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267.宴13
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「キャロリーヌさん、サリナの様子はどうですか?」
誠一の言葉にむすっとした感じで何も言わないキャロリーヌだった。
「あっあのキャロリーヌさん」
「キャロリーヌ、キャロリーヌでしょ。
『さん』はいらないわ」
「あっいえ、でも」
しどろもどろの誠一にキャロリーヌが追い打ちをかけた。
「すぐにとは言わなけど、早く慣れてね、あ・な・た!」
そう言って、人差し指で誠一は鼻先を突っつかれた。
キャロリーヌはごもごもと真の戦いは
これからねとかリシェーヌの帰還から本当の勝負ね
と良く分からないことを呟き始めていた。
「それより、キャ、キャロリーヌ。サリナの容態はどう?」
誠一が言ったことをすぐに実行したことに
気を良くしたキャロリーヌは、サッと答えた。
「右腕、胸の辺りと右脚首を酷く怪我しているわ。
このまま、寝かせておいた方がいいわよ。
明日にも僧侶か薬師に見て貰った方がいいわね」
ロジェが話に割って入って来た。
普段ならキャロリーヌの戯言に一言、物申してから
本題を話すロジェが意外にも何も言わなかった。
「アルフレート君、この娘をどうするんだい。
今日は私とキャロリーヌで面倒を見よう。
酷な事を言うようだが、先ほどの件もある。
神の言葉を受けて、いつ何時、暗殺者に豹変するか分からない。
君という家族が暗殺者の手にかかるとリスクを負うのは
どうかと思うがね」
んんん?ロジェがおかしなことを言ったような気がするが、
そこを突っこむと話が進まなくなると思い、本題の話を続けた。
「彼女の目が覚めたら、話します。
出来る限り彼女の希望に即したいと思います」
助けて、はいさようならと言うのも
どうにも釈然とせず、かといって
ロジェの言わんとすることも理解できた。
誠一は彼女の思いに委ねることにした。
「姉貴にリシェーヌ、シエンナに加えて、サリナかよ。
アル、おまえ、結構、たらしだな。
女にだらしない漢はダサいぞ」
本筋から外れて、どうにも的外れな意見を
言うヴェルであったが、ロジェとキャロリーヌの叱責はなく、
頷く二人の姿が誠一の眼に映った。
「よしっヴェル、サリナをキャロリーヌの
隣のベッドに連れて行くぞ」
「おっおう、アル。姉貴を頼む」
ロジェとヴェルがサリナに負担のかからないように担ぎ、
大広間を後にした。
突然、残された二人は、無言になってしまった。
二人は無言のままに大広間を後にした。
普段、滑舌の良いキャロリーヌが珍しく言葉を
詰まらせながら話した。
「ええと、そのねえ。突然の事だし。
称号って能力値の補正のためだからね」
いやいや、僕が裏切るとキャロリーヌさん、
あなた、死にますし、僕は呪われます。
上目づかいで誠一の瞳を不安そうに
覗き込むキャロリーヌだった。
ロジェやヴェルの前では強がっていたのだろう。
「うん、アルは歳上が好みじゃないのか。
それにそう、可愛い同級生に囲まれてるしね」
先程とは違った意味で心臓の鼓動が早くなっていた。
チクリチクリと痛む左胸は、傷の痛みばかりでは無かった。
キャロリーヌに惹かれる自分がいた。
しかし、その思いはどうしてもリシェーヌを超えることが
出来なかった。
誠一には、彼女の真摯な瞳を前に嘘をつく自信はなかった。
「そんなことはないよ。キャロリーヌは
僕にとって十分に魅力的だよ。でも、むう」
キャロリーヌは誠一が最後まで言い切る前に
身体を委ねて、唇を奪った。
絡み合うお互いの舌、混ざり合うお互いの唾液が
誠一の脳を身体を雄の本能を刺激して、
考える事を放棄させた。
しばらく激しくお互いの唇を貪り合って、
お互いの唇は唾液の糸を引きながら離れた。
見つめ合う二人は再び、お互いの唇を貪り合おうと
近づけた時に誠一は強くキャロリーヌを抱きしめた。
彼女の豊かな胸が服越しにも感じられた。
彼女の身体をより感じたく、右脚を彼女の左内腿に
絡ませて、更に強く抱きしめた。
「痛いよ」
「くっ、痛い」
お互いの言葉が重なりあった。二人の目が合うとお互いに笑い合った。
誠一はその笑いのせいで更に痛みが増してしまい、また、呻いてしまった。
「もう、アルは、本当に!まったく間が悪いわね。
今日はここまで。しっかりと休みましょう」
「うっうん、部屋までは送らせてよ」
「はいはい、私のナイト様の仰せの通りにね」
どうにもキャロリーヌには敵わないなと思いながら、
部屋まで送る誠一だった。
北関郊外、アルデット教司祭グレームを除く
5人の男たちが武器を持ち、睨みあっていた。
「まあ、当たり前だがこなるわな。
この中で神の言葉に逆らえる奴がいるなら、
さっさとこの場から去れ。
長年、つるんできた誼だ、見逃してやる」
ガイダロフの言葉に誰も動く者はいなかった。
神の言葉に逆らいし反逆者への罰に耐えられると
思う者はここにはいなかった。
神の言葉に逆らって、苦しみに苛み廃人になる話は
