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769.南方戦役16
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「があああっパワーシフト」
ガイダロフは雄叫びを上げると、
ヴェルに向かって突撃した。
その技に呼応するかのようにロジェが
ガイダロフに向かって、同じ技で突撃した。
「うおおおっパワーシフト」
大男二人が激突した。
地力で遥かに優るガイダロフはロジェを突き飛ばした。
だが、ガイダロフの動きはそこで止まった。
「我が武器、ハルバートよ。
月を現す軌跡を描け。三日月斬撃」
15の月を模る軌跡の斬撃のうちの一つがヴェルより放たれた。
その軌跡は全て描かれる前にガイダロフの肉体によって止められた。
「ちくしょう。
先生のように鉄を斬るまでには至らないか」
すぐさまハルバートをひくヴェルであった。
ガイダロフの腹部に薄く血が流れていた。
鉄壁の硬度を誇る金剛石ごとき肉体強度であったが、
ヴェルによって、表面にほんの僅かだが亀裂が入った。
そこへキャロリーヌの正確無比な矢が幾本も当たった。
刺さることは無かったが、確実に傷口を広げ、
ガイダロフに出血を強いていた。
「うーん、速射じゃ無理ね。アル、ちょっと時間を稼いで。
アレの腹部をひき裂く位に弦を引くわ。
アミラとヴェルは周りに群がる雑魚を減らして。ロジェもね」
アミラに助けられながら立ち上がったロジェは何とか頷いた。
傍観に徹していた誠一は直ぐに動き出した。
刹那の瞬間だが、誠一の姿を見たガイダロフは左腕で口を隠した。
無論、それを見逃す誠一ではなかった。
「ぷぷぷっ、今回は痒み薬入りの毒瓶は使いませんよ。
実力で倒します」
「あああっ、どいつもこいつも舐め腐りやがって。
天啓を受けしレア度SSRのガイダロフ様が潰してやるわ」
北関を抜け出し、仲間同士での殺し合いという神罰を受けて、
久しく啓示をガイダロフは受けていなかった。
そのため、アルデット教の司祭グレームは去り、
クランの中での立ち位置は決してガイダロフにとって
心地よいものではなかった。
しかし、今ここでガイダロフは再び神の啓示を受けた。
『アルフレート・フォン・エスターライヒを殺せ。
奴は神々の世界で殺すべき対象とされている』
『この戦場で動かせる駒が1人いる。
サリナを向かわせる。
奴を殺した後は、サリナをまた、好きにするがいい』
ガイダロフは久しぶりに啓示による漲る力の奔流を感じた。
溢れ出る力を体外へ吐き出すかのように吠えた。
「アルフレート、貴様は神々の不興を買った。
神々は殺せとの仰せだ。
大人しく死ぬも抗って死ぬも最後の貴様の権利だ」
アルフレート・フォン・エスターライヒ狩猟祭は
確か千晴によって閉幕されたはずと誠一は認識していた。
また別のプレイヤーイベントが告知されたのだろうか、
それとも埋没したこのイベを覚えているプレイヤーなのだろうか、
いくら逡巡しても答えを得られる訳もなく後で
千晴に尋ねることにした。誠一は目の前の難敵に集中した。
ガイダロフは雄叫びを上げると、
ヴェルに向かって突撃した。
その技に呼応するかのようにロジェが
ガイダロフに向かって、同じ技で突撃した。
「うおおおっパワーシフト」
大男二人が激突した。
地力で遥かに優るガイダロフはロジェを突き飛ばした。
だが、ガイダロフの動きはそこで止まった。
「我が武器、ハルバートよ。
月を現す軌跡を描け。三日月斬撃」
15の月を模る軌跡の斬撃のうちの一つがヴェルより放たれた。
その軌跡は全て描かれる前にガイダロフの肉体によって止められた。
「ちくしょう。
先生のように鉄を斬るまでには至らないか」
すぐさまハルバートをひくヴェルであった。
ガイダロフの腹部に薄く血が流れていた。
鉄壁の硬度を誇る金剛石ごとき肉体強度であったが、
ヴェルによって、表面にほんの僅かだが亀裂が入った。
そこへキャロリーヌの正確無比な矢が幾本も当たった。
刺さることは無かったが、確実に傷口を広げ、
ガイダロフに出血を強いていた。
「うーん、速射じゃ無理ね。アル、ちょっと時間を稼いで。
アレの腹部をひき裂く位に弦を引くわ。
アミラとヴェルは周りに群がる雑魚を減らして。ロジェもね」
アミラに助けられながら立ち上がったロジェは何とか頷いた。
傍観に徹していた誠一は直ぐに動き出した。
刹那の瞬間だが、誠一の姿を見たガイダロフは左腕で口を隠した。
無論、それを見逃す誠一ではなかった。
「ぷぷぷっ、今回は痒み薬入りの毒瓶は使いませんよ。
実力で倒します」
「あああっ、どいつもこいつも舐め腐りやがって。
天啓を受けしレア度SSRのガイダロフ様が潰してやるわ」
北関を抜け出し、仲間同士での殺し合いという神罰を受けて、
久しく啓示をガイダロフは受けていなかった。
そのため、アルデット教の司祭グレームは去り、
クランの中での立ち位置は決してガイダロフにとって
心地よいものではなかった。
しかし、今ここでガイダロフは再び神の啓示を受けた。
『アルフレート・フォン・エスターライヒを殺せ。
奴は神々の世界で殺すべき対象とされている』
『この戦場で動かせる駒が1人いる。
サリナを向かわせる。
奴を殺した後は、サリナをまた、好きにするがいい』
ガイダロフは久しぶりに啓示による漲る力の奔流を感じた。
溢れ出る力を体外へ吐き出すかのように吠えた。
「アルフレート、貴様は神々の不興を買った。
神々は殺せとの仰せだ。
大人しく死ぬも抗って死ぬも最後の貴様の権利だ」
アルフレート・フォン・エスターライヒ狩猟祭は
確か千晴によって閉幕されたはずと誠一は認識していた。
また別のプレイヤーイベントが告知されたのだろうか、
それとも埋没したこのイベを覚えているプレイヤーなのだろうか、
いくら逡巡しても答えを得られる訳もなく後で
千晴に尋ねることにした。誠一は目の前の難敵に集中した。
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