これほどまでに脆弱な抵抗ですと、
張り合いがありませんね」
ジェミロ・ジェルミラが籠る城に向けて、
破竹の勢いで軍を進めるストラッツェール家であった。
誠一たちの軍と違って、活気と緊張に満ちていた。
敵軍と交戦中の最前線は既に小さな関所の正門を
破壊して、関所内に突入していた。
王国軍の損害は軽微であった。
軍に惰気は生じていないが、
一兵卒に至るまで慢心気味であった。
「父上、これほどまでに脆弱な抵抗ですと、
張り合いがありませんね」
馬上で軍を指揮するティモフェイは
余裕の笑みを零した。
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