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251.出陣11

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「ちっくしょう!
アル、あれだ!あれなら、意識が戻るかもしれない。
しっかりとその娘を抑えておけ」
ヴェルは、強烈気付け薬、強力精力剤Xを取り出した。
何故、その二つをヴェルが持っていると
誠一は心の中でつっこんだが、ひどく暴れる娘を
取り押さえるのに手一杯であった。
ヴェルは、剣士の無理やり口を開けると、
その二つを同時に飲ませた。

 ゴブリンを相手に戦っている冒険者たちから
嘲笑が聞えてきた。
「ボス、やつらも強烈気付け薬、強力精力剤Xを
使ってやがる。余程、餓えてんだな」

「ひゃひゃひゃぁ。俺らも使っただろうが、ベッドで何度もよ!」

「あいつ等、ガキの癖にアレを分かってやがる!
あの女、無料で譲ってやるか」

「あんなのただでもいらねーだろうよ」

話ながらも徐々にゴブリンを追い詰めるパーティだった。

誠一たちは、意識の回復した剣士の娘を
庇いながらゴブリンやオークと戦っていた。
下劣な言葉に言い返したかったが、誠一たちに
そんな余裕はなかった。

冒険者たちは、上手い連携でゴブリンを
追い詰めいていった。
少しずつだが、四肢を削り、ゴブリンの
最大のアドバンテージである速さを奪っていた。
無論、冒険者たちも無傷とはいかないが、
致命傷になるような傷は受けていないようだった。

「よっしゃーこいつの首、とったー」
叫び声と共にシーフの短剣がゴブリンの首を
捉えようとした。しかし、シーフの短剣は空を斬った。
 
ゴブリンの胴体の上にあるべき頭部が無かった。
頸から上は投擲された槍によって、飛ばされていた。

「ふん、業物の槍を使うまでもない。
そこら辺に転がっている槍で十分だ」
アーロンが馬上から槍兵が使う一般的な槍を投擲した。
その槍がゴブリンの頭を吹き飛ばしたようだった。

「おいおい、洒落にならねえことすんなよ。
おい、こら。貴族様といえども他人の獲物を
横取りするはどうかと思うぞ。
何か言いたいことがあるなら聞く」
冒険者たちのリーダーがアーロンに対して凄んだ。

アーロンは、冒険者たちを一瞥すると、
二匹の魔人を注視していた。

「そこの君、面白い技を使うね。
いやいや、業と言うべきかな。
でも少し殺される騎士が足りなかったじゃん無いかな。
そう睨みつけても状況は変わらないって。
分かっているでしょ」
岩の上に座っている魔人がキャッキャッと笑っていた。

「戻る。我々のすべきことは済んだ。後は王に判断を委ねる」
もう一匹の魔人の言葉に渋々とだが、従ったようだった。
二匹の魔人がそれぞれ地面に魔石を叩きつけると
魔術陣が地に浮かび上がって来た。
そして、陣の上に身を置くと、魔人たちは消え去った。
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