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281.叱責1010

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「やれやれ、アルフレートは分け隔てなく厳しいな。
昔はあんなじゃなかったのだけどね。
もう少し優しくしてもいいと思うけどな。
詳しくは話せないけど、アルフレートに会うのは
これで最後になるかもしれない。
僕らの知らぬところで非業の死を迎える可能性が高い」

「ないわ、絶対ないわ。彼は必ずリシェーヌを再び学院に連れ戻すから」
シエンナは涙をぬぐって、はっきりと答えた。

「シエンナ、君はどうするの?
僕はここに残らざるを得ないけどね」
振り向かないシエンナの態度をさして気にせずに
ラムデールは話を続けた。

「行くわ。彼に死なれると困るから。
リシェーヌに起きた本当のことは彼しか知らないから」
振り向かずにそう言って、シエンナは歩き出した。

「ほんと、君たちが羨ましいよ」
ラムデールはぽつりと呟いた。

その瞬間、突然、シエンナが振り向いた。
「ラムデール、ありがとう。随分とアルに似てきたね。またね」
シエンナはそれだけ言うと、走り出した。

盛大にため息をついたラムデールだった。
「はああっ、何で兄貴ばかりあんな魅力的な女性たちに
好意を寄せられるんだよ」
空を見上げるラムデールの表情は何故か晴れやかであった。


「アルー、ヴェルー、待ちなさいって!私も行くから」
誠一の頬が少し緩んだ。
目ざとくそれを見つけた隣のヴェルが誠一を肘で小突いた。
ヴェルも嬉しそうだった。
「シエンナ、遅いぞ!これから困難な任務に就くんだからな。
遅刻されては困るぞ」

「なっ!ヴェル癖に」
シエンナの言葉と同時にヴェルがロジェに叩かれていた。

「馬鹿者!黙っていろ。
北関どこに間者が潜んでいるか分からないんだぞ」

「シエンナ、来てくれたことは嬉しいけど。
任務の詳細を話すからその後、最終判断をして欲しい」
誠一の言葉を聞いたが、シエンナの気持ちは既に固まっていた。
「必要ないわ。道中で詳しく聞かせて。
どこに間者が潜んでいるか分からないんでしょ」

「わかった。それと今夜には出立するから。
準備が出来たら、ロジェさんの部屋で待機しておいて」
厳めしい表情をしようとしたが、失敗に終わった誠一の表情は
緩みっぱなしだった。
「やだ。アルの部屋にするわ。
ロジェさんの部屋は3人、だとしたらバランスよくアルの部屋も
3人にすべきだし、もしくはロジェさんが移動するのは時間の無駄。
私がアルの部屋に向かうのが良いわ」

誠一はどうしたものかとロジェの方を見ると、
頷く素振りが見えたために了解した。

北関に到着すると各自、準備のために部屋に戻った。
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