転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組！だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業？それとも社畜？誰か助けて

594.狩猟祭19

クラン『莉々』の拠点に戻った莉々奈、莉々矢、
そして莉々視は女神より啓示という名の指示を受けていた。

S級パーティであった『薔薇の園』の再編成と
アルフレート・フォン・　エスターライヒ一行を
『薔薇の園』冒険者メンバー殺害で手配書を
発行することであった。
莉々奈と莉々矢は都市の有力者や貴族に
働きかけるためにクランの数人の女性と少年を連れて
彼らの屋敷に向かった。

　莉々視はサピエンツ教の高司祭と同衾していた。
行為が終わると、莉々視は弛んだ司祭に身体を預けながら、
アルフレートの件を掻き口説いた。
　彼がサンピエンツの名の元に宣誓された啓示に
盾突いたとなれば、甚だ問題であった。
それが広がれば尚更、面倒事になるのは
火を見るよりも明らかであった。
司祭は、何とか面倒事をこの場で留めておきたかった。

　司祭は莉々視の滑らかな背中を撫でながら思案した。
弛んだ身体を震わせながら、聖女を組み伏せ、
己の欲望に忠実に思うまま凌辱する。
その淫靡で背徳的な行為に司祭は興奮した。
その対価として、随分とクラン『莉々』には融通してきた。
しかし、今回の件と莉々視より提供される享楽を
天秤にかけると、司祭は割が合わないと判断した。
彼女と心中するつもりは彼には全くなかった。
己の地位が安泰な上で協力するつもりしか彼にはなかった。

司祭は曖昧な言葉で言質を与えず、二回戦に突入した。
聖女に覆い被さり、弛んだ腹を震わせながら、
司祭はそろそろ潮時だなと考えていた。
性欲を満たすだけならば、別の女を準備すればいいと
決断し、行為に没頭した。

　莉々奈は町を牛耳る数人の大商人たちと会合を開いていた。
大商人たちの反応は芳しくなかった。

「アルフレートか。そいつはちょっと頂けないな」

「そいつの最近の活躍は耳にしているだろう。
不用意につつけば、藪蛇になるぞ」

「大魔術師ファウスティノや聖拳の聖女エヴァニアとも繋がりがある。
サピエンツ教の大司祭も動かないだろうよ」

商人たちはここ数年のクラン『莉々』の行状を把握しており、
不利益を被りそうな案件においそれと力を貸す気にはなれなかった。

「悪いが用意した女を連れて帰りな」

「なあ、莉々奈さんよ。
昔の様に冒険者稼業に戻っちゃくんないかい。
ここ数年、おたくさん、どうもいい噂を聞かないよ」

「そうそう昔の様に都市の象徴として活動してくれや。
そうすれば我々も力を貸すことにやぶかさではないしな」

莉々奈はせせら笑いを浮かべた。
啓示を受けた以上、この件は莉々奈にとって絶対であった。
商人たちの言葉は煩わしい雑音にしか聞こえなかった。
「わかりました。
このまま話をしていても平行線ということですね。
ならば、実力行使いたしましょう」

それなりに危地を脱して今の地位を築いてきた大商人たちである。
不測の事態に備えて、傍に力のある護衛を控えさせていた。

「莉々奈殿、乱心されたか！」
商人の1人が叫んだ。

「揺らげ揺らげ、我が実態はここに無し。
瞳に映るは夢かうつつか、影法師」
莉々奈の連れて来た何人かの女の首筋から血が噴き出した。
既に莉々奈は商人たちの背後に回っていた。
商人の護衛達は血の噴き出した女を斬りつけていた。
莉々奈は短剣で商人たちを斬った。
商人たちの肌が紫色に変り始めた。
そして、そのまま全身の至る所から血が噴き出した。
死体を何度も斬りつけている護衛も同じように
短剣で莉々奈が傷つけると商人と同じように
至る所から血を噴き出した。

「ふん、大人しく従っていればいいものを。
まあいい、これでこの街の商業ギルドは抑えた」
生贄に使わなかった女に死体の処理を指示し、
莉々奈はクランの拠点に戻った。