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373.打ち上げ3
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その夜、予定通りに打ち上げを行った。
何故かグロウと宰相がこの場に参加していた。
アミラがバツの悪そうな顔でヴェルの隣に座っていた。
普段、察しの悪いヴェルであったが、この時は直ぐに助け船を出した。
「いやー打ち上げはやはり人数が多い方が楽しくていいな。
それに宰相とグロウさんなら、言うまでもなく旨い差し入れが
あるでしょうしね」
宰相はにっこりしていたが、グロウはヴェルの言葉に
分かりやすく動揺していた。
グロウのうろたえる姿にアミラの顔が更に曇っていた。
それを見たヴェルも慌てていた。
察することはできたが、フォローはまだまだ、勉強が必要であった。
宰相はアミラの顔を見て、グロウに耳打ちをした。
「おっおう、ヴェルの言う通りだ。勿論、差し入れがあるぞ。
おい、女将、ここの一番高い酒と飲み物を持ってこい」
グロウの自信満々の表情にアミラがほっとした表情をしていた。
「そうじゃ、エドワード陛下もお越しになりたいようであったが、
近臣どもがうるさくてのう。秘蔵の逸品を預かってきた」
宰相は見るから高価そうな瓶を取り出した。
その行動を誠一は不思議そうに見つめていた。
「ふむ、練兵場の件はさして気にしておらぬ。
近臣どもに常に観察されておるのだ。
彼等の望む態度も時には必要なのだよ。そのための演技も必要じゃて」
尚も不思議そうな誠一に宰相は説明を続けた。
「あの件は、政治・軍事に大きく影響の少ない。
そういった場で意識を共有すれば、
それだけで阿諛追従の好きな貴族どもは無意識に満足するものなのだよ。
咄嗟にそれを判断し、演技することも王に必要な事。
無論、竜人が1人誕生することが最も重要なことではあったがのう」
誠一は何気なく尋ねた。
「彼は療養中ですか?」
「アルフレート君、君が知る必要はない。
彼から竜の魂は去った。それが全てだ。
それを気に悩む必要もない。
全ては戦場でのことである。彼の心が弱かったのだよ」
誠一には竜の魂云々は分からなかったが、
ザルバードにとってはあまり良いことではないと感じた。
それは話に割って入って来ないが、グロウとアミラの表情を
見ても分かった。
「それよりだ。アルフレート君、聡明な君の事だ。
ダンブル派がこの世界の覇権を握ると思っておらぬだろう。
もし君のその気があるならば、公国へ仕える口利きを
することもやぶさかではなのだがのう」
試されている。そう誠一は感じた。
常にこのご老体は、自分と言う人間を評価するための
ソースを収集しようといている。誠一は首を傾げながら、
笑って答えた。
「私は商人として、利益を追求するために
グレートウォールに赴くだけです。
それがどういう形であれ、売買で稼ぐだけですよ。
彼等との間に何らかの接点が生まれるとしても
それは利益のためです」
「おい、アルフレート。金勘定なんぞ、文官どもに任せておけばいい。
武人たる者、戦場で雄叫びをあげ、剣を振るえばそれでいい。
おまえも武人だろう、適当な者を雇えばいいだろうが」
どうもグロウは自分やヴェル、シエンナを魔術師として
見なしていないようであった。
誠一は、誤解を早めに解いておくべきだと感じた。
何故かグロウと宰相がこの場に参加していた。
アミラがバツの悪そうな顔でヴェルの隣に座っていた。
普段、察しの悪いヴェルであったが、この時は直ぐに助け船を出した。
「いやー打ち上げはやはり人数が多い方が楽しくていいな。
それに宰相とグロウさんなら、言うまでもなく旨い差し入れが
あるでしょうしね」
宰相はにっこりしていたが、グロウはヴェルの言葉に
分かりやすく動揺していた。
グロウのうろたえる姿にアミラの顔が更に曇っていた。
それを見たヴェルも慌てていた。
察することはできたが、フォローはまだまだ、勉強が必要であった。
宰相はアミラの顔を見て、グロウに耳打ちをした。
「おっおう、ヴェルの言う通りだ。勿論、差し入れがあるぞ。
おい、女将、ここの一番高い酒と飲み物を持ってこい」
グロウの自信満々の表情にアミラがほっとした表情をしていた。
「そうじゃ、エドワード陛下もお越しになりたいようであったが、
近臣どもがうるさくてのう。秘蔵の逸品を預かってきた」
宰相は見るから高価そうな瓶を取り出した。
その行動を誠一は不思議そうに見つめていた。
「ふむ、練兵場の件はさして気にしておらぬ。
近臣どもに常に観察されておるのだ。
彼等の望む態度も時には必要なのだよ。そのための演技も必要じゃて」
尚も不思議そうな誠一に宰相は説明を続けた。
「あの件は、政治・軍事に大きく影響の少ない。
そういった場で意識を共有すれば、
それだけで阿諛追従の好きな貴族どもは無意識に満足するものなのだよ。
咄嗟にそれを判断し、演技することも王に必要な事。
無論、竜人が1人誕生することが最も重要なことではあったがのう」
誠一は何気なく尋ねた。
「彼は療養中ですか?」
「アルフレート君、君が知る必要はない。
彼から竜の魂は去った。それが全てだ。
それを気に悩む必要もない。
全ては戦場でのことである。彼の心が弱かったのだよ」
誠一には竜の魂云々は分からなかったが、
ザルバードにとってはあまり良いことではないと感じた。
それは話に割って入って来ないが、グロウとアミラの表情を
見ても分かった。
「それよりだ。アルフレート君、聡明な君の事だ。
ダンブル派がこの世界の覇権を握ると思っておらぬだろう。
もし君のその気があるならば、公国へ仕える口利きを
することもやぶさかではなのだがのう」
試されている。そう誠一は感じた。
常にこのご老体は、自分と言う人間を評価するための
ソースを収集しようといている。誠一は首を傾げながら、
笑って答えた。
「私は商人として、利益を追求するために
グレートウォールに赴くだけです。
それがどういう形であれ、売買で稼ぐだけですよ。
彼等との間に何らかの接点が生まれるとしても
それは利益のためです」
「おい、アルフレート。金勘定なんぞ、文官どもに任せておけばいい。
武人たる者、戦場で雄叫びをあげ、剣を振るえばそれでいい。
おまえも武人だろう、適当な者を雇えばいいだろうが」
どうもグロウは自分やヴェル、シエンナを魔術師として
見なしていないようであった。
誠一は、誤解を早めに解いておくべきだと感じた。
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