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407.方針2

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「昨夜、皇国の王太子であられるグレイガー殿下と
ひと悶着あった。恐らく陰に陽に僕らに接触してくると思う」
全員がこの接触を良い意味に捉えていなかった。

「昨日の皇宮でのファーリの詩は、恐らく誰かの仕込みだと
僕は考えている」

ファーリ自身が楽しんでいたのは確かであったが、
流石に単独であそこまですれば、投獄どころではすまないだろう。
最悪、打ち首すらあり得ることであった。

「皇帝、王太子、有力貴族、誰かはわからないが、
神々より啓示を受けて、動いている人物がいることは確かだな。
ファーリの件は別としてもその急先鋒に王太子がいる。
アルフレート君、そう言うことだな」
ロジェの的確なまとめに誠一が頷いた。

「やれる対策と言っても情報を集めるか、
グレートウォールを離れるくらいしかないわね」
シエンナの言葉を誠一が繋いだ。

「そうだね。ほとぼりが冷めるまで待つのは一つの手だし、
また、周辺の町や村を回るのもありかな。
僕の心に語り掛ける神が色々と調べてくれているようだしね。
風向きが変わるのを待つというのが最善の一手かな」

誠一、シエンナの意見を基本として、動くことにした。
しとしと降り続ける雨は、何時降り止むか分からず、
固い地面の至る所にぬかるみを作っていた。

 ヴェルトール王国軍は、北関より再び反乱軍を
討伐するために進軍をしたが、ダンブル家が誇る三角砦で
足止めを受けていた。
グレートウォールが異民族に抜かれた場合、
最初の難所となる場所であった。
王国軍に対しては二つの砦がせり出しており、
中央に位置する砦が下がり目に配置されていた。
一つの砦を攻めると他の砦が援軍を派兵して、
ヴェルトール王国軍の攻撃を上手くいなしていた。

「ラムデール、今の戦況をどう思う?」
ファブリッツィオは自分が率いる軍の副将たるラムデールに
今の膠着状態について、考えを述べる様に促した。

「我が軍で落とせなくはないかと。
一つの砦を落とせば、一気に他の二つの砦は落ちるは
必定となります」

ファブリッツィオは腕を組み、頷いた。
「我が軍には一つの砦を陥落させて、
なお、他の砦の妨害を防ぐ兵力があるな。
だが、どうも本営は戦線の維持に終始しているな。何故だ?」

慇懃な態度を崩さずにラムデールは、
馬上で遠方に見える砦を眺めていた。

「兵の損耗を防ぐためでしょうか?
そのために参謀を中心として、調略を進めているのかもしれません。
もしくは何かしらの政治的な理由があるのかもしれません」

ファブリッツィオも馬上より遠方に見える砦に目を見やった。

砦は今のところ、難攻不落を誇り、士気の高さが
ファブリッツィオやラムデールのいる場所からでも伺えた。
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