526 / 900
518.閑話 とある慌てる情景1
しおりを挟む
慶行と別れ、千晴は電車に乗ってマンションに
戻ることにした。
途中、ヴェルトール王国戦記にログインして、
誠一の行動をROMしていた。
何のイベントもなく誠一の一団は何処かに向かっていた。
「あれれ、ロジェとサリナがいないな。どこにいるんだろ」
千晴は誠一の方へ視線を移すと彼は漆黒のマントに
白いお洒落な鎧に身を包んでいた。
誠一さんは確か魔術師のはずなのに鎧を装備している。
もしかして転職でもしたのかと千晴は不思議そうに眺めていた。
アイテムリストで鎧を確認すると、千晴は驚いてしまった。
「ええっ女王の下賜品。何かめっちゃ付帯効果ついているし」
思わず口に出てしまった。
周りの乗客から奇異の視線を感じ、慌てて千晴はパッドを
閉じて寝たふりを始めた。そしてそのまま軽い眠りに落ちた。
暫く眠りに落ちていたが、誰かに見られている様な気がして千晴は目覚めた。
周囲を見渡すがそんな視線を送っている人物は見当たらなかった。
電車内のことだし、たまたまかなと思い再び目を閉じて眠りに落ちた。
最寄り駅に到着した千晴は、昼食を何にしようかと思案していた。
駅近のスーパーのお昼のタイムセールは既に終わっていた。
総菜の定価を眺めると到底、買う気にはならずに
冷蔵庫の食材であり合わせの料理をすることにした。
少し食材を購入すると、千晴はマンションに向かって歩き始めた。
「少し寒くなってきたかな」
晩秋のこの時期、学生時代の頃は冬休みと
年末年始のイベントで頭が一杯になっていたが、
今ではボーナスの額が頭の大半を占めるようになっていた。
「うん!我ながら上出来!」
昼食を取りながら千晴は自画自賛してしまった。
盛り付けは適当で見栄えは悪いが、バジルの風味を
十分に堪能できるように仕上がっていた。
「完璧ね、このジャノベーゼの素は!」
千晴はご満悦の表情で食事を終えた。
休日に話す相手も会う相手もおらず、暇つぶしと
午前中のアパートの件を含めて、誠一にコンタクトすることにした。
『ヴェルトール王国戦記』に自宅のコンピュータから
アクセスすると、画面には溢れんばかりのゾンビが表示された。
「うげげぇ、何よこれ」
画面の中央では、それらのゾンビに囲まれながらも
苦も無く倒す誠一たちが映っていた。
苦戦しているようでもなくサクサクと倒している誠一たちであった。
「まったく昼食後で良かったわ。
こんなのを見たら食事する気なんて起きなくなるわ」
見ていて気持ちの良いものではなく、
千晴は風呂掃除でもするかなと思ってコンピュータの前を
離れようとした。
その時、画面に誠一の言葉がポップアップされた。
画面に目を戻すと、シエンナがいつの間にかいなくなっていた。
そして、誠一が必死の表情でわめいていた。
『千晴さん!力を貸してください。助けてください。
シエンナを彼女を助けたいんです』
流石に激昂している誠一の表情と言葉、
逼迫した雰囲気のキャロリーヌ、ヴェルを見て
千晴は危機的状況にあることを悟った。
『へっ、これって危機的状況だったの?』
空を見つめる誠一の鬼の様な形相に千晴は驚いてしまった。
慌てて、千晴は弁解をした。
『ごっごめんなさい。誠一さんたちがポコポコと
敵を倒しているから、全然、気づかなくって。
シエンナが犠牲になりそうなのよね』
誠一がばつの悪そうな表情で謝っていた。
『すっすみません。焦って、感情が昂ってしまいました』
『凄い表情だったので驚いただけです。
それより少し頑張ってください。詳しい方に連絡します』
千晴はそう伝えると急ぎ、清涼にゲーム内のチャットで連絡を取った。
『お願いします、急いでください』
誠一の叫び声が書き込まれると、彼は叫ぶとシエンナの方に
向かって動き出した。
戻ることにした。
途中、ヴェルトール王国戦記にログインして、
誠一の行動をROMしていた。
何のイベントもなく誠一の一団は何処かに向かっていた。
「あれれ、ロジェとサリナがいないな。どこにいるんだろ」
千晴は誠一の方へ視線を移すと彼は漆黒のマントに
白いお洒落な鎧に身を包んでいた。
誠一さんは確か魔術師のはずなのに鎧を装備している。
もしかして転職でもしたのかと千晴は不思議そうに眺めていた。
アイテムリストで鎧を確認すると、千晴は驚いてしまった。
「ええっ女王の下賜品。何かめっちゃ付帯効果ついているし」
思わず口に出てしまった。
周りの乗客から奇異の視線を感じ、慌てて千晴はパッドを
閉じて寝たふりを始めた。そしてそのまま軽い眠りに落ちた。
暫く眠りに落ちていたが、誰かに見られている様な気がして千晴は目覚めた。
周囲を見渡すがそんな視線を送っている人物は見当たらなかった。
電車内のことだし、たまたまかなと思い再び目を閉じて眠りに落ちた。
最寄り駅に到着した千晴は、昼食を何にしようかと思案していた。
駅近のスーパーのお昼のタイムセールは既に終わっていた。
総菜の定価を眺めると到底、買う気にはならずに
冷蔵庫の食材であり合わせの料理をすることにした。
少し食材を購入すると、千晴はマンションに向かって歩き始めた。
「少し寒くなってきたかな」
晩秋のこの時期、学生時代の頃は冬休みと
年末年始のイベントで頭が一杯になっていたが、
今ではボーナスの額が頭の大半を占めるようになっていた。
「うん!我ながら上出来!」
昼食を取りながら千晴は自画自賛してしまった。
盛り付けは適当で見栄えは悪いが、バジルの風味を
十分に堪能できるように仕上がっていた。
「完璧ね、このジャノベーゼの素は!」
千晴はご満悦の表情で食事を終えた。
休日に話す相手も会う相手もおらず、暇つぶしと
午前中のアパートの件を含めて、誠一にコンタクトすることにした。
『ヴェルトール王国戦記』に自宅のコンピュータから
アクセスすると、画面には溢れんばかりのゾンビが表示された。
「うげげぇ、何よこれ」
画面の中央では、それらのゾンビに囲まれながらも
苦も無く倒す誠一たちが映っていた。
苦戦しているようでもなくサクサクと倒している誠一たちであった。
「まったく昼食後で良かったわ。
こんなのを見たら食事する気なんて起きなくなるわ」
見ていて気持ちの良いものではなく、
千晴は風呂掃除でもするかなと思ってコンピュータの前を
離れようとした。
その時、画面に誠一の言葉がポップアップされた。
画面に目を戻すと、シエンナがいつの間にかいなくなっていた。
そして、誠一が必死の表情でわめいていた。
『千晴さん!力を貸してください。助けてください。
シエンナを彼女を助けたいんです』
流石に激昂している誠一の表情と言葉、
逼迫した雰囲気のキャロリーヌ、ヴェルを見て
千晴は危機的状況にあることを悟った。
『へっ、これって危機的状況だったの?』
空を見つめる誠一の鬼の様な形相に千晴は驚いてしまった。
慌てて、千晴は弁解をした。
『ごっごめんなさい。誠一さんたちがポコポコと
敵を倒しているから、全然、気づかなくって。
シエンナが犠牲になりそうなのよね』
誠一がばつの悪そうな表情で謝っていた。
『すっすみません。焦って、感情が昂ってしまいました』
『凄い表情だったので驚いただけです。
それより少し頑張ってください。詳しい方に連絡します』
千晴はそう伝えると急ぎ、清涼にゲーム内のチャットで連絡を取った。
『お願いします、急いでください』
誠一の叫び声が書き込まれると、彼は叫ぶとシエンナの方に
向かって動き出した。
0
お気に入りに追加
164
あなたにおすすめの小説

