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322.竜公国2
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「あれが竜公国か」
誠一の眼下には、竜の名を冠した国の城があった。
後方には山脈が連なっており、城はその山を登頂するための
入り口のようであった。城から広がる盆地には、田畑に作物が実っていた。
「この峠を下れば、竜公国の中心都市ドラゴンキャッスルに到着する。
この峠を越えての行軍はかなりきつい上に峠を下れば、軍の徹底は困難になる。
中々、攻めにくい地形だな」
ロジェの説明に誠一は頷いた。
「城の後方の山脈が竜の住まうところね」
シエンナは山脈の規模に感動しているようであった。
ヴェルトール王国では決して見ることのない風景であった。
山脈には黒い雲がかかっており、どんよりとした雰囲気を醸し出していた。
「ここで立ち止まっていると開門の時間が過ぎるわ。みんな、急ぎましょ」
キャロリーヌに促されて、誠一たちは動き出した。
城下町への入り口である正門は人でごった返していた。
閉門までに入れなければ、一夜を城外で過ごす羽目になるため、
どの旅人も少しでも早く入ろうと若干、殺気立っていた。
ヴェルトール王国の王都では見られぬ光景であり、
誠一、ヴェル、シエンナは物珍しそうに眺めていた。
「ロジェさん、貴族、住民、旅人で入り口が違うんですか?」
誠一たちは列に並びながら、様々な質問をロジェに尋ねた。
「ああ、そうだ。それに軍用門がある。
竜公国は外部からの来訪者に少し神経質なんだよ。
恐らく竜に関する機密の流出を防ぐためだろうな。
何かしらのライセンス証さえあれば、さほどの尋問されずに
通過できるさ」
誠一とロジェが話していると、先頭を歩くキャロリーヌが
検問を受けていた。
そろそろかなと誠一が思い、提示するライセンス証を
準備するが一向に前進することがなかった。
後方からはざわめきや罵声が聞えて来た。
「まったく、いつも通りのことだから、少し待ってくれ。
キャロが軟派という名の尋問を受けているんだろう」
暫くすると列は動き出した。
サリナとシエンナは時間が取られることなく、入門していた。
サリナの表情が悔しそうに見えたのは誠一の気のせいだと
思うことにした。
謹直なタイプの兵士が誠一にライセンス証の提示を求めた。
誠一は、提示しながら、こんな真面目そうな兵がキャロリーヌに
この場で言い寄るなんて想像できなかった。
それを想像して、くすりと笑ってしまった。
「何がおかしい」
「いえ、なにも」
兵士本人は、笑われた内容を自覚しているようだった。
「ヴェルトール王国か。国が大変な時期に女を連れて、
旅行とは、一体何を考えていることやら」
検問に関係ないことを陰々ねちねちと話し続ける兵士だった。
後方では、またの停滞に非難轟々の罵声が飛び交っていた。
見かねたロジェが兵士に何かを掴ませると、誠一は通された。
その後、ロジェとヴェルもさしたる尋問もなく、通過した。
誠一の眼下には、竜の名を冠した国の城があった。
後方には山脈が連なっており、城はその山を登頂するための
入り口のようであった。城から広がる盆地には、田畑に作物が実っていた。
「この峠を下れば、竜公国の中心都市ドラゴンキャッスルに到着する。
この峠を越えての行軍はかなりきつい上に峠を下れば、軍の徹底は困難になる。
中々、攻めにくい地形だな」
ロジェの説明に誠一は頷いた。
「城の後方の山脈が竜の住まうところね」
シエンナは山脈の規模に感動しているようであった。
ヴェルトール王国では決して見ることのない風景であった。
山脈には黒い雲がかかっており、どんよりとした雰囲気を醸し出していた。
「ここで立ち止まっていると開門の時間が過ぎるわ。みんな、急ぎましょ」
キャロリーヌに促されて、誠一たちは動き出した。
城下町への入り口である正門は人でごった返していた。
閉門までに入れなければ、一夜を城外で過ごす羽目になるため、
どの旅人も少しでも早く入ろうと若干、殺気立っていた。
ヴェルトール王国の王都では見られぬ光景であり、
誠一、ヴェル、シエンナは物珍しそうに眺めていた。
「ロジェさん、貴族、住民、旅人で入り口が違うんですか?」
誠一たちは列に並びながら、様々な質問をロジェに尋ねた。
「ああ、そうだ。それに軍用門がある。
竜公国は外部からの来訪者に少し神経質なんだよ。
恐らく竜に関する機密の流出を防ぐためだろうな。
何かしらのライセンス証さえあれば、さほどの尋問されずに
通過できるさ」
誠一とロジェが話していると、先頭を歩くキャロリーヌが
検問を受けていた。
そろそろかなと誠一が思い、提示するライセンス証を
準備するが一向に前進することがなかった。
後方からはざわめきや罵声が聞えて来た。
「まったく、いつも通りのことだから、少し待ってくれ。
キャロが軟派という名の尋問を受けているんだろう」
暫くすると列は動き出した。
サリナとシエンナは時間が取られることなく、入門していた。
サリナの表情が悔しそうに見えたのは誠一の気のせいだと
思うことにした。
謹直なタイプの兵士が誠一にライセンス証の提示を求めた。
誠一は、提示しながら、こんな真面目そうな兵がキャロリーヌに
この場で言い寄るなんて想像できなかった。
それを想像して、くすりと笑ってしまった。
「何がおかしい」
「いえ、なにも」
兵士本人は、笑われた内容を自覚しているようだった。
「ヴェルトール王国か。国が大変な時期に女を連れて、
旅行とは、一体何を考えていることやら」
検問に関係ないことを陰々ねちねちと話し続ける兵士だった。
後方では、またの停滞に非難轟々の罵声が飛び交っていた。
見かねたロジェが兵士に何かを掴ませると、誠一は通された。
その後、ロジェとヴェルもさしたる尋問もなく、通過した。
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