780 / 830
770.南方戦役17
しおりを挟む
ガイダロフより遥かに早い動きで誠一は、
7面メイスをガイダロフの肉体へ叩きつけた。
鋼を叩いたような感覚しかなく、
肉や骨を殴りつけたような手応えを感じなかった。
「無駄だ」
それでも尚、叩きつける誠一。
「うぜえ、いい加減にしろ」
それでもやめる事無く叩きつける誠一。
「くそがが、いらつくんだよ」
それでも無言で叩きつける誠一。
ガイダロフの意識は完全に誠一に向けられた。
そしてガイダロフの意識から完全に忘れ去られたキャロリーヌが
一本の矢を放った。
「我が矢は稲妻如く奔る、飛電弓。
放つ矢は、如何なる障壁があろうとも必中。百発百中の儀」
キャロリーヌは一本の矢に二つの技を重ね合わせて放った。
並みの弓兵には到底、なせる技では無かった。
稲妻を宿した矢はガイダロフの傷ついた腹部に刺さった。
そしてガイダロフの全身に稲妻が迸った。
白目を剥くガイダロフ、ふらふらと前後に身体が揺れていた。
そこへ誠一が7面メイスで力任せに殴りつけた。
ガイダロフはそのままばたりと倒れた。
そして、むくりと立ち上がった。
黄みがかった濁った白目のまま、ふらふらともたつきながら、
ガイダロフは無造作に腹に刺さった矢を抜いた。
傷口から血が噴き出した。
目は、白目のままで何も映していなかった。
右手をだらりと垂らし、その手に持つ戦斧を引きずりならが、
誠一たちに近づいて来た。
誠一とヴェルは突然のガイダロフの変貌に
呆然としてしまった。
その瞬間、突然、ガイダロフの濁った白目に瞳が戻った。
誠一に肉薄すると大きく振り上げて戦斧を振り下ろした。
何とか躱したが、誠一は纏っていた漆黒のローブを
斬られてしまった。
「テメー死ねよ」
ヴェルの怒りが一瞬で沸騰した。
「死あるのみです」
静かに死を宣告するアミラだった。
「ああっ千晴様。
どうかこの下種を殺します故にお許しを」
空に向かい、許しを請うキャロリーヌだった。
「おまえは千晴様より下賜された至高のローブに
とんでもない事しでかしてくれたな」
怒りを何とか抑えながら、侮蔑の目を向けるロジェだった。
「ぷわわっわっわはぁー千晴様だと、なんだそりゃ。
神に名を付けるなんて、何かの冗談か?」
死んだふりを止めたガイダロフはゲラゲラと笑い転げた。
ガイダロフは自ら死刑を宣告したようなものであった。
ヴェルの背に蒼白い巨大な炎の翼が広がった。
アミラの動向が細くなり、感情の起伏を感じさせぬ爬虫類を
思わせる風貌となった。
キャロリーヌの弓の弦から軋む音が鳴った。
ロジェが地面を蹴り上げ、ツヴァイヘンダーを
肩口に乗せる様に構えた。
その様子を見て尚、ガイダロフは内心は
どうであれ余裕綽々の態度であった。
そして、数本の回復薬を一気に飲み干した。
7面メイスをガイダロフの肉体へ叩きつけた。
鋼を叩いたような感覚しかなく、
肉や骨を殴りつけたような手応えを感じなかった。
「無駄だ」
それでも尚、叩きつける誠一。
「うぜえ、いい加減にしろ」
それでもやめる事無く叩きつける誠一。
「くそがが、いらつくんだよ」
それでも無言で叩きつける誠一。
ガイダロフの意識は完全に誠一に向けられた。
そしてガイダロフの意識から完全に忘れ去られたキャロリーヌが
一本の矢を放った。
「我が矢は稲妻如く奔る、飛電弓。
放つ矢は、如何なる障壁があろうとも必中。百発百中の儀」
キャロリーヌは一本の矢に二つの技を重ね合わせて放った。
並みの弓兵には到底、なせる技では無かった。
稲妻を宿した矢はガイダロフの傷ついた腹部に刺さった。
そしてガイダロフの全身に稲妻が迸った。
白目を剥くガイダロフ、ふらふらと前後に身体が揺れていた。
そこへ誠一が7面メイスで力任せに殴りつけた。
ガイダロフはそのままばたりと倒れた。
そして、むくりと立ち上がった。
黄みがかった濁った白目のまま、ふらふらともたつきながら、
ガイダロフは無造作に腹に刺さった矢を抜いた。
傷口から血が噴き出した。
目は、白目のままで何も映していなかった。
右手をだらりと垂らし、その手に持つ戦斧を引きずりならが、
誠一たちに近づいて来た。
誠一とヴェルは突然のガイダロフの変貌に
呆然としてしまった。
その瞬間、突然、ガイダロフの濁った白目に瞳が戻った。
誠一に肉薄すると大きく振り上げて戦斧を振り下ろした。
何とか躱したが、誠一は纏っていた漆黒のローブを
斬られてしまった。
「テメー死ねよ」
ヴェルの怒りが一瞬で沸騰した。
「死あるのみです」
静かに死を宣告するアミラだった。
