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776.南方戦役23
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誠一たちはモレロン軍の居城から
少し離れた場所に野営地を構築した。
誠一たちの退却中、矢の一本すら、
城から放たれることはなかった。
その夜、誠一に夜警の番が回って来た。
誠一は眠そうなヴェルと交代し、夜警についた。
「ふぁああ、アル。後は頼むわ。
まあ、何もないと思うけどな」
ヴェルは外套に包まると即座に眠りに落ちた。
少し寝言がうるさかったが、うとうとしている誠一が
眠りに落ちることを妨げていた。
夜空を見上げると、星々が鮮やかに輝いていた。
雲一つなく、明日は晴れそうであった。
星々の輝きは夜の闇を明るく照らすほどに強くなく、
誠一が地上に眼を向けると、そこは吸い込まれそうな程の闇が
支配していた。
この世界に召喚されて、何年も経つが、
未だに夜の闇にはなれなかった。
かさかさ、近くで何かが揺れたような気がした。
誠一は緊張した。7面メイスを持って、立ち上がり、
音のする方に目、耳を傾けた。
闇から姿を現したのはサリナだった。
「なんだ、サリナか」
敵兵でないにしろ暗殺者の類を
警戒した誠一は、ほっとした。
「サリナ、あまり出歩くのは良くないな。
物音で皆が何事かと緊張するから」
サリナは誠一と視線を合わせずに俯いたままだった。
「そっそうね、ごめんなさい」
「それでサリナ。どうしたの?」
誠一が優しく問いかけた。
「うん、その今日はありがとう」
「えっいや、どういたしまして」
誠一は頓珍漢な応答をしてしまった。
サリナが笑った気がした。
「まったく、アルフレートは!
本当に何にお礼を言っているのか分かって答えてるの?」
思い当たる節はあったが、それは誠一にとって
あまりにも当たり前で自然な行動だった。
「まっ、それがあんたの良い所だけどね」
それから二人の間を微妙な沈黙が支配した。
いつの間に誠一とサリナはお互いの肌が
触れ合う距離まで近づいていた。
誠一はごくりと生唾を飲み込んだ。
そして、サリナの肩に腕を回して、引き寄せた。
びくりとサリナは肩を震わすが、拒絶はしなかった。
「わっわた、わたしにできるお礼なんて、
ほとんど何も無いから、あなたの好きにしていいよ」
誠一は再び生唾をごくりと飲み込んだ。
その言葉の意味することが分からない程、
誠一は阿呆ではなかった。
しかしどこまでサリナが受けいれるか分からなかった。
誠一は、肩を抱いていた腕をゆっくりと下げて
サリナの胸に触れた。サリナは我慢する様に歯を噛みしめた。
そのまま強引に抱き寄せて、唇を奪った。
誠一は自分の舌をサリナに絡ませた。
2人は少し息遣いが荒くなった。
誠一は立ち上がると、誰にも悟られないように
サリナの腕を取り、焚き火の炎が届かない闇の中に引き込んだ。
少し離れた場所に野営地を構築した。
誠一たちの退却中、矢の一本すら、
城から放たれることはなかった。
その夜、誠一に夜警の番が回って来た。
誠一は眠そうなヴェルと交代し、夜警についた。
「ふぁああ、アル。後は頼むわ。
まあ、何もないと思うけどな」
ヴェルは外套に包まると即座に眠りに落ちた。
少し寝言がうるさかったが、うとうとしている誠一が
眠りに落ちることを妨げていた。
夜空を見上げると、星々が鮮やかに輝いていた。
雲一つなく、明日は晴れそうであった。
星々の輝きは夜の闇を明るく照らすほどに強くなく、
誠一が地上に眼を向けると、そこは吸い込まれそうな程の闇が
支配していた。
この世界に召喚されて、何年も経つが、
未だに夜の闇にはなれなかった。
かさかさ、近くで何かが揺れたような気がした。
誠一は緊張した。7面メイスを持って、立ち上がり、
音のする方に目、耳を傾けた。
闇から姿を現したのはサリナだった。
「なんだ、サリナか」
敵兵でないにしろ暗殺者の類を
警戒した誠一は、ほっとした。
「サリナ、あまり出歩くのは良くないな。
物音で皆が何事かと緊張するから」
サリナは誠一と視線を合わせずに俯いたままだった。
「そっそうね、ごめんなさい」
「それでサリナ。どうしたの?」
誠一が優しく問いかけた。
「うん、その今日はありがとう」
「えっいや、どういたしまして」
誠一は頓珍漢な応答をしてしまった。
サリナが笑った気がした。
「まったく、アルフレートは!
本当に何にお礼を言っているのか分かって答えてるの?」
思い当たる節はあったが、それは誠一にとって
あまりにも当たり前で自然な行動だった。
「まっ、それがあんたの良い所だけどね」
それから二人の間を微妙な沈黙が支配した。
いつの間に誠一とサリナはお互いの肌が
触れ合う距離まで近づいていた。
誠一はごくりと生唾を飲み込んだ。
そして、サリナの肩に腕を回して、引き寄せた。
びくりとサリナは肩を震わすが、拒絶はしなかった。
「わっわた、わたしにできるお礼なんて、
ほとんど何も無いから、あなたの好きにしていいよ」
誠一は再び生唾をごくりと飲み込んだ。
その言葉の意味することが分からない程、
誠一は阿呆ではなかった。
しかしどこまでサリナが受けいれるか分からなかった。
誠一は、肩を抱いていた腕をゆっくりと下げて
サリナの胸に触れた。サリナは我慢する様に歯を噛みしめた。
そのまま強引に抱き寄せて、唇を奪った。
誠一は自分の舌をサリナに絡ませた。
2人は少し息遣いが荒くなった。
誠一は立ち上がると、誰にも悟られないように
サリナの腕を取り、焚き火の炎が届かない闇の中に引き込んだ。
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