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646.温泉再び2

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「そういえば、子というのは
どのように成して、生まれてくるんだろう」
誠一は顔を上げると、キャロリーヌと目があった。

「ちょっ、私に聞かないでよね」
キャロリーヌが顔を真っ赤にしながら、俯いた。

「ふむ、アルフレート様はその手の事に
詳しいと思っていましたが、意外でござった。
いわゆるその行為の快楽を楽しむだけ
といったところですな。
弟君のリゲル殿と同じ穴の狢であったか。
アーロンは正妻の子の教育にことごとく失敗したでござるな」
これは困ったという風にため息をつく剣豪であった。

「おまっ、おまえ、何を口ずさんでんだよ、アホ」
ヴェルに本気で誠一はアホ呼ばわりされた。

「ホントです。いい歳の男性とは思えないです。
黄金の竜が天から降りたち、授けて呉れるです」
真顔で説明するアミラであった。
誰もアミラの話を否定も肯定もせずに
場が静かになっていた。

昼を少し過ぎた時間帯の料理店は、静かだった。
店員が少し離れた所から、注文もせずに
子供がどうこうと話している誠一たちに
胡散臭げな視線を送っていた。

「ふう、アミラ、それについては
今晩にでも話しましょうね」
シエンナが気を利かせて、話を収めた。

「悪いけど、シエンナ、頼むわ」
ヴェルが頭を下げた。

「分かったわよ。それよりアルの方はよろしくね。
流石に私やキャロリーヌから説明するのはちょっとね」

「ああ、わかってるって。
ったく上級の貴族様ってのは、
どうも抜けているのやおかしいのが一定数いるけど、
アルがそうだとは思わなかったぞ」

何を言っても弁解してもおかしなことに
なりそうな気がしたため、誠一は黙って
話の流れに身を任せた。

その夜、食事が終わると、
誠一とアミラ、各々に教育がなされた。

ラッセルの武器の製作をのんびりと
待っていても仕方ないために誠一たちは、
冒険者ギルドで依頼を受けていた。
剣豪が推奨する依頼が主であったが、
短期間で相当数の依頼をこなす誠一たちであった。

「うおおおっついにキター。
B級だぞ、アルっ!ついにB級だ」
ヴェルが冒険者ギルドで吠えた。
この若さでB級は極稀であり、
将来を嘱望される冒険者として
周囲から見られるようになる。

無論、受付も見る目が違っていた。
だが誠一はこの昇級には懐疑的であった。
何か自分たちの知らぬ力が働いたのかと
勘ぐってしまった。

「うおおっついについに兄貴と姉貴を越えたぞ、俺は!」

「ヴェル、落ち着いて。流石にうるさいって」
誠一は興奮の極致のヴェルをなだめようと必死だった。
周囲の冷たい視線が痛かった。

「ぬかせ、ヴェル。俺もB級だぞ」

「ああ、兄貴も姉貴もB級なのは知っているさ。
だけどよ、B級をエンゲルス家で
最も若く所得したのは俺だ」

ヴェルは歓喜の涙を流した。右腕で涙を拭った。
「父にも母にも兄貴にも姉貴にも
なしえなかったことを俺はしたんだ!」

ヴェルは感極まって、叫んだ!
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