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549.大会戦21

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ダンブルの貴族や将軍たちの護衛が剣を抜き、槍を構え、魔術を展開した。

「王の威厳と同種の称号が発動したんだろうな。だが、警戒するのは護衛官だ」

「ロジェさん、ダンブルの発動した称号が将軍や貴族たちの能力を
著しく向上させています。侮らないでください」
誠一の忠告をヴェルが笑い飛ばした。

「能力が上がろうが、性根は変らないだろ。
アル、奴らを見ろよ。あの場から動こうとしないだろ」

「ふはははっははっは。この期に及んで尚、命を惜しむか。
これはこれで愉快だな。だがこうも笑ってはいられん。
バリーよ、貴様の忠誠をここで示せ」

名指しされたバリーの表情は恐怖で覆われていた。
そして、己の意思に反して、みしみしと音を立てながら
身体は誠一たちに向かって歩き始めた。バリーは歩きながら叫んだ。
「おおう、我がグレース家に仕える騎士ヨ。
我がグレース家と契約した冒険者たちを今、ここに忠誠を示せ。
ここにいる者たちに告ぐ。報酬は思いのままぞ。
奴をアルフレートを討てば、我がグレース家の筆頭騎士の任を与えようぞ」

野獣のような咆哮が幾つも木霊した。歓喜の声が沸き上がった。

「興が冷めたな。シャービスよ、ガズンスを呼び戻せ」
ダンブルは興奮のるつぼとなった眼下の光景を一瞥した。

誠一はバリーの他人の欲望を煽り、扇動するその話術に感心していた。

「アルフレート君、来るぞ!」
ロジェの一言で慌てて、気を引き締め直した。

「前線は僕、ロジェさんで行きます。ヴェルとアミラは遊撃に徹して!
シエンナとキャロは後方から援護、サリナは後方を警戒」

貴族たちに雇われた護衛兼務の冒険者たち。
当然のことながら、世にそれなりに知られた猛者ばかりであった。
誠一たちは容易に囲まれてしまった。

「おいおい、レアリティR程度でこの場に顔を出すなよな。
死にたがりか」

「まじかっ、こいつらまじかよ。弱すぎる」

「これじゃあ早い者勝ちだろ。女は生け捕りだ」

死に直結する容赦ない一撃が誠一たちを襲った。
最初に膝を付いたのは、サリナであった。
「おらぁ、引き摺ってこっちに連れ出せ」
容赦なくサリナを引き摺る剣士をシエンナが杖で攻撃した。
咄嗟に引き下がる剣士であったが、表情には余裕があった。

「魔術師が近接戦闘とか、お前、アレか!
最近流行りのヴェルトール王国の魔術院出か」

「さあ。そういうのどうでも良くない。
それよりあんた、サリナを引き摺ったことを後悔させてあげる」

シエンナは、魔術を詠唱した。

「氷壁よ。襲い来る全ての侵入を防げ。アイスシールド」

剣士を含めた後方に立つ冒険者数人を氷で覆いながら
氷壁は立ち上がった。

氷に覆われた冒険者たちは物言わぬ彫刻のようになってしまった。
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