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355.交流10
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ロジェとキャロリーヌは武装し、誠一は軽やかな服装にした。
指定された屋敷に向かいながら、それとなく持ち主の情報を探ったが、
大した情報を得ることはなかった。
屋敷は竜公国でよく見る様式であったが、
柵越しに見える庭園はヴェルトール王国の王都で
よく見かける様式であった。
正門には二人の屈強な兵士が所在無げに立っていた。
その姿は職務に忠実には到底、誠一たちに映らなかった。
「どうやら大した御仁では無さそうだな」
ロジェは兵士の態度からあまり良い印象を受けなかったようだった。
誠一は笑ってしまった。
「うーん、エスターライヒ家王都の屋敷の兵士もあまり変わらないですよ」
キャロリーヌが上手く纏めた。
「雇い主や領主か客人でも見てなければ、どこもあんなもんでしょ」
誠一が書状を兵士に見せると、視線はキャロリーヌに
向かいながらも姿勢を正して、対応した。3人は直ぐに客間に通された。
その頃、ヴェルはアミラと一緒に市場で品物を広げて商売を始めていた。
「今日は、金髪の坊ちゃんはいないですか?」
「おう、野暮用で外してる。悪いけど、今日一日、手伝ってくれ。
無論、ただとはいわないけど、頼む」
アミラは本当に可笑しそうに笑った。
「ぷっ、まったくそれが人に物を頼む態度ですか?
でもまあ、嫌味は感じませんです。
ちょっとリッチな昼食で手を打つです」
とりとめもない話をしながら、時節訪れる客を捌きながら、
二人は過ごした。
「あの金髪の人について、どう思っているですか?」
「アルのことか?ちょっとすかしたとあるけど、
いい奴だぞ、努力家だし。
名門の出なのにそれを嵩にして、威張り散らすこともないしな。
あーでも女にだらしないところは、苦手だ。
アミラもあと3,4年したら、気を付けろよ」
最後にあいつは俺の親友だと付け加えて、ヴェルは高笑いした。
「年齢の割には大人びているです。
否、そうではないです。実際に大人なのです。
作り笑い、否、見透かしたような笑いがどうにも不快です。
あの美しい整った青年が大人の視線で見ている様な気が
してどうしようもなく気味が悪いのです」
ヴェルは驚き、呆然としてしまった。
全くそんなふうに思ったことがなかったからだった。
そして、親友を悪く言われたことに激怒した。
自然、反論する声は大きくなり、周囲に響いた。
市場の人々は遠巻きに彼らの諍いを興味深げに見ていた。
彼らの諍いを見て、7,8人の柄の悪い男たちがヴェルたちに
近づいてきた。
「おうおう、公共の場でギャーギャー騒ぎやがって、うるせえんだよ」
ヴェルとアミラを彼らは逃げられないように取り囲んだ。
指定された屋敷に向かいながら、それとなく持ち主の情報を探ったが、
大した情報を得ることはなかった。
屋敷は竜公国でよく見る様式であったが、
柵越しに見える庭園はヴェルトール王国の王都で
よく見かける様式であった。
正門には二人の屈強な兵士が所在無げに立っていた。
その姿は職務に忠実には到底、誠一たちに映らなかった。
「どうやら大した御仁では無さそうだな」
ロジェは兵士の態度からあまり良い印象を受けなかったようだった。
誠一は笑ってしまった。
「うーん、エスターライヒ家王都の屋敷の兵士もあまり変わらないですよ」
キャロリーヌが上手く纏めた。
「雇い主や領主か客人でも見てなければ、どこもあんなもんでしょ」
誠一が書状を兵士に見せると、視線はキャロリーヌに
向かいながらも姿勢を正して、対応した。3人は直ぐに客間に通された。
その頃、ヴェルはアミラと一緒に市場で品物を広げて商売を始めていた。
「今日は、金髪の坊ちゃんはいないですか?」
「おう、野暮用で外してる。悪いけど、今日一日、手伝ってくれ。
無論、ただとはいわないけど、頼む」
アミラは本当に可笑しそうに笑った。
「ぷっ、まったくそれが人に物を頼む態度ですか?
でもまあ、嫌味は感じませんです。
ちょっとリッチな昼食で手を打つです」
とりとめもない話をしながら、時節訪れる客を捌きながら、
二人は過ごした。
「あの金髪の人について、どう思っているですか?」
「アルのことか?ちょっとすかしたとあるけど、
いい奴だぞ、努力家だし。
名門の出なのにそれを嵩にして、威張り散らすこともないしな。
あーでも女にだらしないところは、苦手だ。
アミラもあと3,4年したら、気を付けろよ」
最後にあいつは俺の親友だと付け加えて、ヴェルは高笑いした。
「年齢の割には大人びているです。
否、そうではないです。実際に大人なのです。
作り笑い、否、見透かしたような笑いがどうにも不快です。
あの美しい整った青年が大人の視線で見ている様な気が
してどうしようもなく気味が悪いのです」
ヴェルは驚き、呆然としてしまった。
全くそんなふうに思ったことがなかったからだった。
そして、親友を悪く言われたことに激怒した。
自然、反論する声は大きくなり、周囲に響いた。
市場の人々は遠巻きに彼らの諍いを興味深げに見ていた。
彼らの諍いを見て、7,8人の柄の悪い男たちがヴェルたちに
近づいてきた。
「おうおう、公共の場でギャーギャー騒ぎやがって、うるせえんだよ」
ヴェルとアミラを彼らは逃げられないように取り囲んだ。
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