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301.閑話 とある大学での情景2

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 教務課にはどうやら人がいそうであった。
明りが室内の一部に灯っているのが通路から見えた。
二人がスライド式のドアの前に立つと、扉は自動で開いた。
入室して受付カウンターの前に行くと、部屋の奥の方から声がかかった。
「すみませんが、今日は閉館です。
平日の9:00~16:30分の間に来てください。
今日は何の受付もしていません」

「ごめんさない、明りがついていたので。
お手間は取らせませんので少しお時間を頂けないでしょうか?」
千晴がにこやかな表情を向けながら頭を下げた。
絶世の美女ではないがそれなりに整った男心をくすぐる容姿が
職員の気を惹いたのだろう。清涼の舌打ちが聞えたような気がした。
「まあ、少しくらいならいいでしょう」
中年の男性職員はカウンターに向かってきた。
職員を上目遣いに見る千晴。
多少あざといしぐさかと思ったが、思いのほか相好を崩す職員だった。
「それで、一体、どのようなご用件で?」
不機嫌そうな状態を表現しているつもりなのだろうが、
職員の表情は言葉と裏腹にデレデレしまくりだった。

出来る限り甘たっるい声で千晴が職員にまず、お礼をいった。
「本当にぃーありがとうござますぅー」

後ろでくすくすと笑いを堪える男が一名、協力してくれた以上、
その位の事は許そうと思った。

「いやーそれよりどうしました?」
再度、職員より依頼を促されて、千晴はお願いを話し始めた。

「先日、彼がお酒を呑んでいまして、どうやら偶然にも
居酒屋に居合わせた後輩の学生と意気投合したんです。
まー教授や講師の方の悪口で盛り上がるわ盛り上がること。
私には理解できませんけどね」

話始めると職員はどうも距離を置いた表情になっていた。
どうも胡散臭い話に巻き込まれそうだという感じであった。

「まー盛り上がったのいいのです。でも割り勘って話だったのに
このお金が入用になるときに全額払ったなんて後から言うんです」

 職員の表情から、千晴には、完全に警戒していることが見て取れた。
そんなことはおかまいなしに話を続けた。

「本当の本学の学生なら、私も良しと思ったんですが、
騙されていたなんて間抜けな話なら、
式の話もなかったことにしようと思いましてね。
今日、ここを訪れたんですよ」


職員は千晴より後方の清涼の顔を覗き込んでいた。
清涼の表情は暗く優れない顔色だった。

「彼がここの在籍生だったことを証明できるものは何かありますか?」
清涼は当時の学籍番号と身分証明書を職員に伝えた。
そして身分証明書として、免許書を提示した。
職員は確認が取れたことを伝えた。
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