転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組！だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業？それとも社畜？誰か助けて

318.IFの世界編 誠一の選択肢2

動けない誠一にアルフレートが近づいた。
誰も彼を止めなかった。

誠一の耳とでアルフレートが囁いた。
「君と同じさ。君が去り、空になったこの器に召喚されたんだよ。
サリナがいないのは不思議に思わないかい？」

「そうそうその眼、いいね。
君がマリアにしたことをサリナにしたら、同じように自殺したよ。
今晩当たり君の目の前でキャロリーヌと楽しませて貰うよ。
『純潔の婚約者』には抗えないからね。君も存分に楽しんでくれ。
そうだな、君がもう少し成長した頃に僕が彼女らに飽きていたら、
君に呉れてやるのもいいかも」

「なぜ、貴様は俺のことを」
誠一のたどたどしい言葉にアルフレートは心底楽しそうに笑った。
整った顔が歪んだ。

「管理者と接触できたからね。君の経験を読むのは
非常に有用で楽しかった。そうそう、リシェーヌも頂くことにする。
君の前で殺すか犯すか、ふふっ、想像するだけでもわくわくするよ」

先程から溜まりに溜まったアルフレートに対する怒りが爆発した。

自然と言葉が出た。
「シエンナっ！ぼっーと見てないで補助魔術を展開して。
ヴェルっ！こいつを振り払って！
ロジェっ、いつまでもぼんやりしないで、目を覚まして。
キャロっ、称号に負けないで」

誠一の咄嗟の言葉に彼らは何故か動かされた。
そして彼らの動きはあまりにも自然であった。

アルフレートはヴェルの一撃を躱して誠一から離れると、
剣を引き抜いた。

「兄貴、何時までぼんやりしてるんだ！さっさと起きろ」
ヴェルのハルバートがロジェにかけられていたアミュレットを砕いた。
ロジェはその場で片膝をついた。

「ヴェル、すまない」

「今は、それどころじゃない、兄貴、しっかりしてくれ」

「大気に浮遊する水源より無数に踊り湧かれろ。流水演舞」
シエンナが泣き笑いながら、水の魔術を唱えた。
彼女の後方に無数の水龍が顕現していた。
そして、水龍はアルフレートに襲いかかったが、黄金の剣によって、
打ち砕かれた。そのため、アルフレートとその周囲は水浸しになった。

「全てを貫き、迸れ無数の矢！閃電五月雨討ち」
キャロリーヌが苦痛に顔を歪めていた。
しかし、誠一の方を一瞬見ると歯を食いしばって、矢を放った。
称号の制約が発現しているのかもしれなかった。

これは剣豪との戦いの焼き直しだった。
しかも構成する技はアップグレードしていた。
帯電した無数の矢がアルフレート目がけて、飛来した。

「貴様ら、一体、何のつもりだ！エアスライサー。エアチャージ」
風の魔術がキャロリーヌの帯電した矢を叩き落した。
しかし矢は広範囲に放たれており、そのうちの何本かが
地面に溜まった水に突き刺さった。

「ぐわわっー」
白目を剥いて、アルフレートは地に臥した。