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464.護衛2

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「ふう、暑い」
照り付ける日の光を左腕で遮りながら、誠一は歩いた。

「おう、アルフレート君か。どうした?」
守備隊長は、誠一を見ると気さくな態度で接してきた。
人の良さそうな雰囲気の男であった。

「隊長、少し遠い場所ですが、黒煙が上がっています。
念のために偵察に向かいたいのですが」

誠一の言葉に守備隊長は、微笑みを絶やすことはなかったが、
若干、表情が曇っていた。
「アルフレート君、きみぃ、職務を理解しているかね。
我々の職務は、荷車や人足を主城まで護衛することだよ。
まずは目の前の業務に集中しないと。
そもそも君はまだ、学生だ。
色々なことに首を突っ込むような能力はないだろう」

誠一は隊長の意見も分からなくは無かった。
しかし、どうにも誠一は隊長の意見に頷けなかった。
誠一は食い下がった。

守備隊長の顔から笑顔が消えた。守備隊長は目を閉じた。
日の光が眩しい訳でないことは、誠一にも分かった。
「噂には聞いていたがな。あながち噂と言うのは
馬鹿にできないものだな。
独断専行、勝手気まま、君には困ったものだな」
腕を組み無口になる守備隊長。
重苦しい雰囲気が二人の間を支配した。守備隊長は重い口を開けた。
「アルフレート君、君のチームと数人の兵を連れて、
そこへ向かいなさい」

誠一が大きな声で返事をした。
守備隊長は、もう行けとばかりに身振りで示した。

 誠一は戻ると、仲間に経緯を話し、
ヴェルに先頭で案内するように頼んだ。
「承った!守備隊長も話が分かるっ!中々な男だな」
馬に跨るとヴェルが誠一に向かって叫んだ。
誠一はあいまいな笑みを浮かべて、その叫びに応じた。

「ヴェルにも困ったものだな。
もう少し世間の事情を読み取ることを覚えて貰いたいものだな」
ロジェが嘆息したが、それに誠一が応じた。
「まあ、確かにですが、ヴェルのあれはあれで
今はいいのかもしれせん。あの勢いは必要ですよ。
歳を重ねて、経験を重ねれば、少し落ち着きますって」

ロジェは笑った。
「少しね。まあ、少しは落ち着けば、いいだろう。
しかし、アルフレート君、きみは、まあ、言うまい。
守備隊長の思惑と打算も分かっているだろうしね」

ヴェルの先導によって誠一たちは、黒煙の上がる村の付近に到着した。
黒煙はいくつも上がっていた。
誠一たちに同行した兵士たちは、それ以上、近づくことに及び腰であり、
本隊に戻り報告することを主張した。
村からは人々の様々な叫び声は聞こえてこなかった。
彼らの瞳に映る黒煙のみが唯一の情報であった。

「みんな、行くよ」
誠一は兵士たちの主張を無視して、サリナを先行させた。
シエンナの探知魔術が幾人か残っていることを示した。

サリナの手振りにより誠一たちも音を発てないように
気を付けて村に近づいた。

村の中心では、綺麗な鎧に身を包んだ騎士数人と上質ではあるが、
薄汚れた鎧に身を包んだ者たちが談笑を交わしていた。
誠一たちの身を顰める場所からは微かにしか彼らの声が聞えなかった。
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