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655.討伐依頼2
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「ちょっと三人ともどうしたのよ」
キャロリーヌが心配そうに3人へ声をかけた。
「心配ない。強力な魔石だから、
それなりに扱いも難儀だということだ。
特にアルフレートのメイスは二つの強力な魔石が
埋め込まれているからな。
2個であの状態だと、残り5個を埋め込んだ時のことを
考えると恐ろしいな」
カーリーの説明を受けてもキャロリーヌには安堵の表情が
浮かぶことはなかった。
「ふう、キャロ。大丈夫。
所詮は魔石だから。何とか扱えそうかな」
誠一が額の汗を腕で拭った。
「前もって魔術を込めておけば、
とんでもなく使い勝手が良さそうだな」
ヴェルも額の汗を腕で拭った。
「戦闘中に上手く扱えれば、戦い方の幅が広がりそうね。
それにしても魔石から何かしらの意思を感じるわ」
シエンナは、額の汗をハンカチで拭った。
「単に魔石の力が強大だからそう感じているだけだろうね。
慣れれば問題なさそうだ」
誠一の言葉に二人は頷いた。
「アルフレート様、落ち着いたとこで
お伺いしたいのですが、そのどうでしょうか
武器の出来栄えは?」
ラッセルの表情は冴えなかった。
誠一たちの表情がラッセルを不安にさせたのだろう。
「おう、問題なしだ。
氷竜に会う頃には扱えるようになってるだろうしな。
なあ、アル、そうだろう」
「ヴェルの言う通りだと思います。
ラッセルさん、ありがとうございます」
ヴェルと誠一の言葉を聞いたラッセルの表情が柔らいだ。
「そうですか、それは良かったです。
ではでは、残りの50%のお支払いもよろしくお願いします」
言質取ったりという感じに笑いながら、
揉み手で誠一に近寄るラッセルだった。
誠一はすっかりとお金のことを忘れており、
どうしたものかとシエンナの方を見た。
「えっ、私、手持ちほとんどないわよ」
期待した答えを得られずにがっくりとする誠一だった。
他のメンバーも同様であった。
剣豪に至っては目すら合わせようとしなかった。
「いやいや、アルフレート様。
無論、クランに参加させて頂いていますので、
このままアルフレート様が未払いでこっそりと
他の街に行くとは思いません。
しかし、私も妻子を持つ身ですので、
どうしてもまあ、生活がありますから」
話しているラッセルの声が段々と小さくなっていった。
誠一はお金を無心している訳でもなく、
当たり前に正当な報酬を求めているのにそんな小声に
ならなくてもと思ってしまった。
ただ、これから氷の雫の入手するために
遠征するとなると、ここで支払いを済ますと少々、
手持ちが心許なくなってしまう。
モリス商館に借入も可能だったが、
出来る限り借金をすることは避けたかった。
ふと、誠一はヨークの置いていった金に目を向けた。
誠一の視線の先をヴェルも見ていた。
「アル、ここで支払いを済ますと、遠征ができなくなるな。
かと言ってラッセルさんたちの生活を困窮させる訳にもいかない。
なら答えは一つだ!氷の雫を入手した後に残りの代金は払う。
それまではヨークのおっさんが置いていった金を使ってくれ」
代案はないし、自分もそう思ったが、他人からそれを聞くと
どうも手放しで賛成する気分にはなれなかった。
「ラッセルさん、すみませんがお願いできませんか?
氷の雫を入手後に残りの分をお支払いということでお願いします」
誠一は90°に腰を折って頭を下げた。
あたふたするラッセルの代わりにカーリーが答えた。
「それでいい。だが必ず戻って、支払えよ。
霊峰氷山方面に借金の督促に向かうのは
御免被りたいからな」
カーリーが笑うとつられた様にラミも笑った。
ラッセルは申し訳無さげに軽く頭を下げた。
キャロリーヌが心配そうに3人へ声をかけた。
「心配ない。強力な魔石だから、
それなりに扱いも難儀だということだ。
特にアルフレートのメイスは二つの強力な魔石が
埋め込まれているからな。
2個であの状態だと、残り5個を埋め込んだ時のことを
考えると恐ろしいな」
カーリーの説明を受けてもキャロリーヌには安堵の表情が
浮かぶことはなかった。
「ふう、キャロ。大丈夫。
所詮は魔石だから。何とか扱えそうかな」
誠一が額の汗を腕で拭った。
「前もって魔術を込めておけば、
とんでもなく使い勝手が良さそうだな」
ヴェルも額の汗を腕で拭った。
「戦闘中に上手く扱えれば、戦い方の幅が広がりそうね。
それにしても魔石から何かしらの意思を感じるわ」
シエンナは、額の汗をハンカチで拭った。
「単に魔石の力が強大だからそう感じているだけだろうね。
慣れれば問題なさそうだ」
誠一の言葉に二人は頷いた。
「アルフレート様、落ち着いたとこで
お伺いしたいのですが、そのどうでしょうか
武器の出来栄えは?」
ラッセルの表情は冴えなかった。
誠一たちの表情がラッセルを不安にさせたのだろう。
「おう、問題なしだ。
氷竜に会う頃には扱えるようになってるだろうしな。
なあ、アル、そうだろう」
「ヴェルの言う通りだと思います。
ラッセルさん、ありがとうございます」
ヴェルと誠一の言葉を聞いたラッセルの表情が柔らいだ。
「そうですか、それは良かったです。
ではでは、残りの50%のお支払いもよろしくお願いします」
言質取ったりという感じに笑いながら、
揉み手で誠一に近寄るラッセルだった。
誠一はすっかりとお金のことを忘れており、
どうしたものかとシエンナの方を見た。
「えっ、私、手持ちほとんどないわよ」
期待した答えを得られずにがっくりとする誠一だった。
他のメンバーも同様であった。
剣豪に至っては目すら合わせようとしなかった。
「いやいや、アルフレート様。
無論、クランに参加させて頂いていますので、
このままアルフレート様が未払いでこっそりと
他の街に行くとは思いません。
しかし、私も妻子を持つ身ですので、
どうしてもまあ、生活がありますから」
話しているラッセルの声が段々と小さくなっていった。
誠一はお金を無心している訳でもなく、
当たり前に正当な報酬を求めているのにそんな小声に
ならなくてもと思ってしまった。
ただ、これから氷の雫の入手するために
遠征するとなると、ここで支払いを済ますと少々、
手持ちが心許なくなってしまう。
モリス商館に借入も可能だったが、
出来る限り借金をすることは避けたかった。
ふと、誠一はヨークの置いていった金に目を向けた。
誠一の視線の先をヴェルも見ていた。
「アル、ここで支払いを済ますと、遠征ができなくなるな。
かと言ってラッセルさんたちの生活を困窮させる訳にもいかない。
なら答えは一つだ!氷の雫を入手した後に残りの代金は払う。
それまではヨークのおっさんが置いていった金を使ってくれ」
代案はないし、自分もそう思ったが、他人からそれを聞くと
どうも手放しで賛成する気分にはなれなかった。
「ラッセルさん、すみませんがお願いできませんか?
氷の雫を入手後に残りの分をお支払いということでお願いします」
誠一は90°に腰を折って頭を下げた。
あたふたするラッセルの代わりにカーリーが答えた。
「それでいい。だが必ず戻って、支払えよ。
霊峰氷山方面に借金の督促に向かうのは
御免被りたいからな」
カーリーが笑うとつられた様にラミも笑った。
ラッセルは申し訳無さげに軽く頭を下げた。
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