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383.地方慰撫1

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 数日後、バラムと不満絶頂のジェイコブを
伴いぬかるんだ道を誠一たち一行は馬車で移動していた。

「アル、目的地は、依頼のあった村だよな。
この蒸し暑さは頂けないな。森に探索とか最悪だぞ」
荷車でヴェルが怠そうにしていた。
 
「まあ、そろそろ到着だし。早く終わらせて戻ればいいさ」
額の汗を拭いながら、誠一が答えた。

 小さな村に到着して、誠一たちは村長の家を訪ねた。
依頼は、蜘蛛の巣除去であった。
小さな村の狩人や村人では無数の蜘蛛を倒すことが
出来ずに返り討ちにあって、蜘蛛の食料となるのが関の山であった。

「報酬は割に合わないが、素材と魔石は是非とも集めたいな。
さっさと片づけよう」
村長に詳細を聞いたロジェは、蜘蛛の素材を集めるようであった。
蜘蛛の解体があると思い、誠一はどうにも気がすすまなかった。
倒した時の体液が噴き出る態がどうしても生理的に慣れなかった。
しかし、話を聞く限りでは、蜘蛛の素材や魔石は
そこそこの値で取引されるようであった。

 村の狩人に案内されて、巣に到着したが、
誠一たちは呆然とその巣を見つめていた。

「アル、これは全く討伐の報酬は割に合わないわ」
蜘蛛が苦手なキャロリーヌは、少し青い顔をしていた。

幾本もの木々に何十、何百にも巣が張られていた。
蜘蛛の糸は乳白色で美しかったが、奥がどこまで続いているのか
全く肉眼では確認することができなかった。
巣の蜘蛛たちがわらわらと巣の奥から現れた。
恐らく誠一たちを認識したのだろう。

「うおおお、フレイムチャージ」
先陣を切ったヴェルが炎の塊となって、蜘蛛の巣を焼き払っていた。

「うおおお、エアチャージ」
誠一が風の刃となって、蜘蛛の巣を斬り裂いていた。

巣より逃げ出す蜘蛛をキャロリーヌの矢とシエンナの魔術が倒していた。

向かって来る蜘蛛はロジェとサリナが倒していた。

噴き出る蜘蛛の体液にジェイコブは悲鳴を上げて、
取り巻き達と後方へ下ってしまった。
バラムは少し離れた場所から手を出すでもなく
誠一たちの様子を観察していた。

「まったくあの男は、本当に使えない」
キャロリーヌが矢を番えながら、ジェイコブを一瞥した。

シエンナが苦笑した。
「使えないけど、何とか後方に踏み留まっていますね。
それに剣を抜いて、振り回しています」
どうやら討ち漏らした蜘蛛を取り巻きが弱らせて、
ジェイコブに止めを刺させているようであった。

「まったく最悪、本当にしょうもない」
憤慨しながら、矢を次々に放ち、
蜘蛛を倒すキャロリーヌとシエンナであった。
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