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603. 鍛冶屋6

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「お久しぶりです。アルフレート様、ヴェルさん」
何故か面白く無さそうにラッセルを睨みつけるアミラだった。
そしてそれを宥めるヴェルであった。

それにしてもと誠一は思う。
3年近く会っていないとはいえ、あのがりひょろの
ラッセルがここまで変わるとは思いもよらなかった。

『男子3日会わざれば刮目して見よ』

歴史学の講義で聴いた言葉そのものであった。
服の上からでも分かる筋肉を見れば、
ラッセルの並々ならぬ努力が窺えた。

「ラッセルさん、凄い筋肉だよな。
もうあのへっぽこな音をもう鍛冶場で聞くことはなさそうだな」

「あっこの馬鹿」
誠一は慌てたが、ラッセルが大笑いした。

「あはははっ。あの懐かしい音を覚えているのは師匠、
それに君ら二人にリシェーヌ様だけだろうね。
立ち話も何だし、工房に来るかい?」
誠一たちはラッセルの提案を快諾した。
彼らは歩きながら、ラッセルの生み出した武器について
感想を話した。

「そうなんですか。
アルフレート様の7面メイスにはまだ、
魔石が埋め込まれていないのですか。
候補があれば、今回、埋め込みますよ。
ヴェルさんはハルバートを御所望なんですね。
試作品より今のハルバートは柄の部分が長くなっています。
一本、貸し出しますので、少し時間をください。
穂先の部分を強化します。
それと炎の力を宿す魔石を埋め込めるようにします。
魔石は自分で用意してくださいね。
あっちなみに今回は無償じゃありませんよ。
ばっちり頂きます」

「ええっまじかよーラッセルさん。
そりゃねえぜ。折角、武器の使い勝手を話したのによ」
ヴェル、流石にそれは厚かましいと誠一は心の中で突っ込んだ。

ムッとラッセルの表情が曇った。
誠一はすぐさま、フォローを入れた。
「ラッセルさん、適正価格でお願いします」

「そう言って貰うと助かります。
なにぶん工房維持するのも楽ではないのです。
お仲間の方々で商業ギルドに所属している方がいれば、
直接購入も問題ないです。是非ともお願いします」

「まったくアルは、いい子ちゃんしやがって。
まあ、仕方ないな。
ラッセルさんが路頭に迷うと後々、俺らが困るし。
それにしてもラッセルさんは会うたびに
ほんと金に困っているよな」

またしても誠一がすかさずフォローを入れた。
ラッセルは誠一とヴェルの絶妙な掛け合いに苦笑した。
 
ラッセルは鍛冶場に案内しながら、
独立した経緯について誠一たちに説明した。
「鍛冶の分業制ですか。
確かに品質は別ですが、生産効率は上がりそうですね。
でも大丈夫なんですか?ラッセルさんが啓示を受けたのに」
ラッセルの説明を受けた誠一が率直な感想を述べた。
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