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762. 南方戦役9
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ソードブレイカーを鞘に納めると、
マリアンヌは胸の中心に右手を当てた。
「我が名はマリアンヌ。
神より下賜された剣をここに顕現する」
マリアンヌが胸に当てた右手の辺りから
現れた剣の柄を握り、剣を引き出した。
そして、その剣を高々と空へ掲げた。
「一撃の元に城壁を破壊する。
アルフレート・フォン・エスターライヒの勇猛果敢な兵たちよ、
我に続け、ラッシュソード」
単純に技を繰り出す戦士の力が反映されるラッシュソードで
マリアンヌは城門へ向かって突貫した。
先陣を走るマリアンヌに向かって、集中的にヒトの欠片が
投擲された。
幾つかの欠片はマリアンヌにぶつかり、彼女を血と腐肉で汚したが
マリアンヌの勢いは削がれることはなかった。
その勢いに勇気づけられた兵士たちが続いた。
彼等は串刺しからこの人の欠片の投擲により
暗澹とされた気分を払拭するかのように激しい雄叫びを
上げていた。
流石にマリアンヌの一撃で城門が
破壊されることは無かった。
それに続くロジェ、キャロリーヌの攻撃にも
城門は耐えきった。
しかし城門より生じた衝撃は城壁を揺らし、
モレロン軍の兵士たちを恐怖に陥れるに十分な効果があった。
城壁の上でモレロン軍の指揮官が叫んでいた。
「作戦通りだ!
奴らは冷静さを失い、闇雲に突撃してきたぞ。
今だ、次の作戦に移る。攻撃を開始しろ」
城壁より大量に油壷や藁ぶき落とされた。
そして火矢を番えた弓兵たちが現れた。
地上に向かって火矢が放たれれば、地上は燃え上がり、
マリアンヌたちは焼かれ死ぬことは明白であった。
「やってくれるぜ。
くそったれ、どうするマリアンヌ。後退するか」
「ロジェ、これは間に合わないな。
火に巻き込まれて死ぬだけだ。開門させるしかあるまいよ」
マリアンヌは両手で神剣を握った。
ロジェとマリアンヌが城門を破壊せんと
試みようとするが、所詮、得物は剣であった。
如何なる業物であっても分厚い城門を破壊することには
不向きであった。
「まっシエンナが気付いてくれることに
期待するしかないか。
それとも気づいていて尚、ライバルを減らすために
魔術の展開を遅らすかしら」
キャロリーヌニヤリと笑って、火矢を上空へ向かって放った。
それと同時に城壁より無数の火矢が放たれた。
地上に火が噴き上がった。
いや噴き上がったように見えたのはほんの一瞬であった。
青々とした空からほんの僅か先すら見ることが
困難なほどの大量で大粒の水滴が降り注いだ。
地上を支配せんとした火は一瞬で大粒の雫により
叩き消された。
マリアンヌは胸の中心に右手を当てた。
「我が名はマリアンヌ。
神より下賜された剣をここに顕現する」
マリアンヌが胸に当てた右手の辺りから
現れた剣の柄を握り、剣を引き出した。
そして、その剣を高々と空へ掲げた。
「一撃の元に城壁を破壊する。
アルフレート・フォン・エスターライヒの勇猛果敢な兵たちよ、
我に続け、ラッシュソード」
単純に技を繰り出す戦士の力が反映されるラッシュソードで
マリアンヌは城門へ向かって突貫した。
先陣を走るマリアンヌに向かって、集中的にヒトの欠片が
投擲された。
幾つかの欠片はマリアンヌにぶつかり、彼女を血と腐肉で汚したが
マリアンヌの勢いは削がれることはなかった。
その勢いに勇気づけられた兵士たちが続いた。
彼等は串刺しからこの人の欠片の投擲により
暗澹とされた気分を払拭するかのように激しい雄叫びを
上げていた。
流石にマリアンヌの一撃で城門が
破壊されることは無かった。
それに続くロジェ、キャロリーヌの攻撃にも
城門は耐えきった。
しかし城門より生じた衝撃は城壁を揺らし、
モレロン軍の兵士たちを恐怖に陥れるに十分な効果があった。
城壁の上でモレロン軍の指揮官が叫んでいた。
「作戦通りだ!
奴らは冷静さを失い、闇雲に突撃してきたぞ。
今だ、次の作戦に移る。攻撃を開始しろ」
城壁より大量に油壷や藁ぶき落とされた。
そして火矢を番えた弓兵たちが現れた。
地上に向かって火矢が放たれれば、地上は燃え上がり、
マリアンヌたちは焼かれ死ぬことは明白であった。
「やってくれるぜ。
くそったれ、どうするマリアンヌ。後退するか」
「ロジェ、これは間に合わないな。
火に巻き込まれて死ぬだけだ。開門させるしかあるまいよ」
マリアンヌは両手で神剣を握った。
ロジェとマリアンヌが城門を破壊せんと
試みようとするが、所詮、得物は剣であった。
如何なる業物であっても分厚い城門を破壊することには
不向きであった。
「まっシエンナが気付いてくれることに
期待するしかないか。
それとも気づいていて尚、ライバルを減らすために
魔術の展開を遅らすかしら」
キャロリーヌニヤリと笑って、火矢を上空へ向かって放った。
それと同時に城壁より無数の火矢が放たれた。
地上に火が噴き上がった。
いや噴き上がったように見えたのはほんの一瞬であった。
青々とした空からほんの僅か先すら見ることが
困難なほどの大量で大粒の水滴が降り注いだ。
地上を支配せんとした火は一瞬で大粒の雫により
叩き消された。
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