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791.南方戦役38
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翌日、ロジェに100名の兵を預けると、
誠一たちは何故か急ぎ足で拠点としている城に向かった。
誰が急かした訳でもなかったが、出征した時より
明らかに早く帰城した。
誠一たちを迎えたのは、剣豪ではなくラムデールだった。
「アルフレート、戻ったか。
すでにお前の活躍を噂で聞いたぞ。
どこまで本当なんだ?」
珍しくラムデールがそわそわしていた。
誠一はどんな噂が流れているのか逆に知りたくなった。
「おう、ラムデール!
噂の通りだ、アルの奴がガイダロフの野郎をぼこぼこにしたぞ。
残念だが、取り逃がしたけどな。3度目はない」
おいおい、お前は常に一緒に行動していただろう、
何故、噂を知っているんだと
ヴェルに突っ込みを入れたくなった誠一だった。
「そうかそれなら、完全にクラン『戦神に集いし英雄』は
俺たちに敵対することになるんだな。
あのクランは一筋縄ではいかない猛者が集まっているぞ。
それにリーダーのアルヤンは化け物じみた強さらしいな」
ラムデールは、馬上で腕組みしながら、深刻そうな顔をしていた。
「おいおい、ラムデール!辛気臭い顔すんなって。
おまえもアルフレートの主宰するクランのメンバーなら、
この程度のことは笑い飛ばせよ。それが俺らのクランの流儀だ」
また、勝手なことを誠一は呆れながらも
ついつい笑ってしまった。
そのことでラムデールは勘違いしてしまった。
「そうかそうだな。
これだけ錚々たるメンバーの集まりだ。
それが当たり前だな」
ラムデールも笑った。
「アル、噂話との擦り合わせは後にして
早く先生に会わなくていいの?」
シエンナの言葉で誠一は周囲を見渡して、
この場に剣豪の姿がないことを確認した。
そのため居城に向かう事にした。
「待て待て、急いで城に行っても先生は不在だぞ。
ファブリッツィオを鍛えるとか何とかい言って、
俺と交代して、今、この地域の小豪族たちに
攻め込んでいるぞ。ってか連絡がいってないのか?」
内心の衝撃とは裏腹に誠一は努めて冷静に装った。
「いや全く知らないし」
「アル、声が裏がっているぞ」
ヴェルに突っ込まれた。
誠一は突っ込まれたことで更に動揺してしまった。
そして、少し言葉が乱れた。
「まあ先生が戻ってら、詳しく話を聞きまそう。
それよりラムデール、周辺地域の巡回はどうだった?」
「ああ、この地域の豪族はどうも張り合いが無いな」
誠一の心に引っ掛かるフレーズがラムデールから聞こえた。
治安維持のための巡回を依頼したはずだが、
何故か南方諸領主と戦をしているような話題になっていた。
「まてまて、みんな、待て。
ラムデール、周辺の領主が攻め込んで来たのか?」
ラムデールの語る武勇伝を遮り、誠一が尋ねた。
「いや、先生の指示でこちらから騎馬隊を
駆って一気呵成に攻め込んだけど。
この乱世にどの豪族も貴族たちも大した防衛の構えがなく、
速攻で降伏して来たぞ。
それだけ乱世の影響が小さく、
まだまだ南方地域は平和だってことだな。
羨ましい限りだ」
最後にラムデールは皮肉を効かせた言い方をした。
誰もが苦笑した。
誠一はそれどころではなかった。
知らぬ間に領土が拡張していた。
喜ばしいことであるが、防衛という点からすると、
非常に心許無い兵力と将の数であった。
剣豪とファブリッツィオが帰陣してから、
今後のことを考えようと誠一は思考を停止させて、
入城した。
誠一たちは何故か急ぎ足で拠点としている城に向かった。
誰が急かした訳でもなかったが、出征した時より
明らかに早く帰城した。
誠一たちを迎えたのは、剣豪ではなくラムデールだった。
「アルフレート、戻ったか。
すでにお前の活躍を噂で聞いたぞ。
どこまで本当なんだ?」
珍しくラムデールがそわそわしていた。
誠一はどんな噂が流れているのか逆に知りたくなった。
「おう、ラムデール!
噂の通りだ、アルの奴がガイダロフの野郎をぼこぼこにしたぞ。
残念だが、取り逃がしたけどな。3度目はない」
おいおい、お前は常に一緒に行動していただろう、
何故、噂を知っているんだと
ヴェルに突っ込みを入れたくなった誠一だった。
「そうかそれなら、完全にクラン『戦神に集いし英雄』は
俺たちに敵対することになるんだな。
あのクランは一筋縄ではいかない猛者が集まっているぞ。
それにリーダーのアルヤンは化け物じみた強さらしいな」
ラムデールは、馬上で腕組みしながら、深刻そうな顔をしていた。
「おいおい、ラムデール!辛気臭い顔すんなって。
おまえもアルフレートの主宰するクランのメンバーなら、
この程度のことは笑い飛ばせよ。それが俺らのクランの流儀だ」
また、勝手なことを誠一は呆れながらも
ついつい笑ってしまった。
そのことでラムデールは勘違いしてしまった。
「そうかそうだな。
これだけ錚々たるメンバーの集まりだ。
それが当たり前だな」
ラムデールも笑った。
「アル、噂話との擦り合わせは後にして
早く先生に会わなくていいの?」
シエンナの言葉で誠一は周囲を見渡して、
この場に剣豪の姿がないことを確認した。
そのため居城に向かう事にした。
「待て待て、急いで城に行っても先生は不在だぞ。
ファブリッツィオを鍛えるとか何とかい言って、
俺と交代して、今、この地域の小豪族たちに
攻め込んでいるぞ。ってか連絡がいってないのか?」
内心の衝撃とは裏腹に誠一は努めて冷静に装った。
「いや全く知らないし」
「アル、声が裏がっているぞ」
ヴェルに突っ込まれた。
誠一は突っ込まれたことで更に動揺してしまった。
そして、少し言葉が乱れた。
「まあ先生が戻ってら、詳しく話を聞きまそう。
それよりラムデール、周辺地域の巡回はどうだった?」
「ああ、この地域の豪族はどうも張り合いが無いな」
誠一の心に引っ掛かるフレーズがラムデールから聞こえた。
治安維持のための巡回を依頼したはずだが、
何故か南方諸領主と戦をしているような話題になっていた。
「まてまて、みんな、待て。
ラムデール、周辺の領主が攻め込んで来たのか?」
ラムデールの語る武勇伝を遮り、誠一が尋ねた。
「いや、先生の指示でこちらから騎馬隊を
駆って一気呵成に攻め込んだけど。
この乱世にどの豪族も貴族たちも大した防衛の構えがなく、
速攻で降伏して来たぞ。
それだけ乱世の影響が小さく、
まだまだ南方地域は平和だってことだな。
羨ましい限りだ」
最後にラムデールは皮肉を効かせた言い方をした。
誰もが苦笑した。
誠一はそれどころではなかった。
知らぬ間に領土が拡張していた。
喜ばしいことであるが、防衛という点からすると、
非常に心許無い兵力と将の数であった。
剣豪とファブリッツィオが帰陣してから、
今後のことを考えようと誠一は思考を停止させて、
入城した。
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