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235.初陣3

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『助言ありがとうざいます。
先ほどの問いには必ずお答えします』
プレーヤーが自分という存在を探していることは
何となく予想できた。

パラパラと幾つかのアイテムが落ちて来た。
落ちて来たアイテムは、魔力を回復する魔石のみであった。
今までのように幾種類かのアイテムでなく、
この戦場で最も自分に必要とされるアイテムが
ピンポイントで下賜された。

協力者が傍にいるな。そう誠一は推測した。

恐らくオフ会か何かで出会ったアルフレートの
プレーヤーより遥かにゲーム慣れした同好の士なのだろう。
興味本位故なのか何なのか分からなかったが、
とにかくこの好機を逃すまいと思った。

戦場は一方的な王国軍の殺戮で進んでいた。
城壁に近づく前に弓兵や攻撃魔術により魔物たちは
倒れていった。
開戦から3時間ほどで魔物たちの姿はなくなり、
戦いは終わった。

戦場を始めて経験した者たちはこの異常な状況へ
理解が及ばずに釈然としない気分に覆われていた。

「これはちょっと戦とは言い難いな。
何の意味があってこんなことをしてるんだ。
訳わからん」
ヴェルの言葉に誠一が反応した。
「肉体的、精神的に追い込みをかけているんじゃないかな。
それよりあの魔物たちが死ぬのが分かっていて何故、
あんなふうに侵攻してくる方が不思議だけどね。
他にやりようがある気もするけど」

「さあ、知性がないからじゃね」
考えることを放棄したようなヴェルの
適当な言葉に誠一が真面目に答えた。

「逆に知性がないなら、
生存本能が逃げることを訴えないかな」

「アル、確証はないけど、この状況ってテルトリアでの
魔物討伐の様じゃない。
もしかして、上位魔人やそれ以上のクラスの魔人が
関連しているのかな」
シエンナの言葉に誠一はうなずいた。
魔物の数とその動き、その可能性はあると考えていた。
しかし、反乱を起こしたとは言え、人が相容れぬ魔物と
協力するだろうかその点が懐疑的であった。

「そうか、そうだな。ありえそうだな。
さっさと城門から撃って出て、敵軍を粉砕しないと分からないな。
それよりアル、さっきの啓示は何だった?
それに今回はお笑いアイテムは下賜されなかったな」
ダンディーな大人の香水や強力精力剤Xのことを
ヴェルは言っているのだろう。
その点に関しては、誠一も同じ意見だった。
「今回の戦のアドバイスと有効なアイテムを
下賜されただけだよ。
後は日常の他愛もないことを聞かれただけ。
まだ、答えてないけど」

「ちょっと、アル。
ここでぼんやりとしてる場合じゃないでしょ。
神様を待たせるなんてあり得ないでしょ。
私たちが戦後の雑用と何かのお達しがあれば、
聞いとくから、早くお答えすべきよ」

「そうだぞ。今回もすげー助かったしな。
適当にはぐらかしておくから、
どっか静かなところでお答えしてこい」
シエンナはともかくヴェルの自信満々な態度に
一抹の不安を感じつつも彼らの好意に甘えて、
城壁を後にした。
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