転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組！だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業？それとも社畜？誰か助けて

645.温泉再び1

ソルテールに到着した誠一たちは、
ロジェたち3人に合流した。
察しの良い剣豪のことだから、
何かしら洞窟での『神堕ちの儀』の件に
ついて感じているに違いないと誠一は思った。
そして、誠一は剣豪が話を聞きたくて
うずうずしているに違いないと予想した。

　料理店で合流すると、予想通りすぐさま剣豪が
労いの言葉もそこそこに洞窟での件について話を
しようとした矢先であった。

「先生！ちょっと俺らの実力を見くびり過ぎだろ。
今回は、余裕だったぜ」
ヴェルが依頼の難度について難癖を付け始めた。
これでは、報告もへったくれもなかった。

「はっそうでござったか。
次は難度をあげますかな。
してアルフレート様、洞窟での件に」
ヴェルを適当にあしらい、剣豪は話を強引に
進めようとしたが、またしても邪魔が入った。

「確かにヴェルの言う通りよね。
冬ですらあの難度と魔物ですし、越冬していたら、
更に楽だったと思います」
シエンナから難癖の追撃があった。

「ふっそうでござったか。
次はもっと考えないとですな。
してアルフレート様、洞窟での件に」
シエンナを適当にあしらい、剣豪は断固たる決意で
話を進めようとした。

しかし、更なる邪魔がキャロリーヌから
入ろうとした時、誠一は察した。
ヴェルは自然体だったが、その他のメンバーは剣豪に
嫌がらせしていると。誠一は笑いを止められなかった。

「まったく、みんな。
そろそろ日頃の鬱憤を晴らすのはその位にしておこう。
それより先生も神の件は知っておいて
貰う方がいいから説明するよ」

誠一は、洞窟での『神堕ちの儀』について
剣豪、ロジェ、マリアンヌにかいつまで話した。

恐らく剣豪は期を改めて、詳しく説明を
求めるだろうが、この場は簡単に済ました。

「千晴様か、神にも呼称があったんだな。それに争いも」
ロジェは天井に目を向けた。
そして珍しく千晴の名を呟きながら祈りを捧げた。

「やはりか、神にも名があったか。
しかし、それは誰か名付けたのだろうか。
神も生まれるものなのだろうか」
剣豪は瞳を閉じて、腕を組み、疑問を呟いていた。
答えを求めるといった類でなく、1人で思いに耽って、
自然に発した言葉であろう。

誠一はそれに関して何も答えなかった。
しかし、心の中でその問いに突っ込んでいた。
親から生まれるんだよ。名は大人が付けるんだよ。
この世界と同じだよ。
そう突っ込みながら、誠一も自問自答した。
ゲーム世界で子供が生まれる。子供が生まれる。
一体、どういうシステムなのだろうか。
確かに性交もあり、興奮もする。避妊という知識も方法ある。
白い体液も出る。だが、所詮、ゲームであった。
どういうプロセスで子供を成すのだろうか、
誠一にはどうも想像できなかった。