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272.叱責1
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北関の勝利の宴の翌日、城の兵たちは、
総出に近い状態で魔物の魔石を回収していた。
それは、兵士や冒険者にとって、魔物の死体を
焼き払いながらの良い小遣い稼ぎになっていた。
そんな中、誠一とヴェルは、レドリアン導師の執務室に
呼び出されていた。
二人の前で両眼に真っ黒な隈をこさえたレドリアン導師が
身体を震わせながら、椅子に座っていた。
「また、貴様らか。こう何度も何故、問題を起こす?
一体、何様のつもりだ。というか俺に何か恨みでもあるのか!
昨日の戦でのスタンドプレーに始まり、夜の決闘騒ぎ、
その上、最大規模の一つのクラン『戦神に集いし英雄』の
メンバーの追放と敵対行為。ああん、弁明を聞こうか?」
幾つかの件に関しては身に覚えがあったが、
話が曲解されて伝わっている件もあったために
誠一は弁明を試みることにした。
一通り話を聞いたレドリアン導師は、肩を怒らせて怒声を発した。
「上官に口ごたえするなっ!
きっキサマらは、屁理屈ばかり並べ寄って。良いかよく聞け。
経緯はどうであろうとも『戦神に集いし英雄』は
反乱軍ダンブルと王国軍に傭兵を供給している。
それがだ、今回の件で全てダンブル側に流れてしまったら、
どれだけの損害を被るか理解できていない。
既に北関に派遣されていたA級の冒険者どもは
昨夜のうちに撤収しているのだぞ。
昨夜、おまえらの取るべきだった行動は、
頭を垂れて奴らから許しを請う事だ。
場合によっては、キャロリーヌを一夜、差し出して
伽をさせれば丸く収まったことを馬鹿どもが。
ふん、所詮、脳筋のファウスティノの教えでは
そこまで思い至らぬか」
言い終えると、はあはあと乱れた呼吸を整えようと
深呼吸をするレドリアン導師だった。
そんなレドリアン導師の様子を見て、
誠一は、ファウスティノの魔術師も体力が必要と
主張する理由が改めて理解できた。
この程度の口撃で息を乱すようではどうにもならない。
ヴェルも同様に感じたのか、誠一と同じような表情だった。
言い足りないのかレドリアン導師は、呼吸を整えると
再び捲し立て始めた。
「そもそも学院長のファウスティノ、奴の教えが悪い。
奴の教えを受けたものは、貴様らのようなはねっかえり者ばかりだ。
宮廷の魔術師団でのさばりおって、甚だ不愉快だ。
歴史ある王国の王立魔術院が今、他国で何と呼ばれているか
知っているか、お前らは!」
誠一もヴェルもそんなことは知らないために顔を見合わせた。
「脳筋魔術院だぞ。
栄えある我が魔術院がこともあろうに脳筋!
代々、培ってきた我らが伝統、品位、そして魔術の粋が一括りで脳筋。
貴様らにこの屈辱が分かるか?
ああん、分からんだろうがこの屈辱が!」
また、息を乱し始めるレドリアン導師であった。
体力と言うより精神的に昂ったしまったことも
息を乱す原因になっているようだった。
総出に近い状態で魔物の魔石を回収していた。
それは、兵士や冒険者にとって、魔物の死体を
焼き払いながらの良い小遣い稼ぎになっていた。
そんな中、誠一とヴェルは、レドリアン導師の執務室に
呼び出されていた。
二人の前で両眼に真っ黒な隈をこさえたレドリアン導師が
身体を震わせながら、椅子に座っていた。
「また、貴様らか。こう何度も何故、問題を起こす?
一体、何様のつもりだ。というか俺に何か恨みでもあるのか!
昨日の戦でのスタンドプレーに始まり、夜の決闘騒ぎ、
その上、最大規模の一つのクラン『戦神に集いし英雄』の
メンバーの追放と敵対行為。ああん、弁明を聞こうか?」
幾つかの件に関しては身に覚えがあったが、
話が曲解されて伝わっている件もあったために
誠一は弁明を試みることにした。
一通り話を聞いたレドリアン導師は、肩を怒らせて怒声を発した。
「上官に口ごたえするなっ!
きっキサマらは、屁理屈ばかり並べ寄って。良いかよく聞け。
経緯はどうであろうとも『戦神に集いし英雄』は
反乱軍ダンブルと王国軍に傭兵を供給している。
それがだ、今回の件で全てダンブル側に流れてしまったら、
どれだけの損害を被るか理解できていない。
既に北関に派遣されていたA級の冒険者どもは
昨夜のうちに撤収しているのだぞ。
昨夜、おまえらの取るべきだった行動は、
頭を垂れて奴らから許しを請う事だ。
場合によっては、キャロリーヌを一夜、差し出して
伽をさせれば丸く収まったことを馬鹿どもが。
ふん、所詮、脳筋のファウスティノの教えでは
そこまで思い至らぬか」
言い終えると、はあはあと乱れた呼吸を整えようと
深呼吸をするレドリアン導師だった。
そんなレドリアン導師の様子を見て、
誠一は、ファウスティノの魔術師も体力が必要と
主張する理由が改めて理解できた。
この程度の口撃で息を乱すようではどうにもならない。
ヴェルも同様に感じたのか、誠一と同じような表情だった。
言い足りないのかレドリアン導師は、呼吸を整えると
再び捲し立て始めた。
「そもそも学院長のファウスティノ、奴の教えが悪い。
奴の教えを受けたものは、貴様らのようなはねっかえり者ばかりだ。
宮廷の魔術師団でのさばりおって、甚だ不愉快だ。
歴史ある王国の王立魔術院が今、他国で何と呼ばれているか
知っているか、お前らは!」
誠一もヴェルもそんなことは知らないために顔を見合わせた。
「脳筋魔術院だぞ。
栄えある我が魔術院がこともあろうに脳筋!
代々、培ってきた我らが伝統、品位、そして魔術の粋が一括りで脳筋。
貴様らにこの屈辱が分かるか?
ああん、分からんだろうがこの屈辱が!」
また、息を乱し始めるレドリアン導師であった。
体力と言うより精神的に昂ったしまったことも
息を乱す原因になっているようだった。
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