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243.出陣3
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「脆い脆い、脆すぎる」
魔人は高笑いすると、次の得物を
どれにしようかと周囲を見定め始めた。
本陣では、慌ただしく軍議が行われていた。
「導師、遊軍をクリスチャン卿の援護に向かわせたが、
右翼のフレデリック卿の方はどうするのだ?」
ドレルアンに問われるとレドリアン導師は、
眉間に皺を寄せて、地図をじっと睨みつけながら、
絞り出す様にドレルアンの質問に答えた。
「ファブリッツィオ麾下の予備兵を向かわせます。
フレデリック卿の兵は精強ですので彼等で十分です」
中央を占める兵団から、再編成して向かわせるにも
時間が惜しく、中央の厚みをもって敵軍を
圧し潰す当初の戦術をレドリアン導師は保ちたかった。
第一陣の討ち漏らしを魔術師の援護を受けながら
第二陣が駆逐している現在、このまま押し切れると
予想していた。
「よかろう。伝令を出せ。
ファブリッツィオを右翼の援護に回せ」
ドレルアンの言葉に伝令は直ちにファブリッツィオの
陣へ向かった。
伝令を受けたファブリッツィオは、大きな身体を殊更、
誇示しながら馬上から剣を空に掲げて、進軍する旨を伝えた。
遠目にファブリッツィオを見ていたヴェルが歓声を上げた。
「やっと出番だ!
それにしてもファブリッツィオの奴は、ああいうのが様になるな。
流石は侯爵の息子だ」
「そういったところは流石だね。
代々にも渡って培ってきたカリスマ的なものだろうね」
誠一は素直に感心していた。
自分にはファブリッツィオと同じことは到底、
できないとわかっていた。
あのような場に立たされたら、緊張で声が震えてしまい、
まともに話す自信がなかった。
学生時代には、スポーツ、生徒会や
委員会の活動などを全くしていなかった。
そのために多くの人が集まる前で話す経験のなかった誠一は、
ファブリッツィオの堂々たる態度が若干、羨ましかった。
副将たるラムデールは、馬で学生たちの間を
鼓舞しながら走り回っていた。
「うーん、あれは慣れ!慣れだよ。アルもできるよ。
初陣でも咄嗟にみんなに指示出したでしょ」
シエンナもファブリッツィオの態度に感心はしているが、
誠一をどの男よりも出来る男として、みていたいようだった。
そのため、贔屓の引き倒しの言葉が連なっていた。
「ははっ、シエンナ、ありがとう」
乾いた笑いで返す誠一だった。
前線の倒し漏らしの魔物を倒しながら、
フレデリックの軍と合流したファブリッツィオの隊であった。
フレデリックの軍が刃を交えているのは、
低級のオーガにホブゴブリン、ゴブリンと言った魔物たちであった。
魔人は高笑いすると、次の得物を
どれにしようかと周囲を見定め始めた。
本陣では、慌ただしく軍議が行われていた。
「導師、遊軍をクリスチャン卿の援護に向かわせたが、
右翼のフレデリック卿の方はどうするのだ?」
ドレルアンに問われるとレドリアン導師は、
眉間に皺を寄せて、地図をじっと睨みつけながら、
絞り出す様にドレルアンの質問に答えた。
「ファブリッツィオ麾下の予備兵を向かわせます。
フレデリック卿の兵は精強ですので彼等で十分です」
中央を占める兵団から、再編成して向かわせるにも
時間が惜しく、中央の厚みをもって敵軍を
圧し潰す当初の戦術をレドリアン導師は保ちたかった。
第一陣の討ち漏らしを魔術師の援護を受けながら
第二陣が駆逐している現在、このまま押し切れると
予想していた。
「よかろう。伝令を出せ。
ファブリッツィオを右翼の援護に回せ」
ドレルアンの言葉に伝令は直ちにファブリッツィオの
陣へ向かった。
伝令を受けたファブリッツィオは、大きな身体を殊更、
誇示しながら馬上から剣を空に掲げて、進軍する旨を伝えた。
遠目にファブリッツィオを見ていたヴェルが歓声を上げた。
「やっと出番だ!
それにしてもファブリッツィオの奴は、ああいうのが様になるな。
流石は侯爵の息子だ」
「そういったところは流石だね。
代々にも渡って培ってきたカリスマ的なものだろうね」
誠一は素直に感心していた。
自分にはファブリッツィオと同じことは到底、
できないとわかっていた。
あのような場に立たされたら、緊張で声が震えてしまい、
まともに話す自信がなかった。
学生時代には、スポーツ、生徒会や
委員会の活動などを全くしていなかった。
そのために多くの人が集まる前で話す経験のなかった誠一は、
ファブリッツィオの堂々たる態度が若干、羨ましかった。
副将たるラムデールは、馬で学生たちの間を
鼓舞しながら走り回っていた。
「うーん、あれは慣れ!慣れだよ。アルもできるよ。
初陣でも咄嗟にみんなに指示出したでしょ」
シエンナもファブリッツィオの態度に感心はしているが、
誠一をどの男よりも出来る男として、みていたいようだった。
そのため、贔屓の引き倒しの言葉が連なっていた。
「ははっ、シエンナ、ありがとう」
乾いた笑いで返す誠一だった。
前線の倒し漏らしの魔物を倒しながら、
フレデリックの軍と合流したファブリッツィオの隊であった。
フレデリックの軍が刃を交えているのは、
低級のオーガにホブゴブリン、ゴブリンと言った魔物たちであった。
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