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5.それぞれの思惑9
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「今、登楼の差深部に咲く桜の花は
毒々しい程の桃花色なのでしょうか?
それと白に近い淡い桃色なんでしょうか?」
剣豪を除く他のメンバーは怪訝な表情で誠一を見つめた。
「ふむふむ、よく勉強しているでござる。
一地方の国の植生ついての知見、感心いたします。
して、それを知りたい理由はなんでござるか?」
剣豪は感心しながらも不思議そうであった。
剣豪の洞察力を以てしても誠一の質問の意図を図りかねていた。
「恐らくです。
桜の花が毒々しい程の桃花色に近い程、
遺跡に魔力は充満しているのではと思いまして」
「ほほう、それは桜の花が毒々しい程の桃花色の時、
その幹の下には死体が埋められているという
言い伝えから推測しているのですな」
剣豪は感心しきりであった。
そして他のメンバーも驚きの表情で誠一を見つめていた。
「まあ、しかし、それは遺跡の最深部に到達せぬと分かりませぬな」
剣豪の説明に誠一は頷き、話を続けた。
「最上級の遺跡の遺跡については情報を集めるとして、
僕らは武器、防具の強化と各々の実力を伸ばすことを
中心に暫く活動をしていきたい。
それとジェイコブ・ジェルミラを捕らえて、
彼の家に代々伝わる初代ジェイコブ家当ジェイロブの
冒険譚に関する書物を閲覧する。
シエンナ、ジェイロブの書に関してはそれが必要なんだね」
「ええ、あの一冊では不完全な筈。
注釈や抜粋からすると絶対に一冊でなく数巻に渡る書籍なのよね」
あの本は、ジルベルトール・カルザティですら
途中で投げ出すほどの腐れ書籍であった。
それを読み切るシエンナの集中力に誠一は舌を巻いた。
そして、この話になると自然、誠一はだまくらかして、
シエンナに解読を押し付けたことを心のなかで謝罪した。
「アルフレート、確認するが、つまりそれは王都から
暫く旅に出るということだな」
ラムデールの問いに誠一は答えずに頷いた。
「そうなると僕とファブリッツィオは同行できない。
いまだ反乱軍は健在でいつ動員がかかるか分からないからな。
傭兵扱いになったアルフレート、君は大丈夫だろう」
「そうだな、ラムデールの言う通りだな。
俺はストラッツェール家、ラムデールはエスターライヒ家で
麾下の騎士を指揮することになるだろうからな。
正直、おまえについて行く方が面白そうだがな」
この二人には後々、クランの有力な後援者的な
立ち位置になって貰おうと誠一は画策していた。
「立場上、難しいことは承知しているよ。
二人は王都で腕を磨いてほしい。
それ以上に兵を指揮することに必要な知識と技術を学んで欲しい。
猪武者ばかりのクランではどうにもならないからさ」
「おい、アルフレート、
俺はあくまでもエスターライヒ家の嫡子代理だからな。
おまえも領地を治める術、騎士を統率する術を学べよ。
今回はまあ、お前の顔を立てておこう」
心底不機嫌そうにラムデールは誠一に伝えた。
「俺は次男だからな。アルフレートの求めることが
本当に必要なのか分からないが、まあいいだろう。
どの道、俺も家を空けることできないしな。
それよりアルフレート、おまえら、先生から指南書のようなものを
貰ったんだろ。おれらにも寄こせ」
同行できないことは仕方なしという感じの
ファブリッツィオであった。
「僕に言われても。先生にお願いすれば、頂けると思うけど」
誠一は苦笑した。しかし、剣豪は我関せずであった。
毒々しい程の桃花色なのでしょうか?
それと白に近い淡い桃色なんでしょうか?」
剣豪を除く他のメンバーは怪訝な表情で誠一を見つめた。
「ふむふむ、よく勉強しているでござる。
一地方の国の植生ついての知見、感心いたします。
して、それを知りたい理由はなんでござるか?」
剣豪は感心しながらも不思議そうであった。
剣豪の洞察力を以てしても誠一の質問の意図を図りかねていた。
「恐らくです。
桜の花が毒々しい程の桃花色に近い程、
遺跡に魔力は充満しているのではと思いまして」
「ほほう、それは桜の花が毒々しい程の桃花色の時、
その幹の下には死体が埋められているという
言い伝えから推測しているのですな」
剣豪は感心しきりであった。
そして他のメンバーも驚きの表情で誠一を見つめていた。
「まあ、しかし、それは遺跡の最深部に到達せぬと分かりませぬな」
剣豪の説明に誠一は頷き、話を続けた。
「最上級の遺跡の遺跡については情報を集めるとして、
僕らは武器、防具の強化と各々の実力を伸ばすことを
中心に暫く活動をしていきたい。
それとジェイコブ・ジェルミラを捕らえて、
彼の家に代々伝わる初代ジェイコブ家当ジェイロブの
冒険譚に関する書物を閲覧する。
シエンナ、ジェイロブの書に関してはそれが必要なんだね」
「ええ、あの一冊では不完全な筈。
注釈や抜粋からすると絶対に一冊でなく数巻に渡る書籍なのよね」
あの本は、ジルベルトール・カルザティですら
途中で投げ出すほどの腐れ書籍であった。
それを読み切るシエンナの集中力に誠一は舌を巻いた。
そして、この話になると自然、誠一はだまくらかして、
シエンナに解読を押し付けたことを心のなかで謝罪した。
「アルフレート、確認するが、つまりそれは王都から
暫く旅に出るということだな」
ラムデールの問いに誠一は答えずに頷いた。
「そうなると僕とファブリッツィオは同行できない。
いまだ反乱軍は健在でいつ動員がかかるか分からないからな。
傭兵扱いになったアルフレート、君は大丈夫だろう」
「そうだな、ラムデールの言う通りだな。
俺はストラッツェール家、ラムデールはエスターライヒ家で
麾下の騎士を指揮することになるだろうからな。
正直、おまえについて行く方が面白そうだがな」
この二人には後々、クランの有力な後援者的な
立ち位置になって貰おうと誠一は画策していた。
「立場上、難しいことは承知しているよ。
二人は王都で腕を磨いてほしい。
それ以上に兵を指揮することに必要な知識と技術を学んで欲しい。
猪武者ばかりのクランではどうにもならないからさ」
「おい、アルフレート、
俺はあくまでもエスターライヒ家の嫡子代理だからな。
おまえも領地を治める術、騎士を統率する術を学べよ。
今回はまあ、お前の顔を立てておこう」
心底不機嫌そうにラムデールは誠一に伝えた。
「俺は次男だからな。アルフレートの求めることが
本当に必要なのか分からないが、まあいいだろう。
どの道、俺も家を空けることできないしな。
それよりアルフレート、おまえら、先生から指南書のようなものを
貰ったんだろ。おれらにも寄こせ」
同行できないことは仕方なしという感じの
ファブリッツィオであった。
「僕に言われても。先生にお願いすれば、頂けると思うけど」
誠一は苦笑した。しかし、剣豪は我関せずであった。
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