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526.初夜(キャロリーヌ)

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「大丈夫かな」
シエンナが誠一の背中を心配そうに眺めていた。

「大丈夫でしょ」
キャロリーヌがシエンナの言葉に応じた。

「実際の所、テルトリアでの魔物討伐訓練のようなことに
アルフレートがなってしまったら、戦場では助けようがないからな。
ロジェさんには嫌な役を押し付けてしまったよ」

「気にするなラムデール。これも年長者の務め。
レア度がもっと高ければ役に立てるんだがな。
その分嫌な役目くらいは買って出るさ」

ラムデールはロジェに敬意を払うように一礼した。

「おいおい、むずがゆくなるようなことをするなよ」
ロジェが恥ずかしさを隠す様に笑った。

「ラムデールも随分と騎士の様が板についてきたわね」
シエンナがそう言うと、一同笑い、それが解散の合図となった。

 部屋に戻った誠一はベッドに寝転がっていた。
ああ言ったものの本当に怨恨も何もない人を
メイスで叩き潰せるのだろうか。誠一は自問自答していた。
魔物は数えるのが馬鹿らしくなるほど、殺しきただろう。
人と何が違う。命を奪うのに違いは無い筈だと言い聞かせた。
考えれば考える程、気持ち悪くなった。
頭に纏わりつく嫌な気分を振り払い、外にぶちまけたかった。

コンコン、ドアをノックする音が聞えた。
「アル、入るよ」

誠一の言葉を聞く前にドアを開けて、一人の女性が入室した。

憔悴しきっている誠一を見るなり、キャロリーヌは何も言わずに
抱きしめた。

誠一は拒否するでもなく、されるがままを受け入れた。

「アル、深く考え込まないで。まず、生き残ることを考えよう」

誠一とキャロリーヌの唇が激しく交わった。
誠一は服を脱ぎ棄て、キャロリーヌの服を脱がせた。
二人は言葉を交わすことなく、抱き合った。
異性との経験皆無の誠一のぎこちない動きに
キャロリーヌの表情は苦しそうで、眉間に皺が寄っていた。

「あっそのキャロ、ごめん」
誠一はその表情に混乱してしまい何故か誤ってしまった。

「うんん、私、こういうの始めてだから、ごめんね」

誠一は欲望に抗うことができずに動きを止めなかった。

「いやあの僕も」
その言葉で少しキャロリーヌの表情が和らいだ。

誠一はキャロリーヌをしっかりと抱きしめると、
彼女を気遣う余裕もなく、更に激しく動いてそのまま果ててしまった。

翌朝、誠一は目を覚ますと隣にすうすうと寝息を
たてるキャロリーヌがいた。
綺麗な金髪を撫でると、節操もなく鼠径部が隆起してしまった。
誠一は、キャロリーヌを強く抱きしめた。

「ちょっと、アル。朝から節操がなさすぎじゃないかな」

「いやまあ、ははははっ」
誠一は笑って誤魔化そうとしたが、キャロリーヌの方も
身体を密着させてきた。
そのまま二人は30分程、ベッドで過ごした。
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