「ああっ千晴様。
どうかこの下種を殺します故にお許しを」
空に向かい、許しを請うキャロリーヌだった。
「おまえは千晴様より下賜された至高のローブに
とんでもない事しでかしてくれたな」
怒りを何とか抑えながら、侮蔑の目を向けるロジェだった。
「ぷわわっわっわはぁー千晴様だと、なんだそりゃ。
神に名を付けるなんて、何かの冗談か?」
死んだふりを止めたガイダロフはゲラゲラと笑い転げた。
ガイダロフは自ら死刑を宣告したようなものであった。
ヴェルの背に蒼白い巨大な炎の翼が広がった。
アミラの動向が細くなり、感情の起伏を感じさせぬ爬虫類を
思わせる風貌となった。
キャロリーヌの弓の弦から軋む音が鳴った。
ロジェが地面を蹴り上げ、ツヴァイヘンダーを
肩口に乗せる様に構えた。
その様子を見て尚、ガイダロフは内心は
どうであれ余裕綽々の態度であった。
そして、数本の回復薬を一気に飲み干した。
0
お気に入りに追加
117
あなたにおすすめの小説
平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。
モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。
日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。
今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。
そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。
特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。
おいでませ異世界!アラフォーのオッサンが異世界の主神の気まぐれで異世界へ。
ゴンべえ
ファンタジー
独身生活を謳歌していた井手口孝介は異世界の主神リュシーファの出来心で個人的に恥ずかしい死を遂げた。
全面的な非を認めて謝罪するリュシーファによって異世界転生したエルロンド(井手口孝介)は伯爵家の五男として生まれ変わる。
もちろん負い目を感じるリュシーファに様々な要求を通した上で。
貴族に転生した井手口孝介はエルロンドとして新たな人生を歩み、現代の知識を用いて異世界に様々な改革をもたらす!かもしれない。
思いつきで適当に書いてます。
不定期更新です。
異世界人生を楽しみたい そのためにも赤ん坊から努力する
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前は朝霧 雷斗(アサギリ ライト)
前世の記憶を持ったまま僕は別の世界に転生した
生まれてからすぐに両親の持っていた本を読み魔法があることを学ぶ
魔力は筋力と同じ、訓練をすれば上達する
ということで努力していくことにしました
暇つぶし転生~お使いしながらぶらり旅~
暇人太一
ファンタジー
仲良し3人組の高校生とともに勇者召喚に巻き込まれた、30歳の病人。
ラノベの召喚もののテンプレのごとく、おっさんで病人はお呼びでない。
結局雑魚スキルを渡され、3人組のパシリとして扱われ、最後は儀式の生贄として3人組に殺されることに……。
そんなおっさんの前に厳ついおっさんが登場。果たして病人のおっさんはどうなる!?
この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。
これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅
聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記
ノン・タロー
ファンタジー
ごく普通の女子高生である「武久 佳奈」は、通学途中に突然異世界へと飛ばされてしまう。これは何の特殊な能力もチートなスキルも持たない、ただごく普通の女子高生が、自力で会得した魔法やスキルを駆使し、元の世界へと帰る方法を探すべく見ず知らずの異世界で様々な人々や、様々な仲間たちとの出会いと別れを繰り返し、成長していく記録である……。
設定
この世界は人間、エルフ、妖怪、獣人、ドワーフ、魔物等が共存する世界となっています。
その為か男性だけでなく、女性も性に対する抵抗がわりと低くなっております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる