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351.交流6

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「やるなっ。おりゃーおりゃおりゃー。
ちっ、一撃、アルより多くなっちまった」
ヴェルは残りの二人を3撃の下に突き倒した。

呼吸も乱れず、二人とも涼しい顔で残りの二人を見た。

「ぐはっ」
少女を抑えつけいていた女が呻き声をあげて突然、倒れた。

「何なんだ。お前らは。
余所者どもがここ等辺でデカい面するんじゃねえ。
バロック一家に盾突く気か?おう、この名を聞いた上で
きっちりと判断して貰おうじぇねえかよ」

残った一人の女は、喚き散らしていた。
誠一とヴェルは顔を見合わせていた。
天気が良いにしても女性の流す汗の量は尋常ではなかった。

「うーん、それっておいしいの?」
少女はにっこりと微笑み、残った女の鳩尾あたりに
凄まじい勢いで拳をめり込ませた。

「げぼぅ」
女はうめき声を上げて、どさりと倒れて、地面に臥した。
ピクリとも動かなかった。

一瞬の間の後、ヴェルは急いで少女の側に駆け寄った。
「おい。大丈夫か?」

「ふん」
少女が拳をヴェルの腹部に目がけて振り出した。
ヴェルはそれを何とか躱して、吠えた。
「んっあ、何しやがる。それは助けに入った俺に対する態度じゃねーぞ」

少女は邪悪な微笑みを浮かべた。
整った容姿の邪悪な少女の表情が青空の元で更に強調されていた。
ヴェルは怯んで、一歩下がってしまった。

「すみませんは?まずはすみませんです。
金髪のお兄さんの魔力操作は良いとしても
あなたの杜撰な魔力操作が引き越したトラブルですからね。
まったく恩着せがましくお礼を求めるとかありえません」

ヴェルは怯んで、更に一歩下がってしまった。
バレていたとは思ってなかったのだろう。

怯みながらも謝罪の言葉を何とかヴェルは少女に伝えた。
「ううっ。すみませんでした。以後、気を付けます」

「言葉の謝罪はいらないです」
にやりとした表情はヴェルと誠一を更に怯ませるに十分であった。
彼女の人差し指を上下に動かして、地面を指していた。

彼女の態度は土下座を求めていると誠一は思った。

「うーん、できないかなぁ。仕方ないです。
今日一日、あなたたちの仕事ぶりを観察するです。それで許すです」
二人はほっとした。
そして、転がるバロック一家と名乗ったチンピラたちに目を向けた。

「あーこれは気にしないです。ちょっと暗い部屋に連れて行くデス」
一度、手を叩くとわらわらと強そうな雰囲気を纏った者たちが
現れて、彼等を連れてどこかへ消えた。
少女の語尾がちょっと暗く違った感じであった。
晴天にも関わらず誠一とヴェルはうすら寒かった。
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