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656.氷竜1
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数日後、誠一たちは雪原をそりで移動していた。
霊峰氷山の山脈の麓の村で借り上げていた。
そりを引くのは、トナカイのような体躯の動物であった。
馬車を引く馬を御する感覚であったため、
どうにか誠一たちでも御する事できているようだった。
「頭が良いし、大人しくて、扱いやすいな」
どうやらヴェルは気に入ったようで休憩中に頭を撫でていた。
お返しにとばかりにざらついた舌で顔を舐められたヴェルだった。
「正式な名称は、雪原馬っていうのよ。
雪山を馬の様に走り回る姿から
そう呼ばれるようになったらしいわ」
ここぞとばかりに蘊蓄を垂れるシエンナだった。
「そうなんだ。それにしても素直な動物だよね」
あの夜以来、どうもシエンナと距離があるように
感じる誠一だった。
そのため、誠一は少しでも距離を縮めるために
積極的に話し掛ける様に心掛けていた。
「それはそうよ。
地域によっては馬以上に人との繋がりが長いしね。
もはや動物というより厳しい冬を
共に過ごす仲間のような関係だから」
まるで体験したかのように意気揚々と
講釈を垂れるシエンナだった。
誠一はついつい苦笑してしまった。
「アルフレート君、そろそろ出発しないか?
雪原馬のお陰で我々の疲労は左程でもないだろう」
ロジェが身体全体を伸ばしていた。
「そうですね。
氷竜の住処も幾つかの候補を当たらないといけないですし。
それじゃあ、第一候補地に向けて出発しましょう」
ヒトの雰囲気を悟ったのか、雪原馬たちも
のんびりとした顔つきから、きりっとした顔つきに
変ったように見えた。
「ふむ、第一候補は外れでござるな」
営巣地が辛うじて目に映る程の距離から剣豪は
氷竜がいないことを察したようであった。
「そうですか、ならば第二候補地に向かいましょう」
誠一は剣豪の言葉を信じて、目的地を変更しようとした。
「いやいやいや、アルフレート様、待ちなされ。
営巣後を漁るでござる。
何か掘り出し物か売れる物が残っているやもしれませぬ」
数百数千年を生きた竜の巣には財宝があるという。
そのため、危険を顧みずに竜討伐に挑む者が後を絶たなかった。
誠一もそのことは知っていた。しかし、捨て去られた巣に
何かがあるとは思えなかった。
誠一たちは営巣の跡地を覗いた。
ここの巣が放置されて随分、経つことが巣の状態から分かった。
「骨ばかりですね。特に何かある様には思えませんが」
他の冒険者に漁られた後のようで、
骨ばかりが転がっていた。
人骨も混じっていたが、鎧や武器は辺りになく
素を漁りに来た冒険者に持ち去られたのだろう。
「こっこれは、宝の山でござる。
やはり無人の巣を漁る様な低級な冒険者には
これらの価値が分からなかったのですな」
目を輝かす剣豪と剣豪の言葉に
こくこくと大きく頷くシエンナだった。
誠一には何のことだか全く分からなかった。
霊峰氷山の山脈の麓の村で借り上げていた。
そりを引くのは、トナカイのような体躯の動物であった。
馬車を引く馬を御する感覚であったため、
どうにか誠一たちでも御する事できているようだった。
「頭が良いし、大人しくて、扱いやすいな」
どうやらヴェルは気に入ったようで休憩中に頭を撫でていた。
お返しにとばかりにざらついた舌で顔を舐められたヴェルだった。
「正式な名称は、雪原馬っていうのよ。
雪山を馬の様に走り回る姿から
そう呼ばれるようになったらしいわ」
ここぞとばかりに蘊蓄を垂れるシエンナだった。
「そうなんだ。それにしても素直な動物だよね」
あの夜以来、どうもシエンナと距離があるように
感じる誠一だった。
そのため、誠一は少しでも距離を縮めるために
積極的に話し掛ける様に心掛けていた。
「それはそうよ。
地域によっては馬以上に人との繋がりが長いしね。
もはや動物というより厳しい冬を
共に過ごす仲間のような関係だから」
まるで体験したかのように意気揚々と
講釈を垂れるシエンナだった。
誠一はついつい苦笑してしまった。
「アルフレート君、そろそろ出発しないか?
雪原馬のお陰で我々の疲労は左程でもないだろう」
ロジェが身体全体を伸ばしていた。
「そうですね。
氷竜の住処も幾つかの候補を当たらないといけないですし。
それじゃあ、第一候補地に向けて出発しましょう」
ヒトの雰囲気を悟ったのか、雪原馬たちも
のんびりとした顔つきから、きりっとした顔つきに
変ったように見えた。
「ふむ、第一候補は外れでござるな」
営巣地が辛うじて目に映る程の距離から剣豪は
氷竜がいないことを察したようであった。
「そうですか、ならば第二候補地に向かいましょう」
誠一は剣豪の言葉を信じて、目的地を変更しようとした。
「いやいやいや、アルフレート様、待ちなされ。
営巣後を漁るでござる。
何か掘り出し物か売れる物が残っているやもしれませぬ」
数百数千年を生きた竜の巣には財宝があるという。
そのため、危険を顧みずに竜討伐に挑む者が後を絶たなかった。
誠一もそのことは知っていた。しかし、捨て去られた巣に
何かがあるとは思えなかった。
誠一たちは営巣の跡地を覗いた。
ここの巣が放置されて随分、経つことが巣の状態から分かった。
「骨ばかりですね。特に何かある様には思えませんが」
他の冒険者に漁られた後のようで、
骨ばかりが転がっていた。
人骨も混じっていたが、鎧や武器は辺りになく
素を漁りに来た冒険者に持ち去られたのだろう。
「こっこれは、宝の山でござる。
やはり無人の巣を漁る様な低級な冒険者には
これらの価値が分からなかったのですな」
目を輝かす剣豪と剣豪の言葉に
こくこくと大きく頷くシエンナだった。
誠一には何のことだか全く分からなかった。
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