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465.護衛3

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「おいおい、アル。あれってジェイコブだぞ。
それにあの鎧に刻まれた紋章は!
ってあれはヴェルトール王国の騎士じゃんかよ」

「ちょっと、ヴェル!静かにしなさいって」
シエンナがヴェルを注意したが、シエンナの声は
ヴェルより大きかった。

「おまっ、何考えて。くそっ、見つかったみたいだ。
こっち、見てるぞ」

誰の目にも明らかであった。
ジェイコブと騎士たちが声の元である自分たちの方へ目を向けていた。
誠一の側でシエンナがプルプルしていた。

「わっ私が悪いの?ヴェルが大声で話すからでしょ」

「シエンナ、もうそれはいいよ。
それよりここは出た方が良さそうだね」
誠一はジェイコブたちの前に姿を現した。
サリナを除いた仲間がそれに続いた。

「おまえ、アルフレート!生きてたのか!
まあ、いい。おまえは役に立ちそうだからな。
キャロリーヌを俺に差し出して、俺の下につけ。
この際、貴様のお下がりだが、我慢しよう」

 誠一を始めとした全員が顔を顰めてしまった。
「ジェイコブ様、ここで一体、何をしているのでしょうか?」
ジェイコブのくだらない発言をスルーして誠一は質問した。

「きっ貴様こそ、何故、ここにおる?」

「ジェイコブ殿、彼は最近、ヴェルトール王国へ
投降してきた者ですよ」
騎士の1人がジェイコブへ囁いた。

「はああっ!どういうことだ。
事の次第によっては只では済まさんぞ。
まさかと思うが皇帝陛下を裏切ったなんてことはないよなぁ」
ジェイコブのねめつけるような視線が誠一を
捉えて離さなかった。

「さっさと答えんか!この地を統べるジェイコブ王が
諮問しているのだぞ」

「行軍の途中で脱落するような惰弱が!鍛え直してやる」

ジェイコブの取り巻きたちが騒ぎ始めた。
彼らの息が上がり、罵詈雑言が収まると再び、
誠一を不快な視線が包んだ。

「空の荷車を護衛して、主城に戻る途中です。
それと、王と僭称する野盗の群れと結託する巡回中の騎士を
レドリアン導師へ報告するところです」

その誠一の言葉に騎士たちは剣を抜いた。
誠一たちの実力を知るジェイコブたちは、
剣を抜くこともせずにおろおろし始めた。

「あんなうだつの上がらない男の下じゃ、
出世どころか命すら危うい。やってられるか」

「平時には多少の能臣だったが、乱世では愚将だ。
忠誠を誓う相手じゃない」

「こんな安い俸給でやってられっか」

「ジェイコブさんよ、おまえらも剣を抜け。
レドリアンの耳に入ったら、面倒だぞ」

促されたジェイコブは左右の取り巻き達をきょろきょろと見た。
しかし、取り巻き達からは、何のご注進もなかった。
せめて本隊が一緒なら数の暴力で誠一たちを
屈服出来たろうが、略奪が済んだために本隊は拠点に
下らせてしまっていた。
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