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648.温泉再び4
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その夜、誠一たちはソルテールの温泉街で
B級昇格の祝いを兼ねて宿泊した。
「ぷはぁ、これって、すげーよな。
この温泉ってやつは飽きないな」
「ふはあ、確かに」
誠一もヴェルと同じ思いであった。
最近はバッシュより送られていた監視役の
暗殺者の不快な視線も感じずに快適であった。
「そうでござる。温泉に浸かるとほんわりとしますな。
潰しても潰しても周りをうろちょろする虫もおらぬし、
いい気分でござる」
誠一は熱い湯に浸かっているにも関わらず、ぞくりとした。
自分の知らないところでバッシュの手の者と
暗闘を繰り返したのだろうか。
剣豪は誠一の表情で察したため、
気休めのようなことを言った。
「一々癇に障る虫を払い落したにすぎぬでござる。
お気になさることはない」
「そっそうですか。
常に見られているのはあまり気持ちの良いものでは
ないですからね。そろそろ湯あたりしそうなので、
先に上がります」
誠一は二人を置いて先に温泉から上がった。
誠一は丹前を羽織り、部屋に戻った。
今回は豪華にも個室を借りていた。
ゴロンと布団に転がり暗い天井を見つめた。
まったりとした気分であったが、
隣部屋から決して大きくないが、
常に小さな音が聞えてくる。
別段、大きな音でなかったが、
どうにも気になって落ち着かなかった。
「確か隣はシエンナか。
まったく折角の温泉なんだから、ゆっくりすればいいのに」
誠一は改めて目を閉じたが、
どうにも気になって落ち着けなかった。
「あーもう」
誠一は起き上がり、シエンナの部屋を訪ねた。
「シエンナ、入るよ」
声の主が誠一であることにシエンナは気づき、
ドアのカギを開錠した。
「どうぞ、アル。入って」
誠一が部屋に入ると、シエンナの読んでいた本が
眼に入った。その瞬間に誠一は眠気を覚えた。
あの呪いの本をシエンナはここで読んでいたのか。
そう思うと罪悪感に駆られてしまった。
目を凝らせば、書き殴られた資料がそこかしこに
広げられていた。
ジェイロブ・ジェルミラの冒険譚から抽出した
情報なのだろうと思うと一層、罪悪感が増した。
「シエンナ、ごめん」
「ん?何よ、突然。どうしたのアル?」
「いやだって、この睡眠を誘う呪いの本の様なものの渡して、
更に祈りの神殿の情報を抽出させるような苦行を
押し付けたようになってしまってるから」
誠一は深く頭を下げた。
「いや別に大丈夫だけど。祈りの神殿。
そこはリシェーヌに会うために行く必要が
あるんでしょう。ならこのくらい当然よね」
全く気にしている素振りもないシエンナであった。
誠一は頭を上げる事ができなかった。
B級昇格の祝いを兼ねて宿泊した。
「ぷはぁ、これって、すげーよな。
この温泉ってやつは飽きないな」
「ふはあ、確かに」
誠一もヴェルと同じ思いであった。
最近はバッシュより送られていた監視役の
暗殺者の不快な視線も感じずに快適であった。
「そうでござる。温泉に浸かるとほんわりとしますな。
潰しても潰しても周りをうろちょろする虫もおらぬし、
いい気分でござる」
誠一は熱い湯に浸かっているにも関わらず、ぞくりとした。
自分の知らないところでバッシュの手の者と
暗闘を繰り返したのだろうか。
剣豪は誠一の表情で察したため、
気休めのようなことを言った。
「一々癇に障る虫を払い落したにすぎぬでござる。
お気になさることはない」
「そっそうですか。
常に見られているのはあまり気持ちの良いものでは
ないですからね。そろそろ湯あたりしそうなので、
先に上がります」
誠一は二人を置いて先に温泉から上がった。
誠一は丹前を羽織り、部屋に戻った。
今回は豪華にも個室を借りていた。
ゴロンと布団に転がり暗い天井を見つめた。
まったりとした気分であったが、
隣部屋から決して大きくないが、
常に小さな音が聞えてくる。
別段、大きな音でなかったが、
どうにも気になって落ち着かなかった。
「確か隣はシエンナか。
まったく折角の温泉なんだから、ゆっくりすればいいのに」
誠一は改めて目を閉じたが、
どうにも気になって落ち着けなかった。
「あーもう」
誠一は起き上がり、シエンナの部屋を訪ねた。
「シエンナ、入るよ」
声の主が誠一であることにシエンナは気づき、
ドアのカギを開錠した。
「どうぞ、アル。入って」
誠一が部屋に入ると、シエンナの読んでいた本が
眼に入った。その瞬間に誠一は眠気を覚えた。
あの呪いの本をシエンナはここで読んでいたのか。
そう思うと罪悪感に駆られてしまった。
目を凝らせば、書き殴られた資料がそこかしこに
広げられていた。
ジェイロブ・ジェルミラの冒険譚から抽出した
情報なのだろうと思うと一層、罪悪感が増した。
「シエンナ、ごめん」
「ん?何よ、突然。どうしたのアル?」
「いやだって、この睡眠を誘う呪いの本の様なものの渡して、
更に祈りの神殿の情報を抽出させるような苦行を
押し付けたようになってしまってるから」
誠一は深く頭を下げた。
「いや別に大丈夫だけど。祈りの神殿。
そこはリシェーヌに会うために行く必要が
あるんでしょう。ならこのくらい当然よね」
全く気にしている素振りもないシエンナであった。
誠一は頭を上げる事ができなかった。
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