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788.南方戦役35
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「そうか、そういう方法ですか!納得です」
アミラも復活できない程ゾンビを鉄鋼鈎で斬り刻んだ。
「なっななな、なんて罰当たりなことを。
貴様らそれでも人間かっ」
言うに事欠くとは、こういうことを言うんだなと
誠一は納得してしまった。
しょうもない感想を抱きつつ、
誠一もゾンビと化したモレロン軍の騎士を叩き潰した。
嫌な感触が手に残るが、7面メイスでは斬ることができず、
更に魔力が枯渇気味なこともあって、
7面メイスの打撃による力任せな攻撃しか選択肢がなかった。
「アル、おまえ、エグイな。
流石は俺の友であり、好敵手だ」
ヴェルはハルバートで斬り刻むが
剣ほどの深く斬ることができずに難儀していた。
そうこうしているうちに黒衣の男が
手駒とできるような死体は数をみるみるうちに
減っていった。
「さてと『このフィールドでは我が魔術は最強』だったかな」
皮肉たっぷりに黒衣の男をマリアンヌが睨みつけた。
「ああそうだ。
死体あるところそれは我が魔術が最も映えるフィールドだ。
ゾンビを生み出すだけが死霊魔術だと思うなよ」
内心はどうであれ動揺を悟られずに黒衣の男は虚勢を張った。
「滴り落ちる血よ。
呪うべき者たちへの復讐の機会を与えよう。
ブラッドスピアー」
身体より零れ落ち、地を這う血液が一か所に集まると、
幾本もの巨大なスピアを形作った。
そして、誠一たちに向かって飛来した。
黒衣の男は誠一たちに隙が生じると、
転送石を右手で取り出した。
すると、ぽとりと転送石を握っていた右手が
床に落ちた。
「ふん、逃がすかよ。
引き出せるだけ情報を引き出したら、貴様は殺す。
それともそこに転がっている右手も
ご自慢の死霊魔術の素材にするか」
「ぎゃあああああ」
一瞬の間をおいて、黒衣の男は左手で
血の噴き出す右手を抑えた。
血のスピアをマリアンヌがいつ粉砕したのか
誰にも分からなかった。
その上、右手を斬り落とした瞬間も分からなかった。
「あれがS級の実力か。
ってかよくもまあ、あの街道で俺たち殺されなかったな」
ヴェルがめずらしくロジェのように嘆息した。
咄嗟のことであったが、ヴェルの眼ですら
捉えることができなかったマリアンヌの力に
改めて誠一も驚嘆した。
「話す話す。頼むから助け、て」
ぼこぼこと身体が膨れ上がると話半ばで
黒衣の男はそのまま破裂した。
何の情報も残さずにその男は死んだ。
残されたのは破裂した死体、ばらばらになった死体、
叩き潰された死体だけだった。
騎士たちが握っていた赤黒い紙切れは
一枚も残っていなかった。
「勝ったのかな。どうも釈然としない戦が続く」
「アル、執務室とかを探せば、何か分かるかもしれないぞ」
ヴェルがきょろきょろと周りを見渡した。
「それは明日からだな。
一旦、撤収だ。そろそろ日が暮れるだろ。
こんなところで一夜を過ごすことは御免被りたいな」
「マリ、確かにそうですが、
闇に紛れて証拠を隠滅されませんかね」
誠一もまた周囲を見渡した。
アミラも復活できない程ゾンビを鉄鋼鈎で斬り刻んだ。
「なっななな、なんて罰当たりなことを。
貴様らそれでも人間かっ」
言うに事欠くとは、こういうことを言うんだなと
誠一は納得してしまった。
しょうもない感想を抱きつつ、
誠一もゾンビと化したモレロン軍の騎士を叩き潰した。
嫌な感触が手に残るが、7面メイスでは斬ることができず、
更に魔力が枯渇気味なこともあって、
7面メイスの打撃による力任せな攻撃しか選択肢がなかった。
「アル、おまえ、エグイな。
流石は俺の友であり、好敵手だ」
ヴェルはハルバートで斬り刻むが
剣ほどの深く斬ることができずに難儀していた。
そうこうしているうちに黒衣の男が
手駒とできるような死体は数をみるみるうちに
減っていった。
「さてと『このフィールドでは我が魔術は最強』だったかな」
皮肉たっぷりに黒衣の男をマリアンヌが睨みつけた。
「ああそうだ。
死体あるところそれは我が魔術が最も映えるフィールドだ。
ゾンビを生み出すだけが死霊魔術だと思うなよ」
内心はどうであれ動揺を悟られずに黒衣の男は虚勢を張った。
「滴り落ちる血よ。
呪うべき者たちへの復讐の機会を与えよう。
ブラッドスピアー」
身体より零れ落ち、地を這う血液が一か所に集まると、
幾本もの巨大なスピアを形作った。
そして、誠一たちに向かって飛来した。
黒衣の男は誠一たちに隙が生じると、
転送石を右手で取り出した。
すると、ぽとりと転送石を握っていた右手が
床に落ちた。
「ふん、逃がすかよ。
引き出せるだけ情報を引き出したら、貴様は殺す。
それともそこに転がっている右手も
ご自慢の死霊魔術の素材にするか」
「ぎゃあああああ」
一瞬の間をおいて、黒衣の男は左手で
血の噴き出す右手を抑えた。
血のスピアをマリアンヌがいつ粉砕したのか
誰にも分からなかった。
その上、右手を斬り落とした瞬間も分からなかった。
「あれがS級の実力か。
ってかよくもまあ、あの街道で俺たち殺されなかったな」
ヴェルがめずらしくロジェのように嘆息した。
咄嗟のことであったが、ヴェルの眼ですら
捉えることができなかったマリアンヌの力に
改めて誠一も驚嘆した。
「話す話す。頼むから助け、て」
ぼこぼこと身体が膨れ上がると話半ばで
黒衣の男はそのまま破裂した。
何の情報も残さずにその男は死んだ。
残されたのは破裂した死体、ばらばらになった死体、
叩き潰された死体だけだった。
騎士たちが握っていた赤黒い紙切れは
一枚も残っていなかった。
「勝ったのかな。どうも釈然としない戦が続く」
「アル、執務室とかを探せば、何か分かるかもしれないぞ」
ヴェルがきょろきょろと周りを見渡した。
「それは明日からだな。
一旦、撤収だ。そろそろ日が暮れるだろ。
こんなところで一夜を過ごすことは御免被りたいな」
「マリ、確かにそうですが、
闇に紛れて証拠を隠滅されませんかね」
誠一もまた周囲を見渡した。
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