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554.大会戦26
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「落ち着け痴れ者が!所詮は2人、死体が増えるだけだ。
奴らとて、無限の魔力、体力がある訳ではない」
だが、彼等の魔力と体力を削ぐために己の命を
削るような忠誠心の高いものはこの場にはいなかった。
誰もがバリーを見ていた。まず、言い出しっぺのお前がやれと。
無論、バリー視線に含まれる彼らの思いを的確に理解していた。
「貴様らなんだその目は!
俺はグレース伯爵家当代のバリー・グレースだぞ。
逆らうものは軍法に則り処罰する」
「バリー殿、無駄ですよ。
こいつらは所詮、ヴェルトール王国の新体制の落伍者。
期待するのも馬鹿らしい。言っても虚しくなるだけです。
強制させればいいだけですよ」
「おおっ、これはシャービス殿。その通りですな。
して、その策をお持ちで?」
シャービスは大いに笑った。
バリーは顎が外れるのではと他人事ながら心配になってしまった。
「心配せずとも大丈夫です。
あなたも含めて、アレらの足止めになって頂きます。
全ては我が意のままに。サイコマリオネット」
シャービスは右手に持つ杖で魔術陣を描いた。
すると幾人もの貴族や将軍がカクンと頭を垂れた。
バリーもその一人であった。
「ファウスティノ、あなたの愛弟子の死体操りとは違って、
どうですかこのみずみずしい動きは!
ヒトの能力を十全に引き出すこの魔術の前にして、冷静さを保てますかな」
シャービスは右手に持つ杖で再び魔術陣を描いた。
「ふむ、禁呪に触れてどこぞの魔術院を放校になった者かのう。
儂が手を下すまでもなく、追手が差し向けられておるじゃろうに。
まあ、良い。くだらぬ魔術に身を染めたことを後悔するが良かろう」
ファウスティノは天体球戯の杖をしまうと普段、
使用している重い杖を右手に持った。
「やれ」
シャービスは指示を出した。
生気の感じられない顔つきの貴族や将軍が人にあらざる動きで
襲いかかった。
人の身体の可動域を無視したような動きを
誠一は生理的に受け付けなかった。
目に映っているだけで船酔いにでもかかったような気分であった。
ファウスティノは襲いかかってくる敵を容赦なく杖で叩き潰した。
事も無げに潰される敵を見て誠一は戦慄した。
ファウスティノの側で敵を殴り潰すエヴァニアの方へ
誠一は目を向けた。そして誠一の戦慄した気持ちは変わる事はなかった。
戦場という異常な場であってもその光景は異質であった。
それはどうやら誠一たちの仲間も同じようであった。
「アル、あれが世界最強の一角の戦い方ってことかよ。
あれのどこが魔術師の戦い方だよ。あり得ないだろ」
ヴェルは唸った。
「うっうん」
目の前で頭を潰された貴族から噴き出た血を
ぼんやりと眺める誠一であった。
奴らとて、無限の魔力、体力がある訳ではない」
だが、彼等の魔力と体力を削ぐために己の命を
削るような忠誠心の高いものはこの場にはいなかった。
誰もがバリーを見ていた。まず、言い出しっぺのお前がやれと。
無論、バリー視線に含まれる彼らの思いを的確に理解していた。
「貴様らなんだその目は!
俺はグレース伯爵家当代のバリー・グレースだぞ。
逆らうものは軍法に則り処罰する」
「バリー殿、無駄ですよ。
こいつらは所詮、ヴェルトール王国の新体制の落伍者。
期待するのも馬鹿らしい。言っても虚しくなるだけです。
強制させればいいだけですよ」
「おおっ、これはシャービス殿。その通りですな。
して、その策をお持ちで?」
シャービスは大いに笑った。
バリーは顎が外れるのではと他人事ながら心配になってしまった。
「心配せずとも大丈夫です。
あなたも含めて、アレらの足止めになって頂きます。
全ては我が意のままに。サイコマリオネット」
シャービスは右手に持つ杖で魔術陣を描いた。
すると幾人もの貴族や将軍がカクンと頭を垂れた。
バリーもその一人であった。
「ファウスティノ、あなたの愛弟子の死体操りとは違って、
どうですかこのみずみずしい動きは!
ヒトの能力を十全に引き出すこの魔術の前にして、冷静さを保てますかな」
シャービスは右手に持つ杖で再び魔術陣を描いた。
「ふむ、禁呪に触れてどこぞの魔術院を放校になった者かのう。
儂が手を下すまでもなく、追手が差し向けられておるじゃろうに。
まあ、良い。くだらぬ魔術に身を染めたことを後悔するが良かろう」
ファウスティノは天体球戯の杖をしまうと普段、
使用している重い杖を右手に持った。
「やれ」
シャービスは指示を出した。
生気の感じられない顔つきの貴族や将軍が人にあらざる動きで
襲いかかった。
人の身体の可動域を無視したような動きを
誠一は生理的に受け付けなかった。
目に映っているだけで船酔いにでもかかったような気分であった。
ファウスティノは襲いかかってくる敵を容赦なく杖で叩き潰した。
事も無げに潰される敵を見て誠一は戦慄した。
ファウスティノの側で敵を殴り潰すエヴァニアの方へ
誠一は目を向けた。そして誠一の戦慄した気持ちは変わる事はなかった。
戦場という異常な場であってもその光景は異質であった。
それはどうやら誠一たちの仲間も同じようであった。
「アル、あれが世界最強の一角の戦い方ってことかよ。
あれのどこが魔術師の戦い方だよ。あり得ないだろ」
ヴェルは唸った。
「うっうん」
目の前で頭を潰された貴族から噴き出た血を
ぼんやりと眺める誠一であった。
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