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271.閑話 とある学食での情景4
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『先ほどはありがとうございました。
一先ず落ち着きましたので、まだ、ヴェルトール王国戦記に
アクセスしているようでしたら、お答えください』
誠一の声に対して、千晴が書き込んだ。
『誠一さん、怪我はなさそうですか?』
『ええ、頂きましたこの漆黒のマント(6)も
強い防御力を持っていますから、
問題はありませんでした』
『戦いの後で疲れていると思うから、
手短に話してくださいね』
『私立翔陵国際大学3年生の歴史学科日本史専攻。
ここまではいいですね。サークルは特に所属していません。
学籍番号は、H-39-2446です。友人ですか、3名ほど言いますが、
すみません、電話番号やメールはスマホに記録しているだけで
覚えていません。高澤 健・木村 正・千賀 良一あたりですかね。
学科は同じです』
清涼が千晴の画面を覗き込んで、千晴に恋人について
聞くように促した。
「もし彼女がいたら、突然の行方不明に探しているかもしれない。
ちょっと、聞いてみて」
『恋人や親しい女性は?学科にはそれなりに女性がいたでしょう。
アルバイト先でもいいです』
『いません。学科でもアルバイト先でも特別に親しい女性はいませんでした。
会ったら挨拶を交わす程度です』
清涼が千晴の画面にタッチして、コメント書き込んだ。
『つまり女性と付き合ってないと。
もしかして付き合ったことないのかな?』
『ないです。今まで親しくお付き合いした女性はいません』
むっとした表情の誠一だった。
千晴は少ししつこ過ぎたと思ったために
反省し、勝手に書き込んだ清涼を少し注意した。
「清涼さん、ちょっと、流石に勝手に操作するのはやめてください」
千晴の言葉に全く反省の色を見せずに誠一と千晴の会話に
感心しきりの清涼だった。
「いや、ほんと、凄いね。驚いたよ。
ここまで会話が成立するのもだけど、
本当に言っていることが事実なら、こりゃあ、本当に凄いことだよな」
『ありがとうございます。尋問みたいになって、ごめんなさい。
結構、あなたのことが気になってしまったので。
では、身体をやすめて明日に備えてくださいね』
その後、二人は、少し他愛もない会話が続いた。
ゲーム上での時刻は夜であり、誠一の体調を慮った千晴は、
ヴェルトール王国戦記のプレイ画面から抜け出した。
隣で清涼が相変わらずの勢いでパッドに書き込んでした。
「ゲーム、始めたの?」
「いや、莉々子とチャットしている。現在の状況を話しているところ」
「はっ?」
コイツは余計な誤解を招く様なことを書いてないだろうなと
心配したが、他人のパッドの画面を覗く訳にもいかず、
確認する術もなくどうしようもなかった。
願わくば莉々子が変な誤解をしていないように祈るばかりであった。
一先ず落ち着きましたので、まだ、ヴェルトール王国戦記に
アクセスしているようでしたら、お答えください』
誠一の声に対して、千晴が書き込んだ。
『誠一さん、怪我はなさそうですか?』
『ええ、頂きましたこの漆黒のマント(6)も
強い防御力を持っていますから、
問題はありませんでした』
『戦いの後で疲れていると思うから、
手短に話してくださいね』
『私立翔陵国際大学3年生の歴史学科日本史専攻。
ここまではいいですね。サークルは特に所属していません。
学籍番号は、H-39-2446です。友人ですか、3名ほど言いますが、
すみません、電話番号やメールはスマホに記録しているだけで
覚えていません。高澤 健・木村 正・千賀 良一あたりですかね。
学科は同じです』
清涼が千晴の画面を覗き込んで、千晴に恋人について
聞くように促した。
「もし彼女がいたら、突然の行方不明に探しているかもしれない。
ちょっと、聞いてみて」
『恋人や親しい女性は?学科にはそれなりに女性がいたでしょう。
アルバイト先でもいいです』
『いません。学科でもアルバイト先でも特別に親しい女性はいませんでした。
会ったら挨拶を交わす程度です』
清涼が千晴の画面にタッチして、コメント書き込んだ。
『つまり女性と付き合ってないと。
もしかして付き合ったことないのかな?』
『ないです。今まで親しくお付き合いした女性はいません』
むっとした表情の誠一だった。
千晴は少ししつこ過ぎたと思ったために
反省し、勝手に書き込んだ清涼を少し注意した。
「清涼さん、ちょっと、流石に勝手に操作するのはやめてください」
千晴の言葉に全く反省の色を見せずに誠一と千晴の会話に
感心しきりの清涼だった。
「いや、ほんと、凄いね。驚いたよ。
ここまで会話が成立するのもだけど、
本当に言っていることが事実なら、こりゃあ、本当に凄いことだよな」
『ありがとうございます。尋問みたいになって、ごめんなさい。
結構、あなたのことが気になってしまったので。
では、身体をやすめて明日に備えてくださいね』
その後、二人は、少し他愛もない会話が続いた。
ゲーム上での時刻は夜であり、誠一の体調を慮った千晴は、
ヴェルトール王国戦記のプレイ画面から抜け出した。
隣で清涼が相変わらずの勢いでパッドに書き込んでした。
「ゲーム、始めたの?」
「いや、莉々子とチャットしている。現在の状況を話しているところ」
「はっ?」
コイツは余計な誤解を招く様なことを書いてないだろうなと
心配したが、他人のパッドの画面を覗く訳にもいかず、
確認する術もなくどうしようもなかった。
願わくば莉々子が変な誤解をしていないように祈るばかりであった。
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