異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!
理太郎
ファンタジー
坂木 新はリサイクルショップの店員だ。
ある日、買い取りで査定に不満を持った客に恨みを持たれてしまう。
仕事帰りに襲われて、気が付くと見知らぬ世界のベッドの上だった。

お願いだから俺に構わないで下さい
大味貞世氏
ファンタジー
高校2年の9月。
17歳の誕生日に甲殻類アレルギーショックで死去してしまった燻木智哉。
高校1年から始まったハブりイジメが原因で自室に引き籠もるようになっていた彼は。
本来の明るい楽観的な性格を失い、自棄から自滅願望が芽生え。
折角貰った転生のチャンスを不意に捨て去り、転生ではなく自滅を望んだ。
それは出来ないと天使は言い、人間以外の道を示した。
これは転生後の彼の魂が辿る再生の物語。
有り触れた異世界で迎えた新たな第一歩。その姿は一匹の…

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした
高鉢 健太
ファンタジー
ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。
ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。
もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。
とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

元外科医の俺が異世界で何が出来るだろうか?~現代医療の技術で異世界チート無双~
冒険者ギルド酒場 チューイ
ファンタジー
魔法は奇跡の力。そんな魔法と現在医療の知識と技術を持った俺が異世界でチートする。神奈川県の大和市にある冒険者ギルド酒場の冒険者タカミの話を小説にしてみました。
俺の名前は、加山タカミ。48歳独身。現在、救命救急の医師として現役バリバリ最前線で馬車馬のごとく働いている。俺の両親は、俺が幼いころバスの転落事故で俺をかばって亡くなった。その時の無念を糧に猛勉強して医師になった。俺を育ててくれた、ばーちゃんとじーちゃんも既に亡くなってしまっている。つまり、俺は天涯孤独なわけだ。職場でも患者第一主義で同僚との付き合いは仕事以外にほとんどなかった。しかし、医師としての技量は他の医師と比較しても評価は高い。別に自分以外の人が嫌いというわけでもない。つまり、ボッチ時間が長かったのである意味コミ障気味になっている。今日も相変わらず忙しい日常を過ごしている。
そんなある日、俺は一人の少女を庇って事故にあう。そして、気が付いてみれば・・・
「俺、死んでるじゃん・・・」
目の前に現れたのは結構”チャラ”そうな自称 創造神。彼とのやり取りで俺は異世界に転生する事になった。
新たな家族と仲間と出会い、翻弄しながら異世界での生活を始める。しかし、医療水準の低い異世界。俺の新たな運命が始まった。
元外科医の加山タカミが持つ医療知識と技術で本来持つ宿命を異世界で発揮する。自分の宿命とは何か翻弄しながら異世界でチート無双する様子の物語。冒険者ギルド酒場 大和支部の冒険者の英雄譚。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています

起きるとそこは、森の中。可愛いトラさんが涎を垂らして、こっちをチラ見!もふもふ生活開始の気配(原題.真説・森の獣
ゆうた
ファンタジー
起きると、そこは森の中。パニックになって、
周りを見渡すと暗くてなんも見えない。
特殊能力も付与されず、原生林でどうするの。
誰か助けて。
遠くから、獣の遠吠えが聞こえてくる。
これって、やばいんじゃない。

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜
霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……?
生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。
これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。
(小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる