転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて

ゆうた

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636.神堕ちの儀12

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 留まることなく流れ込む男の卑猥で下劣な言葉、
留まることなく流れ込む女の泣き叫ぶ悲痛な言葉、
誠一の瞳にその情景が映ることがなかった。

しかし、その分、彼の想像力を掻きたたせた。
想像を働かせたくなく、止めたいが、
とめどなく流れる言葉の奔流がそれを許さなかった。

言葉の合間に流れ込む服を引き裂くような音、
ガタッゴトという何かがぶつかる音、嫌が上でも千晴に
何が起こっているか誠一に想像させた。

ふとその時、誠一はエスターライヒ家での
マリアとの行為が脳裏に過った。
何も分からず混乱の極致にあった時、
誠一は糞の様なこの女の啓示に抗えずにマリアを
凌辱したことを思い出した。

そしてマリアを死に追いやった。

『神々への反逆者』の称号を得ている誠一にとって
流れ込む天啓は何ら強制力を持たず、誠一に
身体的な苦痛を与えることはなかった。
しかし、心の奥底に仕舞われていた罪悪を
えぐり出し、誠一の心を苦しめた。

自業自得じゃないか、巡り巡って自分自身に
それが起きた時に助けを求めるなんて、都合良すぎるだろ。

「これは因果応報だろっ」そう誠一は叫んだ。


『馬鹿なりに証拠を残そうとしたのかよ』
嘲笑と男の笑い声だった。

『こんなもの証拠になるかよ。自作自演を疑われて終わりだ。
証拠ってのはな、俺がさっき録音したお前の謝罪の言葉だよ。
アレは、有効な証拠になるだろうよ、バカが』

間断なく笑い声が誠一の脳裏に響く。

『嫌、お願いやめて。助けて、誰か助けて。
誠一さん、助けてー。お願い助けて。
できる限り課金するから、助けて』

『お願い助けて、誠一さん。
昔、書き込んだことは謝ります。
本当にごめんなさい。助けて助けて助けて』

ピクリと誠一は課金という言葉に反応した。
それに続いた千晴の悔恨の念と反省など
誠一にとってどうでも良かった。
どの程度の課金か分からないが、
運が良ければエリクサーを得ることができるかもしれない。
このチャンスを逃す手はないと誠一は瞬時に判断した。

全身全霊で持ち得る称号と経験から
どんなことでもいいからあの世界に干渉する術を考えた。

『異世界人の誘い』これしかない。
何が起きるかは何となくわかったが、
何のリスクが隠されているか誠一には分からなかった。
最悪、千晴がこちらの世界に
召喚されてしまうかもしれなかった。

誠一はその場で趙座すると、静かに宣誓した。

「考えている暇はないな。
やるしかない。『神堕ちの儀』をここに始める」

誠一の周りの地面に黄金の巨大な魔法陣が浮かび上がった。

突然の事に周りのメンバーは驚き、
その場で誠一に視線を送るだけだった。
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