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457.再会5
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「身の安全を保障するなら、
周囲に潜ませている暗殺者たちを退かせなさいよ」
突如、二人の睨み合いにサリナが口を挟んだ。
「チッ、これほどに仕込みをして、得た物はなしか。
低レベルな盗賊と貴様を見積もっていたが、中々のようだな。
だがまあ良い。面白いモノも見られたことだしな」
バッシュが頭領に周囲に潜む暗殺者を退かせるように言った。
そして、頭領に寝所を用意し、明日にでも北関への案内人を
付ける様に指示した。
バッシュは去り際に誠一だけに聞えるように言った。
「貴様、アルフレート・フォン・エスターライヒではないな。
神堕ち者だろう。いずれ、色々と話して貰う」
誠一はその言葉を聞いて、ほっとした。
自分がバッシュのプレーヤーであることを隠し通せたと。
しかし、ナージャとバッシュの一派を接触させる訳にはいかなかった。
バッシュを操るプレーヤーがこの世界に落とされたことを
奴に知られれば、恐らく今日のやり取りから、
自分が最も彼に疑惑の目を向けられることは自明の理であった。
こいつらより先にナージャに会わねばと誠一は直近の目的をそう定めた。
「主よ、あの者たちは如何いたしますか?
道中、処置することも可能です」
誠一たちを寝室に案内した後、頭領はバッシュに
彼らの処理について指示を仰いだ。
「知れたことよ。このまま、北関へ送り返す。
奴、特にアルフレートには高い利用価値がある。
監視を怠るなよ。常に所在を明らかにしておけ。
いいか余計な手出しは無用。エンゲルス家に連なる者もいるしな。
藪蛇になりかねん」
頭領は苦笑した。
「我が主らしからぬことです。
エンゲルス家などこの闇の地においては
既に過去の歴史となり果てております」
バッシュはくぐもった声で笑い返した。
「いかにも。だが、時が刻まれるほど、その恐怖は誇張され、
実像と乖離し、大きな虚像となり人の心に映るものだ」
頭領は恭しく一礼すると暗い部屋から闇に紛れて消えた。
部屋を灯す明かりは、一本の蟷螂だけであった。
普段であれば、蟷螂の火が揺らぐことなどない。
しかし、バッシュ一人となると、時節、その灯りが揺らいだ。
バッシュは先程のアルフレートとのやり取りを反芻していた。
思い出す度に興奮して、息が乱れ、部屋の空気が震え、灯りが揺らいだ。
「ついに見つけた。俺の宿願と16年前の汚点を晴らすための駒が」
バッシュは相好を崩し、好々爺のような笑みを浮かべていた。
しかし蟷螂の明りに映るバッシュの瞳は冷酷そのものであった。
周囲に潜ませている暗殺者たちを退かせなさいよ」
突如、二人の睨み合いにサリナが口を挟んだ。
「チッ、これほどに仕込みをして、得た物はなしか。
低レベルな盗賊と貴様を見積もっていたが、中々のようだな。
だがまあ良い。面白いモノも見られたことだしな」
バッシュが頭領に周囲に潜む暗殺者を退かせるように言った。
そして、頭領に寝所を用意し、明日にでも北関への案内人を
付ける様に指示した。
バッシュは去り際に誠一だけに聞えるように言った。
「貴様、アルフレート・フォン・エスターライヒではないな。
神堕ち者だろう。いずれ、色々と話して貰う」
誠一はその言葉を聞いて、ほっとした。
自分がバッシュのプレーヤーであることを隠し通せたと。
しかし、ナージャとバッシュの一派を接触させる訳にはいかなかった。
バッシュを操るプレーヤーがこの世界に落とされたことを
奴に知られれば、恐らく今日のやり取りから、
自分が最も彼に疑惑の目を向けられることは自明の理であった。
こいつらより先にナージャに会わねばと誠一は直近の目的をそう定めた。
「主よ、あの者たちは如何いたしますか?
道中、処置することも可能です」
誠一たちを寝室に案内した後、頭領はバッシュに
彼らの処理について指示を仰いだ。
「知れたことよ。このまま、北関へ送り返す。
奴、特にアルフレートには高い利用価値がある。
監視を怠るなよ。常に所在を明らかにしておけ。
いいか余計な手出しは無用。エンゲルス家に連なる者もいるしな。
藪蛇になりかねん」
頭領は苦笑した。
「我が主らしからぬことです。
エンゲルス家などこの闇の地においては
既に過去の歴史となり果てております」
バッシュはくぐもった声で笑い返した。
「いかにも。だが、時が刻まれるほど、その恐怖は誇張され、
実像と乖離し、大きな虚像となり人の心に映るものだ」
頭領は恭しく一礼すると暗い部屋から闇に紛れて消えた。
部屋を灯す明かりは、一本の蟷螂だけであった。
普段であれば、蟷螂の火が揺らぐことなどない。
しかし、バッシュ一人となると、時節、その灯りが揺らいだ。
バッシュは先程のアルフレートとのやり取りを反芻していた。
思い出す度に興奮して、息が乱れ、部屋の空気が震え、灯りが揺らいだ。
「ついに見つけた。俺の宿願と16年前の汚点を晴らすための駒が」
バッシュは相好を崩し、好々爺のような笑みを浮かべていた。
しかし蟷螂の明りに映るバッシュの瞳は冷酷そのものであった。
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