転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組！だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業？それとも社畜？誰か助けて

685. 閑話 とある休日の昼間の情景2

シリアルで簡単な昼食を済ますと、
いくぶん千晴の気持ちは落ち着いた。
取り敢えず千晴は何度も連絡のあった清涼に
返信を送った。

『取り敢えずは大丈夫です。ご心配をかけてすみません』

すぐさま、清涼から返信があった。
『返信ありがとう。しばらく会社を休んでも大丈夫だから、
気分が落ち着いたら、連絡をください』

『ありがとうございます。落ち着いたら、ご連絡します』

千晴は返信をしたが、どうしても島崎のことが気になり、
再度、清涼にメールを送ってしまった。
『すみません、どうしても教えて欲しいのですが、
島崎はどうなりましたか？』

暫くすると、清涼から長文のメールが送られて来た。

『島崎？それは一体、誰ですか？
壁山に外部の協力者がいたということですか？
もしそうならば、辛いだろうけど、
その男の情報を教えて貰えないだろうか？
正直、被害の状況を掴みきれてないけど、
流石に外部の人間を会社に手引きして、
君に暴行を加えようとしたのならば、
辛いだろうけど、すぐさま警察に行くべきだ。
会社は壁山のストーカまがいの行為と判断しているから』

千晴は清涼のメールを読んで混乱してしまった。
島崎自身の存在を清涼が知らないなんてことがあるだろうか。
ないものとして既に会社が扱っているのだろうか。
流石にそれはないだろうと千晴は考えた。
千晴は再度、島崎について書き、メールを送った。

『株式会社山田電設の総務兼経理部の元課長のことです。
役員の方の娘さんを妻に迎えていました。
つい先日、退職届を提出して、今、有休消化中です』

メールを送り終えると直ぐパッドに着信音が鳴った。
千晴の身体がびくりと震えた。
恐る恐ると着信相手をみると、清涼からであった。
千晴はホッとした。そして、電話に出た。

「千晴？大丈夫かい」
清涼の声を聞くと、千晴は昨夜から
常に心に付き纏っていた不安が和らいだような気がした。

「ええ、今は落ち着いています。電話ありがとうございます」

「いやそれよりごめん、千晴が落ち着ているなら、うん、安心した」

清涼が言葉を重ねるたびに千晴の不安が和らいでいった。
そして、何故か涙が零れた。

「千晴、どうした？今から行こうか？」

電話越しに清涼の声を聞いた千晴はホッとした。
そして、その瞬間、自分でも気づいていなかった緊張の糸が
プツリと切れてしまった。
色んな感情が千晴の胸に一気に込み上げてきた。
何も話せずに千晴は泣いていた。

その間、清涼は何も話さずに千晴の嗚咽が止まるのを待った。