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308.奥殿4
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剣豪が何かを押す前に誠一が制した。
「先生、ちょっと待ってくださいね」
誠一が良く観察すると、長方形の箱の右隅に
電源ボタンらしきものがあった。
どうにでもなれとやけっぱちな気分でそれを押した。
ブーンという音が鳴ると、ガラス面に白い文字が走り始めた。
PCの太古の時代のコンピュータ言語であることは分かったが、
誠一にはその言語を理解する術はなかった。
「これは何でござる?」
憎らしい程に冷静な剣豪であった。
「わからないです」
キュルルルと長方形の箱から鳴っていた。
画面が暗転し、しょぼい騎士風のドット絵と共に
文字がゆっくりと浮かび上がって来た。
『ヴェルトール王国戦記』
続けますか→はい。いいえ。
選択肢が表示されていた。
流石に誠一はどちらを押すべきか悩み、剣豪にも状況を説明した。
「『はい』ですな。『いいえ』を押せば、ここで終わりそうでござる」
誠一も同意して、enterと書かれた大きめのボタンを押して、
『はい』を選択した。
雑音の混じったしょぼい音楽が鳴り始めて、
しょぼいドッド絵と共に『ヴェルトール王国』の歴史が画面に流れ始めた。
「ほう、これはヴェルトール王国の歴史ですな。
アルフレート様、白い文字らしきものを読むことは可能ですか?」
誠一がプロローグのようなものが流れる画面を見ながら、
文字を読んだ。
くだらないゲームにありがちな神話にノイズの混じった音楽、
8色の大きなドッドを動かした動画とも言えなくない画像。
「ふむ、確かに小さい頃に聞いたヴェルトール王国の歴史に違いないですな。
しかし、これは一体どういう原理で?アルフレート様は分かりますか?」
誠一は首を横に振った。
レトロと言うにはあまりにも古すぎて、
誠一も見たのはどこかのマニアックなサイトであった。
静止画面には『ヴェルトール王国戦記』と書かれており、
すぐ下に『New game』、『Continue』と書かれていた。
誠一はどちらを押すべきか再び、迷った。
単にこの骨董品のPCらしきものでゲームが
起動するだけならいいが、とんでもないことが起きそうで
恐ろしかった。
そもそもこのような物がここに存在していることが
おかしなことだった。
『New game』はまさかだが、自分がこの世界に落ちた時から
スタートなのか、それとも新たに別の人物で再スタートなのか、
何が起きても不思議でないと考えた。
『Continue』は、誰かの人生を引き継ぐのか、
それとものアルフレートの人生が続くことなのかと考えた。
「考え過ぎか。単にゲームが始まるだけの事だよな」
誠一は腕を組んで考え込んでいた。
「先生、ちょっと待ってくださいね」
誠一が良く観察すると、長方形の箱の右隅に
電源ボタンらしきものがあった。
どうにでもなれとやけっぱちな気分でそれを押した。
ブーンという音が鳴ると、ガラス面に白い文字が走り始めた。
PCの太古の時代のコンピュータ言語であることは分かったが、
誠一にはその言語を理解する術はなかった。
「これは何でござる?」
憎らしい程に冷静な剣豪であった。
「わからないです」
キュルルルと長方形の箱から鳴っていた。
画面が暗転し、しょぼい騎士風のドット絵と共に
文字がゆっくりと浮かび上がって来た。
『ヴェルトール王国戦記』
続けますか→はい。いいえ。
選択肢が表示されていた。
流石に誠一はどちらを押すべきか悩み、剣豪にも状況を説明した。
「『はい』ですな。『いいえ』を押せば、ここで終わりそうでござる」
誠一も同意して、enterと書かれた大きめのボタンを押して、
『はい』を選択した。
雑音の混じったしょぼい音楽が鳴り始めて、
しょぼいドッド絵と共に『ヴェルトール王国』の歴史が画面に流れ始めた。
「ほう、これはヴェルトール王国の歴史ですな。
アルフレート様、白い文字らしきものを読むことは可能ですか?」
誠一がプロローグのようなものが流れる画面を見ながら、
文字を読んだ。
くだらないゲームにありがちな神話にノイズの混じった音楽、
8色の大きなドッドを動かした動画とも言えなくない画像。
「ふむ、確かに小さい頃に聞いたヴェルトール王国の歴史に違いないですな。
しかし、これは一体どういう原理で?アルフレート様は分かりますか?」
誠一は首を横に振った。
レトロと言うにはあまりにも古すぎて、
誠一も見たのはどこかのマニアックなサイトであった。
静止画面には『ヴェルトール王国戦記』と書かれており、
すぐ下に『New game』、『Continue』と書かれていた。
誠一はどちらを押すべきか再び、迷った。
単にこの骨董品のPCらしきものでゲームが
起動するだけならいいが、とんでもないことが起きそうで
恐ろしかった。
そもそもこのような物がここに存在していることが
おかしなことだった。
『New game』はまさかだが、自分がこの世界に落ちた時から
スタートなのか、それとも新たに別の人物で再スタートなのか、
何が起きても不思議でないと考えた。
『Continue』は、誰かの人生を引き継ぐのか、
それとものアルフレートの人生が続くことなのかと考えた。
「考え過ぎか。単にゲームが始まるだけの事だよな」
誠一は腕を組んで考え込んでいた。
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