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236.初陣4

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誠一は北関の人けのない所で目を瞑り、
プレーヤーに語りかけた。
『先ほどはありがとうございました。
一先ず落ち着きましたので、まだ、ヴェルトール王国戦記に
アクセスしているようでしたら、お答えください』

誠一はモニター越しに複数のプレーヤーが
いることを見越してあからさまにこれが
ゲームであると知っていることを強調した。

『誠一さん、怪我はなさそうですか?』

『ええ、頂きましたこの漆黒のマント(6)も
強い防御力を持っていますから、
問題はありませんでした』
逸る気持ちを抑えて、相手のペースに合わせた。
アクセスを切られては、誠一になすすべはなかった。

『戦いの後で疲れていると思うから、
手短に話してくださいね』

『私立翔陵国際大学3年生の歴史学科日本史専攻。
ここまではいいですね。サークルは特に所属していません。
学籍番号は、H-39-2446です。
友人ですか、3名ほど言いますが、
すみません、電話番号やメールはスマホに
記録しているだけで覚えていません。
高澤 健・木村 正・千賀 良一あたりですかね。
学科は同じです』

『恋人や親しい女性は?
学科にはそれなりに女性がいたでしょう。
アルバイト先でもいいです』

『いません。学科でもアルバイト先でも
特別に親しい女性はいませんでした。
会ったら挨拶を交わす程度です』

『つまり女性と付き合ってないと。
もしかして付き合ったことないのかな?』
嫌な事を聞く奴らだなと思いつつも
この世界を抜け出して元の世界に戻るには
彼らの情報力は必要だと思い堪えた。

『ないです。
今まで親しくお付き合いした女性はいません』

『ありがとうございます。
尋問みたいになって、ごめんなさい。
結構、あなたのことが気になってしまったので。
では、身体をやすめて明日に備えてくださいね』

誠一は彼らが自分を探しに大学に
向かうだろうと思い、次回、プレーヤーが
一人でアクセスして来た時に状況を
それとなく聞くことにした。
実家に向かって貰えば、それが最良であったが、
流石にいきなり実家を訪ねて貰うように
言う訳にもいかず、徐々に興味をもって
動いて貰うよう誘導することに努めた。

その後、他愛もない会話を続け、
プレーヤーたちは、ゲームから去ったようだった。
元の世界で自分がどうなっているかは
彼らの行動に期待するとして、この世界で
生き延びなければ、元も子もない。
ここの戦場から上手く撤退できないものかと
誠一は算段を始めていた。

神出鬼没の漢、剣豪がひょいっと通路の角から現れた
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