枚挙にいとまがなかった。
こうして、5人が1人になるまでの凄惨な殺し合いが始まった。
誠一の言葉にむすっとした感じで何も言わないキャロリーヌだった。
「あっあのキャロリーヌさん」
「キャロリーヌ、キャロリーヌでしょ。
『さん』はいらないわ」
「あっいえ、でも」
しどろもどろの誠一にキャロリーヌが追い打ちをかけた。
「すぐにとは言わなけど、早く慣れてね、あ・な・た!」
そう言って、人差し指で誠一は鼻先を突っつかれた。
キャロリーヌはごもごもと真の戦いは
これからねとかリシェーヌの帰還から本当の勝負ね
と良く分からないことを呟き始めていた。
「それより、キャ、キャロリーヌ。サリナの容態はどう?」
誠一が言ったことをすぐに実行したことに
気を良くしたキャロリーヌは、サッと答えた。
「右腕、胸の辺りと右脚首を酷く怪我しているわ。
このまま、寝かせておいた方がいいわよ。
明日にも僧侶か薬師に見て貰った方がいいわね」
ロジェが話に割って入って来た。
普段ならキャロリーヌの戯言に一言、物申してから
本題を話すロジェが意外にも何も言わなかった。
「アルフレート君、この娘をどうするんだい。
今日は私とキャロリーヌで面倒を見よう。
酷な事を言うようだが、先ほどの件もある。
神の言葉を受けて、いつ何時、暗殺者に豹変するか分からない。
君という家族が暗殺者の手にかかるとリスクを負うのは
どうかと思うがね」
んんん?ロジェがおかしなことを言ったような気がするが、
そこを突っこむと話が進まなくなると思い、本題の話を続けた。
「彼女の目が覚めたら、話します。
出来る限り彼女の希望に即したいと思います」
助けて、はいさようならと言うのも
どうにも釈然とせず、かといって
ロジェの言わんとすることも理解できた。
誠一は彼女の思いに委ねることにした。
「姉貴にリシェーヌ、シエンナに加えて、サリナかよ。
アル、おまえ、結構、たらしだな。
女にだらしない漢はダサいぞ」
本筋から外れて、どうにも的外れな意見を
言うヴェルであったが、ロジェとキャロリーヌの叱責はなく、
頷く二人の姿が誠一の眼に映った。
「よしっヴェル、サリナをキャロリーヌの
隣のベッドに連れて行くぞ」
「おっおう、アル。姉貴を頼む」
ロジェとヴェルがサリナに負担のかからないように担ぎ、
大広間を後にした。
突然、残された二人は、無言になってしまった。
二人は無言のままに大広間を後にした。
普段、滑舌の良いキャロリーヌが珍しく言葉を
詰まらせながら話した。
「ええと、そのねえ。突然の事だし。
称号って能力値の補正のためだからね」
いやいや、僕が裏切るとキャロリーヌさん、
あなた、死にますし、僕は呪われます。
上目づかいで誠一の瞳を不安そうに
覗き込むキャロリーヌだった。
ロジェやヴェルの前では強がっていたのだろう。
「うん、アルは歳上が好みじゃないのか。
それにそう、可愛い同級生に囲まれてるしね」
先程とは違った意味で心臓の鼓動が早くなっていた。
チクリチクリと痛む左胸は、傷の痛みばかりでは無かった。
キャロリーヌに惹かれる自分がいた。
しかし、その思いはどうしてもリシェーヌを超えることが
出来なかった。
誠一には、彼女の真摯な瞳を前に嘘をつく自信はなかった。
「そんなことはないよ。キャロリーヌは
僕にとって十分に魅力的だよ。でも、むう」
キャロリーヌは誠一が最後まで言い切る前に
身体を委ねて、唇を奪った。
絡み合うお互いの舌、混ざり合うお互いの唾液が
誠一の脳を身体を雄の本能を刺激して、
考える事を放棄させた。
しばらく激しくお互いの唇を貪り合って、
お互いの唇は唾液の糸を引きながら離れた。
見つめ合う二人は再び、お互いの唇を貪り合おうと
近づけた時に誠一は強くキャロリーヌを抱きしめた。
彼女の豊かな胸が服越しにも感じられた。
彼女の身体をより感じたく、右脚を彼女の左内腿に
絡ませて、更に強く抱きしめた。
「痛いよ」
「くっ、痛い」
お互いの言葉が重なりあった。二人の目が合うとお互いに笑い合った。
誠一はその笑いのせいで更に痛みが増してしまい、また、呻いてしまった。
「もう、アルは、本当に!まったく間が悪いわね。
今日はここまで。しっかりと休みましょう」
「うっうん、部屋までは送らせてよ」
「はいはい、私のナイト様の仰せの通りにね」
どうにもキャロリーヌには敵わないなと思いながら、
部屋まで送る誠一だった。
北関郊外、アルデット教司祭グレームを除く
5人の男たちが武器を持ち、睨みあっていた。
「まあ、当たり前だがこなるわな。
この中で神の言葉に逆らえる奴がいるなら、
さっさとこの場から去れ。
長年、つるんできた誼だ、見逃してやる」
ガイダロフの言葉に誰も動く者はいなかった。
神の言葉に逆らいし反逆者への罰に耐えられると
思う者はここにはいなかった。
神の言葉に逆らって、苦しみに苛み廃人になる話は
枚挙にいとまがなかった。
こうして、5人が1人になるまでの凄惨な殺し合いが始まった。
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