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481.対決2
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ふう、これ以上の揉め事なくおわりそうだなと
誠一が安堵した矢先、挙手をした男子がいた。
挙手と同時に聞えた声が誠一には酷く耳障りであった。
穏便に済ませたかったが、その声がぶち壊してしまった。
「アル、俺がやる。その決闘!」
「じゃあ、私もやる。参加ね」
誠一は内心、舌打ちしてしまった。
この二人を除外するように話せば良かったと。
「決闘なんて大袈裟じゃなくて、手合わせみたいなもんだ。
俺がどこまでお前に近づけたか知りたいんだよ」
「私も同じね。貴方の隣に並び立つのが
ふさわしいのか知りたいし」
シエンナの言葉にヴェルが喰いついた。
「ああっ!シエンナ、アルの隣に戦場で並ぶのは俺だ!
おまえは、結婚式で並んでろ」
「はああっ!あんたは背中を守るとか何とか言ってたでしょ。
戦場でもどこでもアルの隣に並ぶのは伴侶の務めなの」
「るせー、でしゃばんな。
背中も隣も俺の定位置だ!シエンナは、後方に居ろよ」
ああっ、誠一は心の中で叫んでいた。
収拾がつかなくなる予感がした。
先ほど少しづつ後退していた連中は、
興味深々の態で耳を傾けていた。
「あの二人の話を聞いていると、
そんなに真剣に考えなくていいようだな」
「そのようだな。ならちょっと腕試しに
アルフレートと一戦してみるのもいいな」
席に座っていた全然、関係ない連中も挙手をし始めた。
一方で女子の興味は『伴侶』というキーワードに移っていた。
「シエンナ、もしかして婚約したのかしら」
「いやいや、流石にご両親が廃嫡された長子を認めるかしら」
「じゃ、じゃあもしかして、反乱軍に寝返ったのは、
もしかして、恋のためなの」
うおおおぅ、誠一の心の叫びがヒートアップしていた。
そしてまた、あの男が女子たちに格好の話題を提供してしまった。
「うるせー。違うぞ、決して恋のためじゃねー。
そもそもアルは俺の姉貴とも婚約済みだ。
恋とか愛とかのくだらないことじゃく、
もっと崇高な任務に就いていたんだ」
誠一の心を言いようのない徒労感が支配し、
一気にクールダウンされた。
疲れた声がそこかしこで盛り上がる会話を一旦、静まらせた。
「みなさん、要は訓練形式の手合わせと言うことでいいですね。
これから講師に許可を取りに行ってきます。
シエンナ、ヴェル、同行して貰ってもいいかい?」
誠一の冷たい声に何かを察したシエンナは言葉を濁したが、
誠一は有無を言わせなかった。
「おっけーだ。暗い声出してないで、アル、早く行こうぜ」
これはお前のせいだと、じろりとヴェルを睨みつけたが、
ヴェルには全く通じなかった。
誠一が安堵した矢先、挙手をした男子がいた。
挙手と同時に聞えた声が誠一には酷く耳障りであった。
穏便に済ませたかったが、その声がぶち壊してしまった。
「アル、俺がやる。その決闘!」
「じゃあ、私もやる。参加ね」
誠一は内心、舌打ちしてしまった。
この二人を除外するように話せば良かったと。
「決闘なんて大袈裟じゃなくて、手合わせみたいなもんだ。
俺がどこまでお前に近づけたか知りたいんだよ」
「私も同じね。貴方の隣に並び立つのが
ふさわしいのか知りたいし」
シエンナの言葉にヴェルが喰いついた。
「ああっ!シエンナ、アルの隣に戦場で並ぶのは俺だ!
おまえは、結婚式で並んでろ」
「はああっ!あんたは背中を守るとか何とか言ってたでしょ。
戦場でもどこでもアルの隣に並ぶのは伴侶の務めなの」
「るせー、でしゃばんな。
背中も隣も俺の定位置だ!シエンナは、後方に居ろよ」
ああっ、誠一は心の中で叫んでいた。
収拾がつかなくなる予感がした。
先ほど少しづつ後退していた連中は、
興味深々の態で耳を傾けていた。
「あの二人の話を聞いていると、
そんなに真剣に考えなくていいようだな」
「そのようだな。ならちょっと腕試しに
アルフレートと一戦してみるのもいいな」
席に座っていた全然、関係ない連中も挙手をし始めた。
一方で女子の興味は『伴侶』というキーワードに移っていた。
「シエンナ、もしかして婚約したのかしら」
「いやいや、流石にご両親が廃嫡された長子を認めるかしら」
「じゃ、じゃあもしかして、反乱軍に寝返ったのは、
もしかして、恋のためなの」
うおおおぅ、誠一の心の叫びがヒートアップしていた。
そしてまた、あの男が女子たちに格好の話題を提供してしまった。
「うるせー。違うぞ、決して恋のためじゃねー。
そもそもアルは俺の姉貴とも婚約済みだ。
恋とか愛とかのくだらないことじゃく、
もっと崇高な任務に就いていたんだ」
誠一の心を言いようのない徒労感が支配し、
一気にクールダウンされた。
疲れた声がそこかしこで盛り上がる会話を一旦、静まらせた。
「みなさん、要は訓練形式の手合わせと言うことでいいですね。
これから講師に許可を取りに行ってきます。
シエンナ、ヴェル、同行して貰ってもいいかい?」
誠一の冷たい声に何かを察したシエンナは言葉を濁したが、
誠一は有無を言わせなかった。
「おっけーだ。暗い声出してないで、アル、早く行こうぜ」
これはお前のせいだと、じろりとヴェルを睨みつけたが、
ヴェルには全く通じなかった。
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